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対話型美術鑑賞ー適切な問いかけ

美術館で鑑賞する方法は人によって千差万別である。ここでは、ファシリテーターの適切な問いかけで、対話しながらその作品に近づいていく方法、VTS(ビジュアル・シンキング・ストラテジー)について、講師三ツ木紀英さん(ミツキノリエ/アート・プランナー/認定NPO法人芸術資源開発機構代表理事)と小学5年生6人との対話型鑑賞についてご紹介する。 

鑑賞者とつながる/名前カードを一人ひとりの首にかけ、名前を呼んであげる。一人ひとりを大切にしているというメッセージをきちっと伝え、「私はこの人とつながった」と思えることが大切。             ◆展示室までの案内も大切な時間/友だちと雑談するように。展示室に行くまでに、うちとける関係をつくります。対話型鑑賞が上手くいくコツです。◆作品の前にきたら/ 「シー。静かにこの絵をじっとみてみましょう。」といって集中してもらいます。友だちというポジションからファシリテーターになります。「この絵の中で何が起こっているでしょう?何でもいいから感じたことを言ってみてください。」と問いかけます。これは英語では「What's going on in this pictue?」となります。            ◆発言を少し言い換えながら/誰かが発言したことを「〇〇なんですね!」と少し言い換えながら進めます。これは2つの意味があります。一つは、初めの発言と次の少しの言い換えで視点に幅がでて、更なる発言が誘発できます。もう一つは、ファシリテーター自身の身体を通すことで、ちゃんと受け取っていることが伝わります。                   ◆「他にありませんか」/「他にありませんか」と繰り返しながら、絵に対する興味を持たせ続ける、飽きさせない、話題を絵に戻していきます。いろんな観点から、いろんな気づきを発言してくれると、自然に深まり、作品との距離が近くなると信じながら。                   ◆絵よりも鑑賞者の表情を見る/鑑賞する絵は、あらかじめ一人VTSで気づきを書きだし、鑑賞者の表情をみる余裕をつくります。         ◆バラバラでまとまらなかったり、空白な時間ができたら/真剣にみているね。ワクワクするね、など状況を話してみる。◆場面を変える/鑑賞者の位置を変えてみる。離れてみている時と、近づいてみるときでは気づきが変わります。ファシリの立つ位置は、鑑賞者からみて、絵と一緒の視界にはいらない方が集中ができます。VTSがすすんだら後ろに回りましょう。

VTSは、説明をして知識を伝える鑑賞方法ではない。様々な見方の世界をみんなで構築しながら、その人と作品との距離を縮め、自分にとって大切な何かに気づくことを目的としている。






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