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脱炭素化をして再エネに移行する社会動向の根拠とは?~データでみる地球温暖化~

我々Hxは,人類が長年頼ってきた化石燃料に代わる新たなエネルギーとして,主に水素エネルギーを普及する活動をしています.

今回は水素ではなく何故従来の化石燃料から脱却し,再生可能エネルギーへ転換を目指すのかを明確にするため,化石燃料が抱えている問題を調査してみようと思います.

化石燃料を辞めて再生可能エネルギーにしていこうよ,という社会動向の根拠には大きく分けて下記の通り2つあると思います.

①このまま使い続けると化石燃料が枯渇してしまうから
②化石燃料を使う時に排出される二酸化炭素により温暖化が起こってしまうから

本記事は,この2つの根拠について,データを基に裏付けてみようというコンセプトのもと執筆されています.水素を押していきたい我々ですが,あくまで科学的には公平に眺めていきたいと考えております.そのため,何か誤りでしたり怪しい点等ありましたらコメントにて指摘していただけると幸いです.少し長い記事になってしまいましたが,ご覧いただけると幸いです.

①化石燃料はどのくらい残ってて,このままだとあと何年で枯渇するんだ?

では,そもそも化石燃料ってなんでしたっけ?
辞書で調べてみるとこんな感じのことが書いてあります.

化石燃料
動植物の死骸などの有機物が長い年月をかけて変質し、今日燃料資源として採掘され使用されている物質の総称。石炭石油天然ガスなどが該当する。

weblio辞書

他にも化石燃料に該当する資源はたくさんありますが,この章では辞書に書いてある代表的な化石燃料,石炭石油天然ガスについて,あとどれくらい残っていてあと何年くらい使えるのか,調べてみました.

この章で用いるデータは全て経済産業省資源エネルギー庁の化石燃料の動向を調べたサイトから引っ張ってきました.様々なデータが分かりやすく乗っていたので,詳しい内容を知りたい方はぜひこの記事を見た後に飛んでみてください.

世界の確認埋蔵量

では,まず化石燃料の埋蔵量から.

世界の化石燃料埋蔵量(左から石油,天然ガス,石炭)

少し見えにくい図になってしまいましたが,伝えたかったのは真ん中の数字の埋蔵量の部分です.

各化石燃料の埋蔵量

化石燃料の消費量

次に化石燃料の消費量です.

世界の化石燃料消費量(左から石油,天然ガス,石炭)

こちらの図からは、年々化石燃料の消費量が増加していることが分かります.2020年は前年比で減少していますが,これはコロナによって人の移動量が減少したことによるものです.残念ながら2021年以降は上昇に転じています.
ここで伝えたかったのは最新の化石燃料の消費量です.

直近一年間における化石燃料消費量

あと何年で枯渇するか

最後に簡単ではありますが,化石燃料の確認埋蔵量を2020年の消費量で割って,このペースで化石燃料を使用した場合あと何年で枯渇するかを試算してみました.

埋蔵量・消費量から推察される枯渇までの時間

計算した結果,あと50年程度で石油,天然ガスが枯渇してしまうことが分かりました.しかも,化石燃料の消費量は年々増加傾向にあります.このまま枯渇直前になるまで化石燃料をダラダラと使い続けるのか・・・.新エネルギーが求められている理由も納得です.

②二酸化炭素による地球温暖化への影響

2.1 二酸化炭素が地球温暖化に影響を与えてるってホント?

さて皆さん,地球温暖化懐疑論であったり陰謀論というのを聞いたことがあるでしょうか?
「温暖化は欧米などが優位性を保ったり,利益を拡大するために誇張されているー」みたいな話ですね.懐疑論は本や論文まで出ています.

「地球温暖化」の不都合な真実

筆者は学士,修士とクリーンエネルギーの変換を専門とする研究室に所属していたのですが,丁度2年位前に研究室の仲間がこの話を持ち出してきたのをよく覚えています.二酸化炭素問題が地球温暖化に影響しているのは陰謀論だと思ってるからエネルギー系の仕事に就く気にならないと言っていました.

その当時,懐疑論に興味を持った筆者がネットで懐疑論について検索するとかなりの量の懐疑論がヒットした記憶があります.しかし,今改めて「地球温暖化 懐疑論」と検索してみると当時より懐疑論勢力が弱まっているような気がしました.

