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脳内にいる、自分とは違う人間の話【二重人格ではない】

確実に言えるのは、これから書くことは決して二重人格の話ではない。

私の脳内には、一定期間だけ住んでいるまったく別の人間がいる。

そう書くと、なんや二重人格かいなって思われるだろうが、これは決して二重人格の話ではない。

その人物の人格になることはないし、意識が遠のいたら数日後だったみたいなこともない。

周囲の人間に聞いても、私は私であって、だれかまったく違う人間の名前を名乗ったりしたことはない。

ただ、私の脳内にはなぜか幼いころからいつも違う人間の人生が映っている時がある。

たぶん、これは「もし私が今と違う人生を生きていたら」という妄想を脳が延々映像として流しているだけだと思う。

何度だっていうが、これは二重人格の話ではない。

前までは、とある図書館で司書として働く女性だった。

彼女はまだ大学を卒業したばかりで、私よりも数年早くから一人暮らしをしていた。

彼女の周りにはいつも人がいて、趣味で編み物をしていた。

その前は幼稚園に通う少女だった。もっと前は高校受験真っ最中の野球少年で、さらに前はいつも残業に追われるOLだった。

今は、俳優をこなしながら音楽活動もしている青年がいる。

彼はいつも楽しそうに生きていて、音楽活動に、ゲームに、本業に、Youtuberにと毎日が忙しい。

この、私の脳内に生きる人々は、やたら設定が凝っている。

家族構成から、出身地から、そして付き合っているパートナーの情報まで、無駄に詳細に練られていて、自分の妄想だというのに感心してしまう。

ちなみに、今私の脳内にいる彼(佳織と書いてよしのりと読む名前がある)は、九州出身だ。四人兄弟の末っ子で、すでに結婚している姉二人と、スーツアクターをしている兄がいる。

脳内に住む彼らのことをなんと呼称すればいいかわからない。

メリットがあるかもわからない。多少、私の創作活動にヒントとして使わせてもらうくらい。

デメリットとしては、私より充実した人生を生きやがってと妬ましく思うことが度々あるくらいだろうか。

佳織には、三回ぐらい舌打ちした。

精神衛生上良いのかと思うこともあるが、この脳内再生は私の脳が勝手にやっているのか、やめることができなかった。

幼稚園のころから始まって、私自身にも充実した生活を送る日があっても、彼らは脳内から消えてくれなかった。

就活で精神的に病んでいた時も、彼らはいつも明るくてきゃぴきゃぴしていて、彼らのようにならなきゃと踏ん張ることはできた。

私自身の生活に支障が出たことはないので、そのまま放置しているが、この脳内現象が何なのか知っている人がいたら誰か教えてほしい。

あと、私と同じ現象を起こしている人がいたら、教えてほしい。

仲良くなれるかわからないが、私と同じ人がいるんだと少しだけ安心できるので。

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