角換わり拒否(△1四歩型)


そういえば、角換わり拒否の記事をまとめていなかったことを思い出して、今この記事を綴っています。

※滅茶苦茶長くなってしまったので、結論だけ見たい人は、「▲66歩型(雁木を目指す)」を参照ください。

前提のお話

下図が角換わり拒否のテーマ図とします。

角道を開けない

△14歩を咎める▲24歩

飛車先の交換を許容する指し方なので、先手だけ飛車先交換をしている状況を構築したいところです。
上図から、▲26歩△同歩▲同飛と進みます。
ここで、後手からの手は実はそこまで広くありません。
・△34歩
・△23歩
その他にも手はありますが、意味合いが薄そうなので、今回は省略します。

△34歩 大本命

まず△34歩から。
この手は揺さぶりをかける手で、候補手の三つの中では一番積極的な手と言えます。

12手目から既に怖い形

先手からすると、自分から角交換をすれば手損だし、角が不安定なので横歩を取ったりする暇はありません。
ここでは、66歩か88銀と分岐するかと思います。

〇88銀(窮屈にな恰好になりそう)
(銀を上がる手は88銀の一択で、それ以外は、86歩同歩88歩で先手が困る)
そして、88銀は、持久戦になった時に88銀が壁形になってるとも言えてちょっとだけ嫌な気持ちになります。
8筋が手厚いと考えれば別ですが、後手は既に飛車先交換を許容しているので、左銀を中央に使うことも可能です。

もちろん互角だが、先手が目指したい展開ではないと思う。

なので、ここで88銀とするのは若干消極的なので66歩と止めることになりそうです。

〇66歩(横歩は取りにくい)

この横歩は毒饅頭か

取れるなら取りたいのが横歩ですが、取ってすぐに悪いことがないのが罠で取りにくいです。
一般的に持久戦になれば歩得が生きる展開になりますが、横歩を取ると33角22銀23銀と銀冠を構築出来ます。
下記は一例です。

勿論互角です。

勿論互角なのですが……。ここで、わたしから個人的な話をさせてください。先手で雁木する方いますか? 雁木専の人いますか?
何が言いたいかと言うと、普段雁木をしない人が雁木をすると、75歩から攻めを受け間違えて死にます。
75歩に同歩としてはいけないらしいですよ。
わたしは雁木がとても苦手なので、こういう一方的な展開は避けたい。なんで先手なのに攻められにゃならんのだ! という感じになります。
相掛かりの雁木は別ですけどね(伝われ)。

というわけで横歩を取るのは、33角を許して好形を作られてほんの少し癪です。
そして、この先もやっぱり横歩を取るのがちょっと難しそうです。

41玉で32の金にヒモはついている。
▲67銀△23歩として横歩を取る最後のチャンスとするも、
後手の陣形も中々だ。

というわけで中々どうして横歩を取るのは難しそうです。
飛車先交換は許しても、後から繰り銀で角頭を攻めれば後から回収出来るし、別に構わないというのが後手の考え方なのかもしれません。

△23歩 もっと安定を求めた人生を送りたい。

23歩とすれば何か起きることはありません。
そうです。何もないのです。
もっと自由に安全に駒組を行えます。
もっと安全、というのは手損許容で角交換をしてくることがあるからです。
そもそも角換わり避けたいって人もいるかと思うので、より安全な23歩も併せて紹介します。

まず、23歩ですが、驚く程地味です。そして、力戦。
やることは単純で、早繰り銀で角頭を攻める。

コンセプトがとても分かりやすいです。
結局の所、早繰り銀がシンプルに強いってことです。
ただし、早繰り銀はそう簡単に出来ません。
”75歩急戦”を乗り越えなければならないのです。

△64歩▲26歩 先手:▲28飛型

早繰り銀は組めない

じっくりと駒組された場合、早繰り銀をソフトは推奨してきません。
理由はわたしの棋力では見当もつきません。

上図において、後手の最善は64歩が出てきます。
一歩渡してる都合で、73桂馬と桂馬を跳ねるのは少し気を遣う局面となります。
少し話は逸れますが、早繰り銀が出来ない理由について少しお話しましょう。

