本当に「優しい人」はどんな人だろう。

きっと素直に優しいことができて、どんな思考を巡らすこともなく、すぐ突発的に優しくできる人のことだと思う。

だから日頃からすごい優しい言葉がポロポロ出てきて、１つ１つの時間を嬉しく、心安らぐようにしてくれる人だと思う。

それが優しい人の定義で、私もその定義が本当にそうだと思う。

だから、私は偽善者だと思う。

人から言われると悲しいし、苦しい。
けどもっと自分の心の奥底で感じるのは「悔しさ」

まだ優しい人になりきれなかった悔しさ。

へじんは実はそんな優しい人じゃない。

素直にできる時もあるけど、ちゃんと思考を巡らしては選択をしている。

こういうことをしたら、優しい人になれる。

そうわかって、やっている。

いつからか、優しい人になりたかった。
それは多分、人に愛されたい、そんな綺麗に見えて、ドス黒い欲からだったと思う。

いじめられたり、差別されたり、まあ本当に涙ちょちょぎれる話ではあるけど、そんなことを経験してきたからか、やっぱ人に愛されたい、そんなことをずっと思ってた。

「みんな仲良し」
その言葉が並べられても、見えてくるカーストが、自分の立ち位置が、死ぬほどわかってた。

別に可愛くないし、別にすんごい才能もない。

そんな私が好かれる方法なんて、優しい人になるしかない。

生存戦略だ。

そして本当に優しい人はきっと思うことのない、汚い動機だ。

けど愛されたかった。だから優しくなりたかった。

そして思考して、選択して、「優しい」を続ければいつか思考なんて巡らすことなく本当に優しい人になれるんじゃないかと思った。

そう信じたかった。

いくつかは本当に優しくなれたかもしれない。

けどまだまだだったみたいだ。

どうでもいい人にでもなく、こんなにも時間を共にしたとは思わない、そんな人から偽善者と言われた。

それが感情的に出た言葉だとしても、けど本心もあると思う。

へじんの選択の「間」がバレてたのかもしれない。

演技と嘘は下手くそだからかな。

けど改めて、偽善者だなって思った。

本当に悔しいし、そんなこと言われたくないけど、けどやっぱ偽善者だなって思った。

今やってることはもちろん本気だけど、「そんなの不平等じゃない」そんなどこからか湧き上がってきた自分の正義を叫んでるけど、けどもっともっとミクロで見たら、全部自分のためだ。

差別されたくない。

家族が、友達が苦しむのを見たくない。

家族と友達の大切な人が苦しむことで、家族と友達が悲しい顔をして欲しくない。

そしたらへじんが辛くなる。

結局自分のためだ。

やっぱもっと大きい舞台で、アクションを起こしてる人と私の違いはそこかもしれない。

不純な動機がいけないのかもしれない。

けどそれでも、クソ野郎に残るよりは偽善者がいいと思った。
ずっと偽善者を演じてたら、いつか本当に優しくなれると思った。

偽善者なの、わかってる。

わかってるけど、演じさせてよ。
本当に優しい人じゃなくったって、そうなりたいって思ったっていいじゃん。
今は無思考の優しさができなくったって、いつかできたらダメなのかな？それじゃあダメなのかな？
それは偽りの姿になってしまうのかな。

わかってる。わかってるけど。

へじんだって愛されたいんだもん。
愛されたくって、優しくされたくって、たまらないんだもん。

だからもう少しだけ、本当の優しい人になるまで偽善者のへじんでも見守ってよ。

偽ってたって、いつかは本当になるんだよ、きっと。