大友良英 音楽と美術のあいだ

2014年12月5日

NHK「あまちゃん」の音楽で一躍有名になった大友良英の作品、quartets(山口情報センター(YCAM)2008委嘱作品)を、東京オペラシティ・NTTインターコミュニケーションセンターICCで体感する。

大友は1959年生、音楽をスキルにもちながら様々なレベルでの芸術融合、芸術とメディアの融合、アートプロジェクトを試みるエンターテナーである。暗い大空間の真ん中に置かれた直方体のそれぞれの面に4人の演奏者の等身大の影が映る。8人の演奏者の影が交代しながら4つの画面でゆっくりとしたテンポで演奏を始める。プツプツとした音をだすタイプライター、ノイズに近いエレキギター、なでるようなドラム、金属の弓でこすり上げ振動させる鐘・・など。

画面に近づくことで、自分の影が演奏者の空間に入って隣で立つことができ一体化する。2層吹き抜けの真っ暗な大空間の4つの周囲の壁に、それぞれの音にシンクロして光となった波動を映し出す。影たちのバラバラな演奏と光の波動が重なりあってくると、音+楽+視覚化された波動の圧倒的な体感となり、自分が今どこに居るのか忘れてしまいそうになる。ICCがつけたタイトル「音楽と美術のあいだ」にあるのは、別の時空に存在する大きな流れがぶつかり合う時にできる「渦」であると、quartetsは感じさせてくれる。

しばらくはこの暗い空間の渦中に身を委ねて漂っているとしよう。

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