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半透明の壁のようなもので、繋がり気味な、へだてるもの

吉祥寺北口から7~8分歩いたところに、小川希さんがつくったArt Center Ongoingがある。ここはアートとアートプロジェクトのライブハウスだ。かつてヨーロッパを旅したとき、それぞれの街のコミュニティに溶け込むようにに芸術の拠点(アートセンター)があり感動したことが、つくるきっかけとお聞きした。
    Art Center Ongoingの1階は喫茶、2階はアーティストに開放し、小さいけれど、アーティストが好きに展示できる空間である。
 6月24日アーティスト中崎透「耳たぶのかさぶた」の展示を見に行った。中崎が創造に向かうとき、自ら進んで創り出している状態=境界があいまいで重なり合って、居心地がいいけど違和感もある領域=を10の言葉とインスタレーションで表現をした展示である。
 中崎はこの展示を「ひねり過ぎない、素直に出すこと」が求められている、と感じてつくったという。ひねればそれだけ違和感を拡大させ、インパクトがある作品となるが、震災後のいまの時代は、それを求めていないのかもしれない。もっと言えば「求めていない」といった消極的なものではなく、積極的に「素直に出したもの」を求めているのかもしれない。

 以下は中崎の10の言葉とそれに対応して私の中に浮かんできた言葉を、忘れないように明日の私のために書き留めたものである。
中崎◆半透明の壁のようなもので、繋がり気味な、へだてるもの
(私)アート作品をみるとき、その作品の向こう側にある何かが気になってたまらない。向こう側を覗いてみたくなる気持ちを味方にしておきたい。
中崎◆この中で、実は三人だけ違う部活の奴がいて、だけど、それが誰だったかどうしても思い出せないことがある
(私)時が経つと記憶は重なり合い境界があいまいになる。そこで何かがつながり、新たな組成が起きる。
中崎◆型にハマらないようにがんばったつもりが、ただのズレた人になってしまったとき
(私)「型にはまらないように」と考えた時点で型にはまっている。
中崎◆何がきになるか考えたときに一番気になってしまったのが、耳たぶのかさぶた
(私)指先の棘のように、微弱な違和感を自らの中に活かし続けたい。
中崎◆思い出したようにゴミ箱から拾い出した、最初は赤かったのに、といわれるようなもの
(私)一度捨ててみると別物になる。それがもう一度ヒントを与えてくれるかもしれない。
中崎◆一見何かのゲームのプレイヤーのようでいて、実はそれとは関係のないそれぞれのもの
(私)まわりの人を巻き込もうとするとき、実はそれとは関係のない人たちが、一見プレイヤーと見えるように設えるのは戦略の一つである。
中崎◆ルールがあるようで、実はそうでもない
(私)逆に、ルールがないようで、実はそうでもない、ことはとてもよくある。「見えない不自由」その反対がアートの領域。
中崎◆暗くなると輝く夜空の星のようだと言いたいが、実際そんなに大したことのないもの
(私)自分の領域以外のチャレンジこそが創造性を磨く。
中崎◆どこかを目指していたはずだが、途中でここがどこだか分からなくなったもの
(私)途中でここがどこか分からなくなってもいいじゃないか。次の一歩を選択するチャンスがわたしに生まれる
中崎◆良く晴れた日、車窓から富士山が見えるかなあと思っていたら、そこだけ雲がかかっていたことってありませんか
(私)期待通りにものごとが運ばないとき、そのルートは途中で狭くなっているに違いない。別のルートを捜すきっかけをもらった!

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