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悪の帝国中間管理職ゲー TYRANNY

ウィンターセールでこまごま積んだ中で、正月中ずっとこればっかりやってました。この記事はひたすらろくろを回しながら感想を垂れ流す感じになります。ご了承ください。

日本語化MOD完備。おつかれさまです!

こんなゲーム以降は基本ネタバレしかしませんので、クリアしてない方は引き返してください。

Tyrannyはこんなゲーム

舞台はテラトゥスと呼ばれる大陸。軍事力と恐怖政治を用いて全土掌握を目指す暴君カイロスによる、長い長い戦乱が続く世界です。侵攻はいよいよ最後に残された大陸の西端地域、ティアに及びます。
カイロスは突出した能力を持ったアルコンと呼ばれる数人の統治者を通じて自分の意思を実現させています。ティアに侵攻した軍隊は、それぞれ2人のアルコンが指揮していますが、何かにつけて水と油で犬猿の仲であり、いつ内戦に発展しても不思議ではないほど、両者の緊張は高まっています。
そんな彼らが表立ってことを起こさないのは、忠誠心もさることながら、カイロスの強大な力と厳格な法を司り、彼らの行動を監督するアルコンを恐れているからです。

三すくみ状態で張り詰める勢力図。胃が痛いやつ!

主人公は法の番人であるトゥノン配下所属の裁判官のような官僚のような行政官で、フェイトバインダーと呼ばれています。両軍の作戦の合法性を吟味して適切なソリューションを提示したり、必要に応じて現場に派遣され、厳格にカイロスの法を執行するのが、フェイトバインダーの仕事です。
侵攻の最初の2年、主人公はいくつかの大きな戦役でバランサーとして働き、ティアを帝国の支配下に置くことに大きく貢献しました。そして3年目、現地の抵抗と内部の対立によって難航する統治を完全なものにせよと指令を受け、カイロスの「布告」を携えてとある谷へと赴きます。
その「布告」は強力な魔力を帯びていて、1週間以内にその谷に存在する特定の施設を占拠しなければ、自分はもとより谷にいる者を敵味方問わず殲滅する恐ろしい魔法が発動する、というもの。しかも谷の唯一の通行路は魔法で崩されてしまい、逃げ出すこともできません。国ひとつを壊滅させられるような威力と発動/回避条件を思いのままに設定できるこの布告を作れるのはカイロスただ一人、邪知暴虐の王はその恐怖によって絶大な権力を振るい続けているのです。両軍を協力させ、現地の抵抗勢力に対処して、その布告の発動を防ぐことから、この物語が始まります――

そんな感じで始まる、Pillars of Eternity(以下PoE)とかIcewind Daleみたいな感じの見下ろし型ロールプレイングゲーム。オブシディアンですので選択と結果がすべてです。帝国と現地に存在する各派閥とコンパニオンの信頼を勝ち得たり怒らせたり怖がらせたりすることでスキルが増えるこの作品は特にそれがすごい。
PoEはもっとこう、主人公の宿命以外は自由だし善も悪も自分で選べるよ!って感じですけど、これはすでにずっと侵略してる悪の帝国の中の人だもんですから、基本的に善人ではありません。そして、FONVなんかと違って、玉虫色の結論は許されないのが新鮮です。その場の判断で善人プレイをするとあとで大変だから、実は全部ぶっころがすのが一番楽な攻略のような気がするのも新鮮。

キャラクリで自分の旗印を作る辺りからもう不穏。エルフはいません

オブシですから、もちろんコンパニオンも充実しています。ストーリーの選択に悩みすぎて各コンパニオンのよさみを満喫する余裕がなかったんですが、周回したらおいしさを噛みしめられるようになってきました。設定とか台詞とかいちいち良いのは相変わらずでお家芸感があります。
このゲームに関しては、最初からお堅くて理屈っぽいエリート職という設定があるせいか、コンパニオンとの距離感があって、既存の作品とは違う趣があります。キャプテンちょっと聞いてー!みたいなパールヴァティちゃんみはないなりに、やはりところどころクスッとしたり心が乱れる萌えポイントをちゃんと押さえてあっておいちいです。

