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好酸球性筋膜炎になった。 #7 Battle with 紫斑

…言うほど闘ってないですが。

膠原病の一種、好酸球性筋膜炎と診断されて1年半。最初は20mg/日だったステロイドは徐々に減って現在12mg/日となり、免疫抑制剤を併用しています。筋膜炎の症状は落ち着いているのですが、去年の秋ごろから別の問題が出現しました。腕の内側や手の甲に、小さなあざが沢山できるようになったのです。

始まりは2020年の10月頃、前腕の内側に数個、直径2~3mmの見慣れない内出血があるのに気が付きました。それはだんだん数を増やし、ひと月くらいの間に人前で腕を出すのは憚られるくらいの数に。
拙い絵ですが、こんな感じです。

新規キャンバス


あざは出来たらずっとそのままというわけではありません。最初は濃い赤紫色で、周りの皮膚との境界が比較的はっきりしていますが、2~3日のうちに色が褪せ、境界もぼやけてきて、最後は薄茶色になり、1週間から10日で消えます。でもその間に別の場所に別の紫斑ができては消え…という状態。あざができる場所はおおよそ限られていて、前腕の内側が一番多く、次いで膝周辺、前腕の外側、手の甲。二の腕や太腿にも少しできることがありましたが、首から上や体幹には一切出ません。
増えるきっかけとしては、入浴剤を入れてお風呂で温まるなど血行が良くなった時や、うっかりカーペットの上で腕を頭の下にして寝てしまうなど、腕を圧迫したときに増えやすかったです。とはいえ、何もしていなくてもできます。

膠原病内科の医師にも相談しましたが、このようなあざは紫斑(しはん)というそうです。紫斑ができる病気は色々ありますが、他の出血しやすい症状(鼻血や、歯茎から血が出る等)がなく、血液検査上も白血病などの血液の病気ではないだろうと。ステロイドの長期服用で血管の支持組織が脆くなり、あざができやすくなる場合もあるが、その場合はもっと大きなあざになることが多いそうで…
膠原病の人には二次的に細い血管に炎症を起こすことがあり、その症状とも考えられますがはっきりとは原因が分からない状態。原病の症状は再燃してるわけではなかったので暫く様子を見ていましたが、紫斑は増えた減ったを繰り返しながらも完全に治まる気配はなく数か月が経過していきました。

その間に一番ぎょっとした出来事は、病院で採血する際にゴム製のバンドで腕を縛りますが、その日は採血本数が多くていつもより採血時間が長くかかりました。その日の入浴時にふと腕を見ると、バンドで縛った所から10cmくらい末梢側にかけて、びっしりと紫斑ができており、うぎゃー!閲覧注意!という見た目に。
流石に驚いて、次の予約を待たずに病院に駆け込みました。バンドで長く縛ったことで血管に圧がかかり、毛細血管から血液が漏れてしまったんだろうと…採血を担当した看護師さんも飛んできてすみません!と謝っていただいたのですが、むしろこっちの血管が脆弱ですみません。
なお、次から採血の時には布製の太いバンドで緩めに縛ってもらうことになり、それ以降はアクシデントは起きていません。

紫斑自体は痛くも痒くもないのですが、やはり多い時は見た目が気になります。同じような悩みの人はいないかネットをさまよい、唯一、疾患こそ違いますが私と同じくステロイド服用中に同じような紫斑に悩まれた方のブログを見つけ、相談してみたところ有難いことにアドバイスをいただけました。冬の間、手の甲に紫斑が出たときは指なし手袋をして、夏は薄手の長袖カーディガンや日焼け防止のアームカバーで目隠しをして凌ぎました。
腕は否応なく目に入ってくるので、びっしり紫斑ができた腕を見て自分の身体なのに気持ち悪いな、と思ってしまうこともあり悲しかったですが、一方で、紫斑がだんだん吸収され消えていくさまを日々見ていると、良く分からない病気になっても生体としての機能を淡々と維持している身体が愛おしくもあり、何とも複雑な気分でした。

