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酒場であり、偶然を生む場所―「スナック夜風」の目指す姿

2022年10月14日。長野市の繁華街、権堂にスナック「夜風」がオープンします。取り扱うメニューは、Huuuuが全国行脚している中で出会ったローカルプロダクトが中心です。

Uターン、Iターンの若者により新しいお店が増え、かつてのネオンきらめく夜の街から風向きが変わりつつある権堂の街。

「ママ」を務めるのは、東京のシーシャ屋「いわしくらぶ」をきっかけにHuuuuに加わることとなった河野晴紀(24)。

なぜ編集の会社であるHuuuuがスナックを始めるのか、生まれも育ちも東京の若者がどうして長野でスナックのママになったのか。長野の街で、スナック「夜風」の目指す姿とは……?

プレオープン期間を経て「夜風」のママとなる晴紀くんに、じっくりインタビューを行いました。

きっかけは顔採用? 柿次郎さんとの両片思い状態を経てスナックのママに

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――スナック「夜風」、まもなくグランドオープンを迎えますね。Huuuuで「スナック」を運営する計画自体は、以前からあったんですか?

そうですね。柿次郎さんにはもともと「スナックのママは場の編集者だ」という思いがあったようで。三年くらい前から編集の会社であるHuuuuとしてスナックを始める気持ちはあったみたいですね。本格的にお店を始める流れが強くなったタイミングで、僕に声がかかりました。

――そもそも晴紀くんと柿次郎さんはなにをきかっけに出会ったんでしょう?

二年前の、シンカイのポップアップだったと思います。僕はもともと東京の「いわしくらぶ」というシーシャ屋さんで働いていて、出店スタッフとしてシンカイに来たんです。以前から磯川さんが柿次郎さんにお世話になっていたこともあり、そのつながりで長野市に遊びに行ったり、野尻湖にあるゲストハウスLAMPのイベントなどでもお会いしたりするようになりました。

――Huuuuに加わる前から、長野にちょこちょこ来ていたんですね。イベントなどで顔を合わせるくらいの関係から、お店を任せられるようになるまで、どんな風に距離が縮まっていったんでしょうか。

まずは、顔でしたね。

――顔?

僕の顔が、柿次郎さんの好きなラッパーの田我流に似ているんです。それでまずは顔を覚えてもらって。僕が接客業をやっていたこともあり、たぶん柿次郎さんの脳内で「スナックのママ」にバシンとハマったんですよね。そこからゆっくりと口説くモードに入っていきました。

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――「口説かれているな」とは感じていたんですか?

「はるきくん長野来てよ〜」、「Huuuu手伝ってよ〜」って、ポーンと言われるんですよ。そう言っていただけるのは純粋にうれしいけど、どれくらい本気なんだろう、真に受けちゃっていいのかなって。 

――両片思いみたいな状態……。当時、柿次郎さんは晴紀くんにとってどういう印象だったんですか?

おもしろい人だなと思って惹かれていました。珍しいポジションにいるなって。

――珍しいポジション?

ヤクザ映画やマフィア映画に出てくる調整役っぽいと思ったんです。敵対勢力にもつながってるしどこの組織にも顔が利く。うまく流れを作っていくというか。LAMPでお会いした時も、向こうのほうから、友人たちを引き連れて歩いてきたのを見て、「うわぁ〜、なんかすごい人だ!」と思ったのを覚えています。

――お互い気になっている状態から、さらに関係が縮まったのはどうしてですか? 

シンカイでのポップアップのあと、「洞窟酒庫 タキ」で一緒に飲んで歌ったんです。イベント中の僕の仕事ぶりを見てくれていたようで、その頃から「晴紀くん、いいね!」がより力強くなった気がします。ちょうど、僕もそろそろ動きたいなと思っていたんです。ずっといわしくらぶにいるのもいいけど、ちがう環境に身を置きたいタイミングで。

外に出るようになったことで、東京の人の多さがストレスになってきた

――なるほど。どうして環境を変えたかったんですか? 

アウトドアが好きで、個人的に長野に来ることが多々あったんです。でも、東京から行くには「遠いな〜」と思っていて。土日に動くとなると渋滞にハマって、日帰りだと半分は移動に取られる。もし長野の側に住んでいたら自然が近くなるし、東京へ行くにも、大衆とは逆の動きになるから道も空いてるんじゃないかって。

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――晴紀くんは、生まれも育ちも東京なんですよね? 

