閑話

終焉のヤン、6話にて煮詰まっています(笑)
史実とフィクションをうまいこと融合させるのに、良いつじつま合わせが思い浮かびません。

そこで気分転換に、少々身の上話を書いてみようと思います。

小説の舞台となる15世紀のチェコですが、その存在を知ったのはつい一年前でした。
きっかけは数年前に負った右手の怪我です。

利き手の親指をあわや切断するかの重症を負ってしまい、一応半年ほどで傷は治ったものの、後遺症が長く続き、仕事がほとんどできずに肩身のせまい思いをしていた時期が続いていました。

鬱々とした気持ちを変えたくて、ある日「前世占い」というのをやってもらったんです。

それまで占いとかに興味はあったものの実際に受けたことはなくて、今までやったことのないものに触れてみれば、人生の打開になるかと思って受けてみたのです。

そこで占い師さんは「あなたの前世はほにゃららです」とは断言せず、断片的なキーワードをいくつか教えてくれるのみでした。

占いを終えて家に帰り、占い師さんが言ったワードを満たすような時代と土地と出来事を探る日々が始まります。

キーワードは「中世っぽい」「オーストリアの近く」「戦争、民衆が武器を持った戦争」「宗教的」といったもので、ヨーロッパ史なんてほとんど知らない僕にはハードルの高いものに感じられました。

それでもネットなどを駆使して調べて行くうちに、どうやら15世紀のチェコで起きた「フス戦争」というのが、占い師さんのキーワードを全てクリアするものだということにたどりつきます。

調べる対象が定まると面白くなってきて、もっと詳しくフス戦争について学びたいと思うようになっていきました。
はじめはWikipediaの日本語記事を読み、それからフス戦争についての論文や書籍を集めるようになり、しまいにはチェコ語で書かれた歴史書を取り寄せて、自力で翻訳しながら調べを進めるようにまでなりました。

ある程度調べが進むと、たくさんの貴族や市民の名前が出て来ます。
ひょっとすると、この中のどれかが僕の前世かもしれないという予感がして、僕は再び占い師さんの元を訪ねました。

いくつかの前世候補を僕が事前に用意しておいて、占い師さんに鑑定してもらうというやり方で。

すると、その中の第三候補の「アレシュ・リーズンブルク」という貴族がどうやら僕の過去世らしいことが判明しました。

最初から占い師さんに断言されるより、ヒントをたよりに自分で調べて前世にたどり着いたというのがとても楽しかったです。

さて、そんなふうにフス戦争の研究に没頭した年の瀬、僕はフス戦争時代のことを初夢に見たいと強く願っていました。絶対見てやるんだと。

その願い叶って、初夢ではチェコ貴族の舘に招待されている夢をみました。
(そのために夜中に何度も起きて、『この夢はノーカウント!』と、そぐわない夢をリセットし、三度目にようやく目当ての夢をゲットしました。)

目当ての夢をゲットした僕は、夢の中で「よっしゃあ!」と思い、その舘の主の名前だけはしっかり覚えておこうと腹を決めました。
そして夢の中で貴族の名前が出た瞬間に目を覚まし、枕元のノートにメモをとりました。

チェコ語で「ch」という綴りではじまり、発音は「クバル」または「フバル」。

それからチェコ語の地図でそれらしい地名を探したり、歴史書の中にそのような名前を探したりするようになって、何日目かのこと。

ついに歴史書の中に、chuvalkovという貴族の名前を見つけました!
しかも、なんとその隣には、僕の前世の名であるアレシュ・リーズンブルクも記載されていたのです。

地図を見ると、アレシュの本家のあるリーズンブルクという街の隣が、chuvalという村だったのです!(ボヘミア王国の貴族は、名前がほぼ出身地を表しています。)

つまり、初夢で見たのは、前世のアレシュが隣村の貴族の舘に招待されたときのビジョンだったということになります。

夢とか前世とかオカルトチックではありますが、まさにそのオカルトこそ、僕がボヘミア王国やフス戦争に強く惹かれる原動力になっています。

もう少し例を述べると、小説に出てくるヤン・ロキツァナの設定で、彼の実家が鍛冶屋というのがあります。
それは初めはフィクションとして考えていたことなんですが、歴史書を詳しく調べると、なんと史実も実家は鍛冶屋だったのです。

また、ヤン・ロキツァナに姪っ子がいることにして、その子を平和の使者にしようっていう設定も考えていました。
すると史実では、ロキツァナには甥っ子がいて、その彼が成長して「ボヘミア兄弟団」という平和団体を設立するのでした。

小説の設定として考えていたものが、史実と重なってしまうことに我ながら驚いたものです。

勢い余った僕は占いで飽き足らずに、「退行催眠」を受けるようになります。

そこで見た過去世の話は、また次のお楽しみに。

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