ザンダーアウグスト

ダイアン・アーバス=ワタリウムが選んだ写真家たち

ダイアン・アーバス(1923〜1971)は異形のものたちを撮ることで知られるアメリカの女流写真家である。なぜ、彼女が、両性具有者や身体障害者、死にかけている人たちを撮ろうとしたのか?

一つは「こどものころから、直視するのを禁じられていたから。」もう一つは「最初から人生のテストに合格した人たちだから。」

1958年に入学したニュースクールでリゼット・モデルから「撮ることによって何かを得るのではなく、何かを教えてもらうのです。」と教えられた。何を教えてもらったのか、は次の彼女の言葉でわかる。「わたしは恥ずかしさと畏怖の入り交じった気持ちで撮ります。」「多くの人は心に深い傷を負うかもしれないことを避けようとするけれども、異形の人たちは、すでにトラウマを抱えてうまれてきた。最初から人生のテストに合格しているのです。」

また、エクスクァイアのベントンは「奇形でも普通の人間でも同じ存在だ、ということを彼女の写真は示していた。」と語っている。ニューヨーク近代美術館(1965、1967)での評判は、しかし悪意に満ちていた。悪意と若いアーティストの支持のなかで、彼女の対象に向ける「恥ずかしさと畏怖が入り交じった気持ち」を支えられなくなったのだろう。48で自殺している。







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