生まれも育ちも東京の世田谷です。東京は全然嫌いじゃない、むしろ好きなんですけど、人が多いことによって生じる摩擦やストレスを感じていて。渋滞、満員電車、駐輪場がいっぱい、サウナもぎゅうぎゅう、とか……。社会人になって車を使うようになったことで、街の外にも出るようになって、「東京って人多いな」と改めて感じ始めて。

――今まで当たり前だった環境が、外に出たことで「合わないかも」と感じはじめたんですね。

ちょうどその頃、田我流のインタビューを読んだんです。「お気に入りのチルアイテムは?」という質問に、「地球」って答えてて。

――地球!

やべ〜! まじでそうじゃん!!って。そのインタビューの中で、自然のおもしろさ、力強さ、奥深さがなによりもおもしろいって話もしていて。自分自身、長野の青木湖に行った帰りに、車のバックミラーに映る白馬の山脈を見ては、「山かっこいい!」っていつも思っていたんです。だからこそ、「お気に入りのアイテムは地球」ってストレートに言い切る表現が刺さって。

――そういう意識の変化があったタイミングで、柿次郎さんから声がかかったと。

タイミングと流れでしかないですね。POOL SIDEがオープンしたり、長野市の権堂付近にも新しい波が来ていた。「権堂に温泉ができたよ! リニューアルしてサウナやばいよ!」とか、柿次郎さんも連絡をくれて。

――柿次郎さんから、長野情報はちょこちょこ届いていたんですね。

むしろ、自分から柿次郎さんのインスタのストーリーにリアクションしてましたね。「長野行く気、あるよ!」って。

――「絶対好きじゃん、もう付き合っちゃいなよ〜!」ってなるやつ……。

今年の5月、森道市場の出店でご一緒したときに、ようやく「僕も真剣に考えています。一度改めて長野へ伺います」と、お伝えしました。一人で3日間長野に来て、柿次郎さんに長野周辺をいろいろ連れていってもらって、最後にスナックの候補物件を見せていただいたんです。実際に物件を見てみて「おもしろそうだな〜、わくわくするな!」と感じて、ビルを出た駐車場で「じゃあ、お世話になります」という感じで話がまとまりました。

――スナックの計画や、晴紀くんと柿次郎さんの交流自体はずっとあったけど、晴紀くんが店をやることに決まったのはほんの数ヶ月前だったんですね。

5月末に森道があって、6月に長野に来て話がまとまって。8月いっぱいでいわしくらぶを退職して、9月に入社。プレオープンは9月17日でした。 

「スナック」と「シーシャ屋」、根っこは同じ

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――怒涛の数ヶ月でしたね。プレオープン期間、実際にお店に立ってみてどうでしたか?

スナックという業態のおかげで、前職のいわしくらぶの経験が生きている気がします。

――いわしくらぶはシーシャ屋さんですよね。スナックとどういった部分がリンクすると感じたんですか?

シーシャって、作って終わりじゃなくて。炭の熱量の調整や、炭の交換が必要なんですよね。吸い方や吸うペース、吸う人の癖でも味が変わっていってしまうので、ずっと様子をみ続けるのが大事。スナックも、お客さんのお酒を飲むスピードや、「お水必要かな?」っていう細かい気遣いが必要だと思うので、似ていますね。

――なるほど。吸うものと飲むもの、扱うものは違うけれどやっていることは近いと。

シーシャ屋さんもコミュニケーションありきの場なんです。「シーシャを吸う」だけが目的ではなくて、喋りに来ている人が多い。

――「場を回す」という意味合いでも、共通点があるんですね。

「満足して帰ってもらうこと」が、どんな接客業でも大事だと思うんです。たとえば、団体さんとお一人さんが来たとしたら、一人で来た人に「寂しい」と感じさせないようにするとか。お客さんに、「放っておかれちゃってるな」って疎外感を感じさせないように動くというのは、シーシャ屋さんの時代から考えていたことですね。