上図から24歩同歩同飛として74の歩を狙いに行きます。

75歩急戦 極限早繰り銀対策でも似た筋がある。

73銀は部分的にありそうな手ではありますが、極限早繰り銀対策で用いられる75歩が入ります。同歩と取ると74歩で潰れ。64銀と躱す手は74歩と取り込まれます。

この陣形で、単純なこの王手が受けにくくて潰れです。
飛車玉のコビンを開ける時は計画的に。

△64歩63銀~54銀型

64歩であれば、そういったことはありません。

後手の狙いとしては、角頭の歩を狙いに行くことです。
64歩はソフトの最善ではあるものの、角を使うタイミング・玉を動かすタイミングを失って勝ちにくい印象でした。

飛車先交換をして貰えればという所で待機策を使ってみようかと思います。
94歩、41玉、42玉の中では42玉が一番価値が高そうです。
玉の位置を早々に決めてしまうきらいはありますが、まぁ仕方ないということで。
とても細かいですが、42玉のタイミングで24歩を交換してくれるのであれば、74歩から早繰り銀が可能です。95角が王手になりません。
じゃあ、94歩としてもう一回待機すればとも思いましたが相手が先手番で16歩を省略している形では少し欲張りかと思われます。

上図の後手の陣形は相掛かりや横歩取りで発生する形になっています。先手の左銀が今の所中途半端な形になっていて、68玉と出来ません。形の違いで得を出来るかは不明ですけどね。

最善手順をいくつか見ていましたが、ここでの最善は35歩らしいです。
意味合いとしては、65銀に対して26飛車を用意していることみたいですが、13角があったりするので、どれだけの人がやってくるかわかりません。
人間的には、37桂あたりが無難に映ります。
以降は、急に戦うという展開にはなりにくそうです。

68銀型以外の選択

68銀型を選ぶと66歩から雁木を作らないと働きが少しばかり弱いです。
かといって、69玉79玉88玉は好形になっているかは不明です。
では、88銀型にしてはどうか? という話になりますが。88銀型だと74歩から早繰り銀が可能です。

銀の位置一つでここまで評価値が変わるのは面白いですね。
ただし、評価値上の話なので、作戦として選ぶ時はきちんと調べる必要があると補足しておきます。

78銀型もそこそこ先手がやれそうな形勢

22銀型のみ後手が指せる形になるということになっていそうです。

▲66歩型(雁木を目指す)

美味しいものは最後に食べる派なので、敢えて66歩に触れてこなかったが、最後に触れてみようと思う。

66歩とすると後手は34歩を指しやすくなる。

後手の陣形は上図まで進むと、それなりにまとまっています。
先手も38銀型がしっかりしていて居玉でも耐久性はあると言えるでしょう。
先手が37銀や58金などわずかに陣形が崩れたタイミングが後手から65歩を発動するタイミングということになります。

▲37銀(急戦策)

先手が37銀としてきた場合の進行を見ていきましょう。
後手の狙い筋はとてもシンプルです。
65歩から歩交換をして、74銀とバックします。

そして、86歩同歩85歩として棒銀を狙います。
この狙いのために、74歩から桂馬を活用する手を候補に挙げなかったのはないかと思われます。
66歩と打つのが元気がないと思うのであれば角交換ですが、先手から角交換させることに成功させているので、後手悪い気分ではないでしょう。
加えて66歩と打たれると痛烈なので、結局66歩は打つことになります。
角という目標がいなくなった場合は、54銀と55角などを消したりするために中央を厚くしておきます。
評価値的には互角ですが、37銀は若干隙があるように思える。

▲46歩(持久戦)

通称”親の顔より見た形"を目指していきます。
47銀37桂48金29飛車というのは、居飛車党がお世話になり過ぎていて、もはや足を向けて眠れません。
というわけで、急戦持久戦で言えば持久戦にシフトすることになります。
みんな大好き駒組の時間です。

陣形が整うまで、先手からすぐの攻めがない=なら、より良い形を作ろう。という仕組みかと思われます。
相掛かりにも共通することですが、68玉型や42玉型とした場合の最終目標は銀冠を組むことにあります。33角は銀冠を目指した手となります。

こうなると、将棋が強い人が勝つ展開なのかなと思ってしまいます。
難しくて理解できないですが、上図からは44歩をソフトが示しています。
45歩の位を取られるのを嫌ったのでしょうか? わかりません。

まとめ

今回示したかったは、どっちが良いと結論を付けるというよりかは「後手も戦える」ということです。十分に示せたのではないかと思います。
村田システムをはじめ、後手から角換わりを避けるケースも増えています。
調べるのに4時間くらいかかってしまいましたが、わたし自身良い勉強になりました。
本当は飛車の位置も検討したかったのですが、今回はこれくらいで勘弁してください。

色々言いましたが、そろそろ強引にまとめます。
・後手の理想は早繰り銀だが、組めるケースが限られる。75歩急戦がとても厄介。
・細かい変化を無視したいなら42玉型を作ってから64歩で何となく戦える。
・そもそも後手角換わりで苦労していないなら角換わりの方が楽しい(個人的な意見です)。

ここまで読んでくださってありがとうございました。
多分ミスなどもあるかと思います。
免罪符的な言い回しですがわたし自身そんなにお将棋強いわけでもないので読み物として楽しんでいただければ幸いです。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?