紫斑がでるようになって半年ほど経ったとき、ふと思い立って、以前かかったことのある近所の皮膚科クリニックで紫斑を診てもらった所、総合病院の皮膚科に紹介してもらえることになりました。その時、クリニックの看護師さんに、「自分も若いころから腕に小さい内出血ができやすいけれど、検査しても何ともないのよ」と言われました。単純性紫斑といって、原因が特にない紫斑もあるそうです。いずれにしろ、総合病院で皮膚生検(皮膚を小さく切り取って調べる検査)をすれば何か分かるかもしれないということで、さっそく紹介状を持って総合病院へ。

ここはまだ自分が膠原病だと分からないときに、地元のかかりつけ医から紹介されて受診した病院です。(のちに、ここではリウマチ科が無いからということで更に他市の病院にリレーされる)。別件でまた来ることになるとは。初診では、現状を写真に撮り、これまでの経過や持病、飲んでいる薬のことなどを聞かれたあと、紫斑に痛みや痒みはないか、他に発熱、腹痛、関節痛はないか等を問診されました。何かの血管炎が疑われるけれども、半年間症状が続いていること、激しい症状ではないので特に緊急性のある病態ではないでしょうとのことで、血管炎関係の血液検査と皮膚生検の予約をしてその日は帰宅しました。

皮膚生検ではなるべく「できたて」の紫斑がある所を取りましょうということで、採取場所は当日決めることになっていたのですが、タイミングというのはうまくできていないもので、生検までの10日ほどの間に、怖気づいたのか紫斑が少し大人しくなってしまいました。本来なら紫斑が減るのは嬉しい事なんですが、生検できる場所がなかったらマズい、と正直焦りました(苦笑)
当日、何とか膝頭のところに新しい紫斑があったので、そこから皮膚を取ることに。生検は、自分はベッドに寝ているだけで、皮膚を取る場所に麻酔の注射をして、「すぐ終わりますからねー」の声のあとにパチン、という感触があり、そのあと数針皮膚を縫って本当にすぐに終わりました。3日分の化膿止めをもらい、生検の結果が出るまでの1か月間、止血と血管を強くする効果のある薬を試してみることになりました。

皮膚生検の結果、皮膚のごく浅い場所で、微量の赤血球の漏出が見られるものの、血管炎等の特定の病気の兆候は無いことがわかりました。
うすうす予感はあったのですが、やはり原因となる特定の病気は見つからず。血管炎ならもっと激しく紫斑が出るので、おそらくは膠原病からくる二次的な症状なのでは、というのが今のところの見立てです。

結論からいうと「わからないということがわかった」というのが現状ですが、それでも「何なのかわからない、放っておいてもいいのか、謎」という状態よりは一段階、進んだと思います。紫斑の方はここ数か月、幸いにしてピーク時よりもだいぶ減ってはきています。内服薬がまあまあ効いているようです。それから、原病の症状が落ち着いてきているのも、関係しているのかもしれません。このままフェードアウトしてくれ、頼む。

なお、ずっと腕を隠しているわけにもいかないので家では腕を出してますが、やはりこの見た目は他人から見てもあれだよなあと思い、夫に「この紫斑、やっぱりぎょっとするよね」と訊いてみたところ、大の虫好きで数々のイモムシを飼い、羽化まで見届けてきた夫は、「イモムシはもっと派手な柄があるやつばっかりだし、自分はこういう模様なんだってことでいいんじゃない?」という斜め上の答えが返ってきました。私は、「理系の人って へんだな…(※大好きな市川春子さんの作品集より)」と思いつつ、夫の心の広さに感謝しました。

以上が謎の紫斑と向き合ってきた、ここ1年ほどの記録です。膠原病というのはまだまだファジーな領域も多いのかもなあと思う出来事でした。あと、やっぱ殆ど闘ってないな。

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