――「スナック」と「シーシャ屋さん」、一見全く違う業種に思えるけれど、実際根っこの部分は近いのかもしれないですね。

接客業だったらどこかつながるところがあると思うので、「武器」が違うだけ。おしゃべりと気配り、みたいなソフト面は、そのままできてるかなと思います。そこにプラスアルファ専門性が乗ってくるイメージですね。スナックとはいえ、それなりの知識と技量がないとだめだと思うので、お酒のことはこれから勉強していきたいです。

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二度の挫折と接客業との出会い

――なるほど。今回は、「夜風」だけじゃなくて、晴紀くん自身のことも教えてほしいと思っていて。そもそも、晴紀くんがシーシャ屋さんで働きはじめたきっかけはなんだったんですか?

東京でダンスをずっとやっていたんですが、ダンスのチームメイトがいわしくらぶで働いていたんです。その頃、Webデザインの勉強をしていたこともあり、「Web系の仕事をしてるお客さんもいるから、話を聞けたらいい経験になるんじゃない?」と誘われて。

――Webデザインの勉強をしていたんですね。

そうです。僕は四年生で大学を辞めたんですが、ちょうどそのタイミングでコロナが始まったんですよ。2020年の春ですね。

――卒業間際に。

単位が足りなくて、少なくともあと二年は大学にいなきゃいけなくて。その頃、すごく大学が嫌になってしまっていて。

――それはどうしてですか?

周りのみんなが、大学に行って、就活して就職して……という大きな流れに乗って、自分の意思なく生きているように見えてしまって。当時の僕は、「もっと我を出していこうよ!」っていう変な尖り方をしちゃってたんですよね。そこからとにかく、どんどん学校が嫌になって……。

――違和感を感じたんですね。

そうして大学を辞めたタイミングでコロナが本格的に流行り出したんです。髭を剃ってスーツを着て、就活もしてみたんですが、企業も求人を閉じているタイミングだったし、どの会社をみても「続かなさそう」と思って。その頃に、学歴がない自分は手に職だ!と思ってWebデザインの勉強をはじめたんです。 

――なるほど、そしてその頃にいわしくらぶで働かないかと誘われて。

ーそうです。そこからWebデザインの勉強と、いわしくらぶの両輪の時期がしばらく続きました。ただ、いわしくらぶで目の前にいるお客さんと会話する時間ができたことで、一人で勉強して作業してパソコンに向かっている時間がすごく寂しく思えてしまって。だんだん、僕は絶対こっちだな、目の前にいる人と向き合っているほうが合ってるなって。

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――Webデザインの話を聞くために働きはじめたはずが、接客自体が楽しいし自分に向いていると気づいたんですね。

それで、Webデザインを挫折したんです。接客のほうが合ってるなっていうポジティブな気づきもあったんですが、当時は結構落ち込みました。大学を辞めて、藁にもすがる思いではじめたWebデザインも僕はやりきれないんだ……って。でも、落ち込んだときに支えてくれたのもいわしくらぶであり、代表の磯川さんだったので、僕はこっちの道なのかなと思えました。

「ご縁と流れを大事にすることでしか、僕は前に進めない」

――接客業自体は、シーシャ屋さんの前から経験があったんですか?

バイトはずっと接客でした。神保町のバルに、笹塚のボウリング場。でも、大学生だったのであくまでもバイトでしたね。

――意識がちょっと違ったのかな。

いわしくらぶで働いていた頃は、「働くこと」が、自分の存在意義だったんです。学生の頃は、他にもいろいろとしていることがあったし、ダンスもしていたので、自己肯定感がある程度高めでいられたんです。でも、いわしくらぶで働いていた時は精神的に落ちていたこともあって、「ここで人気者にならないと」、「しっかり仕事しないと」という意識で働いていました。

――自分の自己肯定感を守るために働いていた部分が、結果として柿次郎さんの目に止まって今に至るんですね。

僕って、あんまり「人生の使命」とか、「絶対これをしたい」とかがない人間なんです。いわしくらぶに入ったのも流れ。Huuuuに入ったのも、スナックに立つことになったのも、流れがそこにあったから。流れを逃すことのほうが怖いんです。

――流れを逃すことが怖い?