どうやら2021年にノーベル賞を受賞した真鍋淑郎先生が地球温暖化と二酸化炭素関係を示す気候モデルを作成したことなどが影響しているようです.この気候モデルを提案したのは1967年だというから驚きです.

真鍋博士のモデル 引用:計算科学研究センター

そんな消滅しつつある地球温暖化懐疑論ですが,とはいえ,どうして二酸化炭素が増えると地球温暖化が起こるんじゃいということをせっかくなので少しだけ書いておきたいと思います.

地球温暖化のレシピ

①人間の生産活動によって二酸化炭素を排出します
②二酸化炭素が赤外線を吸収して大気を少し温めます
③大気が少し温まることにより大気中の水蒸気量が増加します
④水蒸気が赤外線を吸収して大気をより温めます

真鍋先生は,赤外線の放射と空気の対流,水の循環による熱の動きをモデル化した人なんですが,そのメカニズムに沿って考えると二酸化炭素が増加すると温暖化が起こるということですね.温室効果ガスの影響は水蒸気が主であって二酸化炭素は関係ないみたいな話は,その水蒸気が二酸化炭素が増加することによって増えるんじゃいということで説明できます.

二酸化炭素が赤外線吸収するイメージはなかなか湧かない人もいるかと思いますが,二酸化炭素と空気を同じビーカーかなんかで集めて,30分くらい赤外線を当てると二酸化炭素入りのビーカーの温度が結構上がるみたいな実験がYouTubeとかに結構上がっているのでぜひ見てみてください.

2.2 世界の二酸化炭素排出量は富士山何個分?

前節では二酸化炭素が地球温暖化に影響を与えることの説明をしてきました.今節では,その二酸化炭素を人間がどれくらい排出しているのかを書きたいと思います.そして,排出量だけ調べてもいまいちピンとこなかったので二酸化炭素排出量を富士山何個分なのかを計算してみました.めんどくさいので計算過程は省きます.

まず世界の1年あたりの二酸化炭素排出量は大体335億トンのようです.
これを体積に変換すると17,085km³と出ました.富士山が約400km³らしいので,1年間で富士山約43個分の二酸化炭素を排出していることが分かりました.

10年ちょっとで500個分,こんなに二酸化炭素撒き散らして,人類に取り返しがつけられるでしょうか?

2019年 世界の二酸化炭素排出量(参照URL: https://www.jccca.org/global-warming/knowleadge04)

2.3 車の1km当たりの二酸化炭素排出量

地球規模の大きい話も自分には関係ないのでは?とピンとこない方を想定して,身近な車がどのくらいの二酸化炭素を排出するかを考えてみます.

燃費は優秀なプリウスのカタログ値を参考に約30km/Lとしましょう.
ガソリン1L当たりの二酸化炭素排出量は理論値が出るので,2.36kg/Lとなります.

それを燃費で割って1 km当たりの二酸化炭素排出量を出します.
2.36/30=0.07866kg/km

つまり1km走ると約79gの二酸化炭素を排出しているみたいです.重さだとインパクトがないので,体積に直すと,なんと約40ℓとなります.そんなに出してるの?計算間違いしてない?不安になるくらい自分にとっては大きな値が出る結果となりました.

まとめ

本記事では,脱炭素が社会的意義のあるものだという2つの根拠
①このまま使い続けると化石燃料が枯渇してしまうから
②化石燃料を使う時に排出される二酸化炭素により温暖化が起こってしまうから
をデータを調べることによって自分なりに裏付けてみました.

化石燃料は残り50年分しかない.50年という数字,どうでしょうか?そのくらいの感覚はもってるよって人も多いかもしれませんが,具体的な数字を聞いて少なからずギャップを感じた人もいるのではないでしょうか?

温暖化を進行させる二酸化炭素の排出量は年間富士山43個分車を1km走らせるだけで40ℓも二酸化炭素を出している.

もしこの数字を見て環境問題への危機意識が向上してくれる人が1人でもいたら本望です.長い記事をご覧いただきありがとうございました.


Hxは、水素エネルギーの社会実装のあり方を探究するU30の研究集団であり、さまざまな企業と共に水素エネルギーの未知なる可能性の発掘を支援しています。このnoteではHxが行ったリサーチや対話を通じて見つけたインサイトをお知らせします。

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