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『東京都同情塔』を読んで(4)おまけの話 #040

九段理江著『東京都同情塔』を読んだ学びから、AIについての話題が思った以上に続いてしまいました。
今回は同作のことについて、AIに関係無いおまけの話をとりとめなく書いていきます。

小説として面白かった点

以前も少し書きましたが、日本人の悪い部分についてこうも生々しく浮き彫りにし、皮肉を込めて書けるのかと思い衝撃を受けました。
新書で同じ趣旨を書かれたビジネス書があったとしても、絶対にここまでの衝撃は受けなかったと思います。表現の持つ大きな力を感じさせてもらいました。

この皮肉がすごい

私は同作を通じて【意志があるもの】【意志が曖昧なもの】が対比して書かれていると指摘し、その代表が【建築】と【文章生成AI】だと書きました。
AI自体が日本人の悪い部分を象徴しているわけなのですが、作中世界のAIの名前が【AI-built】なんですよね。
建築と真逆の存在であるAIに、『建築』の名を冠しているところに作者の一番強烈な皮肉を感じました。

紙で読んだ

芥川賞受賞作が『5%AIで書かれた』のニュースが走っていたのは見たのですが、詳しく知ろうとはせずスルーしていました。
私が同作をちゃんと知ったのはNewsPicksの動画でした。物語のテーマにAIが入っていることはその動画で知り、直近の興味ど真ん中だったので迷いなく買うことを決めました。

普段私は完全なる電子書籍派なのですが、AIがテーマで小説を書かれ、芥川賞まで取ったのであればこれは本で読まなければと思い、地域の書店で購入しました。
文庫以外の小説を書店で買うなんて、ここ10数年記憶にないですね。
読後は本で持っておきたいほど非常に良い読書体験だったので、素敵な出会いをもたらしてくれたNewsPicksにも感謝しています。(私は電子で良かった本は改めて実物も買う派です)

おわりに

AIの話題も長かったですがシリーズは前回の記事までということで、これで一旦終わりにしたいと思います。
改めて同作に興味を持たれましたら、心から読まれることをお薦めいたします。

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