「目の前の流れを掴まないなら、あなたは何をするの?」って言われたら、僕にはなにもないから。大学とWebデザインの挫折があってから、ご縁と流れを大事にすることでしか僕は前に進めないような気がしていて。

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――暗い気持ちがずっと根底にあったんですね。その気持ちは今もありますか?

以前、磯川さんと、かもめブックスの柳下さんとキャンプをしながらこれからの話していた時に、二人が「僕たちもある意味流されっぱなしだよ」ってお話をしてくれたんです。目標を決めて登ってきたわけではなくて、ただ一歩一歩進んできたから、今ここにいるんだよって。「目標を決めて進んでいける人と、一歩ずつ進んだ先になにかがある人、2パターンがあって、僕らは後者。晴紀くんももしかしたらそっちなのかもね」っていう言葉にすごい救われて。そこからマインドが変わりました。

――私も、目標を立てる以前に、そもそもやりたいことがないまま流れに乗って進んできたタイプです。それを肯定できるようになるまでは時間がかかりました。

僕の大学の同期はいま社会人三年目で、いい感じにステップアップしている状態に見えるんですよね。そうやって、常に人と比べちゃうネガティブな自分がいたんですが、自分は自分で、こっちのやり方でいいんだなって思えるようになってきました。人生設計とか、ライフデザインとかよくいう世の中だけど、そこを見据えて動かなくてもいいんだって思えたんです。一個ずつ積み上げていくやり方もあるんだな、って。

「偶然」を生む場所としての「スナック」のあり方

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――磯川さんや、柿次郎さんに柳下さん、いろんな生き方をしている「大人」たちに出会って、少しずつ考え方が変わっていったんですね。

磯川さんと日本国内の現場を回るうちに、自分でなにかを作ってる大人とか、世間からすると風変わりな大人たちの実例を見れたんです。かっこいいな、ここに混ざれたらどんなにおもしろそうだろうって思うようになりました。

――10-20代の時に、いろんな生き方をしている大人にどれだけ出会えるかが、人生において結構大事な気がします。それでいったら、「夜風」の目指す姿は、当時の晴紀くんみたいな若者にとって必要だった場所になるんじゃないかなと感じます。

まさにそうですね。僕は偶然いわしクラブに入って、全国の現場を回って、偶然そういう世界を垣間見ることができた。その「偶然」を「夜風」でも作れたらいいなと思います。

――「偶然」を生む場所。

でも、あんまりそこに囚われすぎないほうがいい気がしていて。「あの人とこの人をつなげてあげよう!」ってやりすぎるのもやかましい。あんまりアカデミックさや、ビジネスっぽい場じゃなくて、普通にお酒を飲みにいく、僕に会いに来る、くらいでまずは気軽に来れる場所。その先に、「偶然」があってもなくてもいい。 

――おいしいお酒が飲めて、満足して帰れる場所。あくまで「酒場」であると。

「飲みにいく」って気軽なものだと思うから、「絶対おもしろい人と出会うぞ!」だと、目的が変わってきちゃう。あくまで、「いい酒場である」ことが一番大事だと思っています。そこに、Huuuuにしかできないことが加わるとおもしろいのかな。

編集の会社だからこそできる、メディアとしてのお店

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――Huuuuにしかできないことってなんだと思いますか?

Huuuuは編集力が武器の会社だから、全国を回っている中で、モノを作っている人と出会っていて、商品も知っている。作り手のストーリー、人となり、バイブスを一緒に味わえるのが強みだと思います。

――「全国のうまいもの集めました」だけじゃなくて、実際に作り手に会っているのは強みですよね。

スナックとバーの違いは、目的が「人」にあるかどうかだと思うんです。バーは、お酒だったり、バーテンダーのスキルが大事になってくると思うんですが、飲みものを通して「人」が見えるのもスナックである理由と意義の一つだなと。

――作っている人がいる限り、どの商品にもストーリーはあるわけで。情報やストーリーを、どのタイミングで、どう出すか、どこまで出すかに編集力が試される気がしますね。

全部の商品にストーリーがあって、作り手の人生がある。それもよければどうぞ、みたいな。でも、てんこ盛りにしすぎるといろいろ背負っちゃうから、あくまで気軽に。バランスですね。

――仕入れてきた情報を、編集して、記事として出す。ただお酒を出すんじゃなくて、作り手の情報を編集して伝える……。酒場とメディア、やっていることは全然違うようで、実は近い。「夜風」っていう、お店の形態のメディアというか。

「飲む記事」みたいなね。読むか、飲むかの違いで、やっていることはほぼ同じですよね。品揃え的な面もそうだし、お客さんをつなげるつなげないも、そう。

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――どんな人が「夜風」に来てくれたらうれしいですか?

