嬉野流対策(先手嬉野/後手居飛車)2023年版

※居飛車後手ですが、先手番符号で説明します。
ご了承ください。

今回は対嬉野流の対策を考えていこうかと思います。
時間がない方は第一章を読み飛ばして、第二章から読んでください。
第一章は、どちらかというとコラム的な要素が強いです。

嬉野に対してのコンセプト(及び覚えておくこと)は以下の通りです。
・54の歩は取れるなら取る
・場合によっては角銀交換をして攻める。
・棒銀が通るなら通す。
・角道を通して76銀は成立することが多い。

▼今回参考にした動画
Sugarさん、さいさんのチャンネル。
嬉野含めて苦手だとか、知りたいと思ってる戦法を解説してくれるので大変助かります。
更新楽しみにしてます。
先手角換わり棒銀とかの解説してくれないかなー。とても苦手なんですよね。

テーマ図


第一章 嬉野完全否定の「23歩」

テーマ図から23歩もあるところで「真に咎めるなら」ということで少し調べたこともありますが、この変化は「かなり難しい」です。
局面ごとに知らないと悪くなる手が多いという印象でした。

重要局面:この局面を嬉野流が知っているかどうか……

68銀もあるところですが、横歩を取られた時に金にヒモを付ける、角で歩の交換をされた時に王手を避けるという意味で、69玉が無難です。

さて、上図で正しい対応をされると難しいということになります。
自然に嬉野側は右銀を活用したくなるところですが、この局面自体既に嬉野流にとっては一つの制約が課されています。
飛車の横利きがなくなると、角切りからの銀打ちがあります。
なので、飛車先交換出来ても横歩は取れないし、右銀も動かせません。
この条件を嬉野側が知らなければ優勢を作りやすい局面でしょう。
そもそもこの局面で斜め棒銀も出来ない様では、嬉野流としては悔しい限りでしょう。

この局面を整理すると、嬉野側は23の歩が傷で駒の動かし方に大きな制約を抱えています。
なので、この傷をどうやってケアするのかが争点になってきます。

最善34歩からの攻防

よって、最善は34歩となります。
ソフト的には傷を抱えたまま戦えないということで、34歩~33銀でケアする手を選びたいそうです。
44銀型だと、いつでも角切りの強襲があるので、右銀を動かせないという制約を果たしながら傷をケアするとなるとこの手に絞られます。

この形になると”嬉野流としての主張”は薄くなる。

主張点を作るとするなら24歩23金と歩を回収するくらいですが……。
斜め棒銀という主張から歩得にシフトされると結構やっかいです。

分厚く居飛車苦戦に見えるが……

居飛車は歩切れで嬉野側は上部に分厚く見えます。
実際この局面は互角ながら若干嬉野側が良いみたいです。
歩切れが解消出来る見込みは一応ありますが、一歩の差はやっぱり大きいです。

一応狙い筋(嬉野側が間違えれば)良くなる手はあります。
いきなり35歩と仕掛けます。
35歩同歩同銀は自然な進行です。

ここで34歩としたくなるが……

ここで34歩は悪手となります。
枚数が足りている様に見えますが、よく見てください。
金に紐がついていません。

技が決まる

同銀は11角成として桂取りの先手になります。同金は33角成道桂に26飛車と走って良くなります。
ただ、44銀と最善手をされると、さっぱりしてしまって若干の指しにくさが残ります。

まだ互角ではあるが……。

さて、ここまでお話して薄々勘付いたのではないでしょうか?
「あれ、結構大変だぞ!」

そもそも嬉野流を指す人は、嬉野しか指さないスペシャリストが多いと思います。
これくらいの序盤知ってることでしょう。わざわざ相手の術中にはまる必要はありません。

23歩を最大限に生かす攻め

ということで、「多少強引でも攻めてしまおうというのが第一章の結論になります。

おさらいですが、飛車の横利きが消えれば角を切って22銀打つとして居飛車優勢です。

銀が53のままなら横歩を取られることはないですが、銀が使えません。だからと言って64銀と出ると横歩が取られます。
そういった背景があるので、上図のような進行になるわけです。
さて、飛車の横利きが消えれば居飛車良しになるというお話をしました。
一つお話していなかったことがあります。

強襲!

飛車の横利きがある場合は互角です。
ここからずっと攻め続ける展開を作れます。

加えて、最初からこの強襲をするつもりなら38銀とした方が若干点数が良いです。
さて、話を戻しますが、角切りの強襲が互角です。
この手に対して同角か同金なのかで分岐します。
ただ、かなり細い攻めをつなげる必要があるので、このルートを選ぶのであれば相当調べないといけないというのが、わたしの結論になります。
少しばかり調べましたが、実戦的に勝ちにくいと思います。
だからと言ってもう少し待つと34歩から歩を取られてしまいます。

34歩問題を解決しないことには、自信を持ってこの変化を選ぶのは難しいかと思います。

第二章 UFO銀 人間的な勝ちやすさを狙う

分岐点

ただ、参考にした氏の動画を倣って今回はUFO銀を採用。
そのために、飛車を28まで引きます。

狙い筋を説明するために今回相手は44銀とせず飛車先交換を急いだパターンから検討していきます。

UFO銀!

小技 手裏剣の歩

さて、ここで横歩取られるとうざいという話ですが、一つ小技を。
居飛車は早々と飛車先交換をしたので2歩手持ちにあります。

いきなりの手裏剣

同銀とは当然取れません。
同銀には82歩から桂馬を取って35桂馬が痛烈に痛いです。
銀を出た分薄くなっています。同金とすれば、壁になるので手筋として知っておいてよいかもしれません。

最善66角の理由

ソフトはここで66角を示しています。

間接的ではありますが、この手は44銀としなかったことを咎める手になります。相手の飛車の横利きを止めて、35銀~36銀を狙っています。

34銀に同歩なら角がなれる。放っておけば23銀成が厳しい。

なので、44銀は嬉野側としては早めに指さないといけないということになります。

44銀とすればすぐの攻め筋はない。

以下、中原囲いを目指して普通の駒組をしていきます。
嬉野流からすぐの攻めはなさそうですし、駒効率的にもこっちの方が良さそうに映ります。65歩まで出来る格好になると相当勝ちやすそうです。

45歩に55銀には面白い狙い筋がある。
5筋を突くのが強い人の手

同銀にはじっと66歩と伸ばして銀ばさみがあります。

なので、引くくらいしかありません。
その後は、銀を立って55歩と止めてくる様なら、66歩として雁木のような形を目指すなどしながら、相手の銀の進路を遮れば、居飛車指しやすい恰好です。

まとめ

・23歩からの決戦策は、嬉野側が最善を調べていると互角ながら勝ちにくそう
・UFO銀にして、少しずつ模様をよくする指し方が有力。

V名人戦対策

これを書いているのは、V名人戦の当日になります。
嬉野流を使うということだったので、最低限の知識をまとめたという恰好です。
普段は特定の相手に対してメタを張るようなことはしないのですが、今期ばかりは勝ちたい。と、なりふり構ってられなかった。
「盤王」という漫画の主人公の考え方にも共感したというのもあります。
彼も、何でも受けて立つってスタイルだったんですが、敗戦を機に変えた。
勝つためなら、そういった拘りも一つ捨てないといけないのだと思いました。
この記事は対局後に公開する予定です。
どうか、勝てていますように。

紫陽花さくら

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