あちらを立てればこちらが立たずの感じはオブシディアンならではですが、立場的に縛られる(ので選択肢も限られる)いつもと違う感じを楽しむゲームかなーって思います。他のよりは窮屈なんだけど、いちいち論を立てられるように行動しないと自分が反逆者になるわかりやすさで理不尽さを呑み込みやすく、選択にも重みが出て面白いです。しかしお役所の中間管理職のままというわけでもないカタルシスもあって、私はこれかなり好きですね。
そしてDLCのBastard's WoundとTales from the Tiersは買っちゃった方がいいです。移動中のランダムエンカウントが追加されるし、コンパニオンクエストも面白いよ!

あとはこういう魔法っぽい遺跡っぽい雰囲気とか荒廃の美みたいなの本当に得意だよなって毎度思いますね。

太古からある謎遺跡とか
こういう荒れ地に光る鉱物的なのとか

文章量がべらぼうに多いので挿絵付きの小説を読んでいる感じなのと、いろんなことを考える隙間がたくさん作ってあるのとで、そういうの好きな人にとってはすごく面白いゲームだと思います。このあとネタバレに続く。




























【ここからネタバレ】ろくろ

・まずはレビューでよく見かける終わり方の話
わりと男坂的な終わり方をします。ここからがええとこやんけ!!!!というところではあるので残念な気持ちになったレビュアーさんのお気持ちはよくわかる。よくわかるんだけど、だいたいは何か知らん選ばれし勇者が苦悩しながらなんか悪を滅ぼす話が多い中で、特に選ばれたわけでもなく良心を優先させるにも命が惜しいし粛々と公務員やってたら選ばれてしまいましたあらまあどうしよう!!!っていうとこだけ切り取ったゲームってあんまりない気がするの。その先まで全部描いちゃうと、なんかこのゲーム作る意味なくね?って思ったんですよね。もしかしたらカイロスさんの深遠なあれかもしれんし、最初はどんだけ高邁な理想でも多分悪政するんだろうなって予感がするけど、そこまでひっくるめて想像の余地があっておいちい。
・ED各ルート
ディスフェイバード
まあ軍隊らしい。単に軍隊らしいだけなら考えるまでもなくこっちなんだけど、血統主義だし親分は身内にはいい人だけど石頭でプライドばっかり高いから、少々忸怩たる気持ちになる。あと親分をラスボスにするとやっぱりバリクさんがかわいそう。でも後味は悪くない方。親分いまわの際にめっちゃしゃべるのでちょっと笑ってしまった。
スカーレットコーラス
後味悪い。捕虜にする人に死んじゃうから逃げなさいって言いたいのにその選択肢は使わせてくれず、必ず棒の先に刺さるし。そして最後で戦うとその人たちが召喚されて敵になるし後味悪い。それにバリクさんがめちゃくちゃかわいそうな展開だからつらい。でも悪のラスボスとしてはこの親分の方が好きだな。死に際がよい妖怪じじい、おいちかったです。
反乱軍
エンディングの明るさで言うと、これが正規ルートなのかなーという気がする。多分派閥も全部は味方につけられないと思うんですけど、みんなそれぞれ好きなこと言いよるから、今はよくてもあとで苦労するやろし、いずれやっぱり暴君になっちゃうんじゃなかろうかみたいな苦味が残るのも好き。

他と違って未来が明るいみがある色調だった

アナキスト
これはやってないし多分やらないのでわからない。圧政と無政府どっちがいいかと言われると、やっぱりまだ圧政の方がマシかなって気がするし、誰彼構わず殴るのは好きではないのでのう。