あまり限定したくないんです。若者を意識して作ってはいるけれど、みんなにきて欲しいです。同世代とは普通に生活していても会えるから、いろんな世代と出会える場になればおもしろいんじゃないかな。

――晴紀くんとしては、どういう状態がお店として理想ですか?

パンパンになってほしくはなくて、常に一席空いてるくらいが理想ですね。
飲んでいて、解散するのがちょっと名残惜しいな、もうちょっと話したいな、って時に立ち寄れる場所であれたらいいなと思っています。

――スナックって、「ママ、聞いてよ〜」ってお客さんが来るのを、口を挟むわけでもなく聞いて、ぽんっと一言くれる、「聞き役」のイメージがありますね。

スナックって、「お酒」と「ママ」がいるのが前提の場所じゃないですか。たとえば二人で飲んでて、二人で話したいんだけど、アイツとも一緒に話したいから夜風に寄る、みたいな使い方をしてもらえたらうれしいですね。恋バナとかで、男性の意見が聞きたい! みたいな時も使ってほしいです。


マスターでも店主でもない、等身大な「あんちゃん」でいたい

――晴紀くんはポジションとしては「ママ」になるんですか?

……いい質問ですね。パパじゃないことは、たしか(笑)。

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――(笑)。

マスターでもないんです。僕はそんなに偉くない。映画『スターウォーズ』でも、ジェダイを率いる位の高いジェダイのことをマスターって呼ぶじゃないですか。マスターは、「習得してる感」があるから違うなと思っていて。店長、店主……。あんまりわかってないです! 名刺は「店長」だけど、ママって呼んでくれてもいいし。普通に、「あんちゃん」でいたいですね。すごいやつだとは思われたくないんです。

――あんちゃん! いいですね。晴紀くんは、学生の子とか20代前半の子からは「かっこいいあんちゃん」として慕われそうだし、年上からも「かわいいやつ」ってかわいがられそう。

すごいやつだと思われたくないっていうのは、逆に「すごくない」のもいいなと思っているからなんです。いわゆる「すごい人」に会うと、自分のすごくなさを自覚してしまう。もちろんお話を聞かせてもらえるのは勉強になるし、尊敬できる存在がいるのもすごくいいことなんだけど……。

――この人はすごいのに自分は、って気持ちはどうしても生まれてしまいますよね。

すごくない人、というか、すごさを見せない人と接すると、自分もこれでいいんだって包まれてるような感覚になりますよね。いつかどこかですごい人になりたいけど、今の自分は「すごくない」。この状態を出していきたい。あんまり自分を大きく見せないように、等身大でありたいです。

――「Webデザインすらやりきれなかった自分」っていう挫折の話をさっきしてくれたけど、そこから「すごくない自分」を出していきたいっていうところまで自分を持ってこれたんですね。「夜風」はもちろん、晴紀くん自身がこれからどう変わっていくのかを見守るのも楽しみになりそうです。

これからどうなっていくかはわからない。でも、目の前の人を大切に、流れを大事にしていったら、先輩方みたいになれるのかな。

――この記事を読んでいる、「夜風」気になってるけどまだ行けてないんだよな〜って人に最後に伝えたいことはありますか?

どの世代でも、お酒が飲めても飲めなくても楽しめる飲み物を揃えています。まずは一回来てみてほしいです。「すごくない」あんちゃんががんばっとるよ! 

取材・執筆:風音

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▼スナック「夜風」
〒380-0907
長野県長野市鶴賀上千歳町1324-6 第一レジャーアイランドビル3-E
(チャージ500円、ドリンク600円〜 ※ノンアルコースメニューあり、フード300円〜)
Instaglam:@snack_yokaze

Huuuu代表・徳谷柿次郎による「編集の会社がなぜスナックを?」という経営者視点のnoteもあわせてご覧ください!

https://note.com/kakijiro/n/nff08fbe34dfb


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