フラー

バックミンスター・フラーの「4D TIME LOCK」を解錠する

ワタリウム美術館3階にバックミンスター・フラー(1895—1983)が描いた「4D TIME LOCK」の絵が展示されている(古今東西100人展)。地球にタイムロックという看板が張り付き、砂時計が宙に浮いている、そして砂時計に、大型金庫を解錠するとき、回転して番号合わせをするツマミがついている。そして、ツマミに4Dという文字がある。フラーは「宇宙船地球号」こそが、人類がもっている最大の富(恵み)であること掲げている。そして太陽から与えられた富(恵み)を効率よく平等に配分すれば、人類の生存は持続可能であると確信していた。

TIME LOCKは一般的には時限錠と訳される。フラーの哲学に技術が追いついたとき、カチッと音を立てて「4D」と合わせれば、つまり、法則としての4Dを発見すれば、解錠して、宇宙船地球号にはいれますよ、というメッセージが、この絵の中に見えてくる。1982年10月25日、当時87才のフラーがワタリウム美術館で「いま、必要なことは選択の道があるということに気づくことだ。宇宙のデザインの法則を手に入れる道は開かれている。問題は制度としての政治や宗教における人間ではなく、個人としての人間が法則の発見者たりうるかということに尽きる。」と熱く語ったそうだ。「だれか」ではなく、「わたし」が法則の発見の当事者の一人になるべく、行動できるだろうか。

Dの一つはダイマクション(Dymaxion)だろう。フラー自身の定義は見つけられなかったが、富(恵み)を無駄なく、最も効率的に時間をつかって人類に配分する技術、または法則の総体がダイマクションだと思われる。構造家のフラーは、最小費用、最小施工期間、最小限の材料で強度のでるトラス構造体を考案している。ツェッペリン飛行船で世界のどこにでも運べるという軽量の塔状プレハブの集合住宅「4Dハウス」、ダイマクションカー、ジオデシック・ドームもこの構造体である。

つぎのDは、フラーの著書4Dハウスの中にあるDELIGHT(喜びに満ちている)だろう(4つのL・ight・・明るく、喜びに満ちていて、軽く、そしてフラーがつくる家)。

宇宙船地球号のドアを解錠するあとの2つのDは、私の中では未発見であるが、Disarm=武装解除、Diversity=多様性、などを当てはめて考えたい。


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