規律に厳しいのとフリーダムなのと、二つの勢力に競わせて足りないとこを補い合ってうまいことやったろ、みたいな意図はわかるんですけど、フリーダムな方がフリーダムすぎてお前そらあかんわ…ってなりました。
それゆえに彼らを見限って主人公を祭り上げることにしたのかもしれず、反旗を翻した(翻さなくてもいいけど、どっちにしてもいずれ負けるかもって思わせる能力がある)主人公より強いとこを見せつけるまでがシナリオなのか、こういう残念な責任者を野放しにしちゃう程度だから主人公がさらに上手を行ったのか、想像が広がりんぐでごはんが何杯も食える。いいものだ。
・さすがオブシ選択がえぐい
プロローグで選ぶことになる、最初の2年の選択が最後まで影響するのもそうですが、サブクエをやるかやらないかまで考えないと予定のルートを達成できなくなります。もうゲーム全体を選択と結果に全振りしているのがすごい。こんなの考えてゲームにする頭どうなってんだ。
・コンパニオン尊い
眼鏡取ったら美少女的に鎧を取ったらイケメンだったヒロイン枠のバリクさんは本当に最初から最後まで尊かった。多分開発側一番思い入れがある子なんじゃないだろうかポートレートこの子だけ3枚もあるしな。ディスフェイバードルートはいつでも忠実な仲間であったし、コーラスルートはもう心バキバキでかわいそうすぎたし、DLCを入れて始めた反乱軍ルートもわりと千々に乱れる心が痛々しかったしコンパニオンクエストもアツくて本当によかった。おいちい。
異母妹のヴァースさんも一本芯が通ったキルモンガーかつツンデレがよすぎて鼻血出そうだった。おいちい。
そしてこの二人にはうすらロマンス的なものがあるのを確認しました。DLCで追加されるみたいですね。おぶしなのに珍しいな。でも私はどっちかいうとラントリーさんの方がゲフンゲフン
ラントリーさんはイケじじいなだけでなく、オタクの早口トークとか、学者の回りくどい言い回しとか、DLCで語られる歴史家の矜持みたいなのが大変おいちかったです。まあやっぱり上の二人にロマンスがあるならこっちにももっとふんわりでいいからそういうものをだねゲフンゲフン
シリンちゃんは15歳なのに言葉がきれいだしエレガントだし、しかしこの若さでアルコンになって色々翻弄されて想像もできない苦労をした感じが痛々しくて好き。でもそういう境遇でも絶対負けない強さがあるのも好き。彼女にはコンパニオンクエストがなかったのが残念でした。
エブさんとキルズ・イン・シャドウさんは残念ながらあんまり特に強い思い入れが持てなかったんですけど、それぞれに背景やセリフは好きな人は好きな感じだと思うの。獣人のキルズ・イン・シャドウさんは、もうちょっとゴリスくんみたいにインテリジェントだったらハマったかもしれない。声優さん全員イケボなのに、この人だけは耳当たりがよくなくて苦手なのもあったかも。それと、やっぱり蘇生持ってる人を重用しやすくてコンパニオン選びが偏っちゃったのがちょっと残念と言えば残念だったかな。
・NPCも尊い
ひたすら法に忠実で、自分でも信じられないって言いながらも、抜け穴とか利用しまくって口先で丸め込んだ主人公の前に膝を折る潔さが尊いトゥノンさん。イケボもツボに入った。尊い。仕えるって言いながら口調がえらそうなままなのもわりと好きだった。
暗殺担当アルコンのブレデンさんも大変尊かった。燃えるお兄さんのロッキー的やるじゃない的散り際もよかったし、そこでトゥノンさんが怒るのもなんかアツくてよかった。ブレデンさん生存ルートはアナキストのみらしいけど、そのためだけにアナキストやる気はないかな…。とはいえ全然関係ないとこで勝手に機嫌損ねるのやめてブレデンさん!

と長々ろくろを回しましたが、オブシの中ではFallout2の次に好きかもしんない。これは私史上けっこう上位に入るやつ。胃が痛くなるほど楽しみにしている現在開発中のDisco Elysiumにインスパイアされた中世探偵ものが控えていますが、今のところTyrannyがオブシ史上2位。おいちかった。オブシディアンはやはりいいものだ。愛してる。

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