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Syrup16g好きの芥川賞作家の話

芥川賞作家に患者がいた。

その名は、高橋弘希。

彼の芥川受賞式での服装は全身黒。

全身黒は、五十嵐隆さんの出立ちのソレ。

その服装は五十嵐隆さんへの尊敬の意を込めているのかもしれない。

芥川賞作家とSyrup16gの出会い


僕がsyrup16gを聴きながらネット上を徘徊していた時。エッセイ『追想 syrup16g』なるものがあるのを知った。

彼と同じ患者である僕は、文学史的に認められた物書きのSyrup16gに関する文章に興味を持った。

気づいたら、数年前に出版された『文學界』を中古で買っていた。

146ページから147ページに『追想 syrup16g』は掲載されていた。

たったの2ページだが、芥川賞作家が紡いだsyrup16gへの言葉には、愛しかないとか思っちゃったのでヤバかった。

芥川賞作家・高橋弘希先生とSyrup16gの出会いはこう。

私がsyrup16gに出会ったのは、二〇〇三年の春先のことである。

当時、バンド好きな若者の間で下北沢系ギターロックの流行があり、私も例に洩れず、下北沢界隈を徘徊し、syrup16gの存在は耳にしていたが、いまだ洋楽熱を引き摺っていたせいか英詩の音楽ばかり拝聴しており、中々作品を手する機会がなかった。

そんな折、行き付けの地元図書館の棚にsyrup16gの作品"COPY"を見つけて驚愕する。

文學界2016年11月号

そのあと、彼は坂口安吾全集4巻と一緒に名盤『COPY』を借りた。

『COPY』はsyrup16gが2001年に全国に出した最初のアルバム。

そして、阪口安吾先生は五十嵐隆さんが影響を受けた作家。

彼は、その二つを同時に借りた。

その行為は、syrup16gにおいて都合よすぎるぜ。

芥川賞作家のSyrup16g『COPY』への感想

高橋弘希先生は、『COPY』に対してこう感想を述べた。

“COPY”は思いの外に理解しがたい。

暗く、重く、不協和音が多く、歌詞にも”頭をダメにする”だの“保健所で死ぬ”だの“国家予算内で死ぬ”だの記されており、果たしてこんな代物が売れるのか、そもそも売れる気がないのか―

文學界2016年11月号

中々に辛辣な意見。

『COPY』には名曲『負け犬』が収録。

確かに、暗く、重い曲が多いが、その暗さのおかげで心が明るくなり、その重さのおかげで生きやすくなった患者たちが多いはず。

高橋弘希『追想 syrup16g』について

記事内で引用させて頂いたのは、一部分。

『追想 syrup16g』は、わずか2ページだが、syrup16gへの愛をとてつもなく感じられるエッセイに仕上がっていた。

記事には抜粋しなかったが、彼が『翌日』を再生するまでの過程は、患者のソレっぽさが特にあり、共感した。

『追想 syrup16g』の全文を読みたい方は、2016年11月号の『文學界』を手に取ってみてもいいだろう。

ここまで読んでくれてありがとうみなさま。

僕はまたSyrup16gを聴きながらネット上を徘徊したいと思う。


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