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HAAM注目!今月の空飛ぶクルマ最新ニュースまとめ【2023年6-7月】

個人向け機体の販売開始や「今後伸びるビジネス」ランキングへのランクインなど、注目度が高まる空飛ぶクルマ。

HYOGO 空飛ぶクルマ研究室【HAAM】(以下、HAAM)では毎月、次世代の乗り物「空飛ぶクルマ」の最新情報をピックアップし、国内と海外に分けてお届けしています。

7月は海外でバーティポートの実装や、空陸両用の空飛ぶクルマ開発に向けた動きが進みより身近に空を飛んで移動する未来が感じられたほか、日本で長い歴史を持つ企業が空飛ぶクルマ市場へ本格的に力を入れる考えを示すなど、業界が広まりを見せた1ヶ月でした。

【海外の空飛ぶクルマニュース】

01.米国発スタートアップ・Joby Aviation、「空飛ぶタクシー」の試験飛行承認を獲得【2023/06/28】

6月28日、空飛ぶクルマを利用した「空飛ぶタクシー」の開発を進めるアメリカのスタートアップ企業・Joby Aviationは、工場で生産された電動垂直離着陸機(eVTOL)の試作版が試験飛行の承認を得たと発表しました。

承認は米連邦航空局(FAA)によるもので、さまざまなメーカーが認証を得るために試行錯誤を重ねるなか、計画の実現にまた一歩近づきました。

Joby Aviationは2025年中に「空飛ぶタクシー」の商用化を目指しているとのこと。数年後には私たちの身近な移動手段に「空を飛ぶ」が加わることを考えると、ワクワクしますね!

02.英Urban-Air Portと韓国の2社、韓国でのバーティポート開発において提携【2023/07/01】

空飛ぶクルマ社会の実現のために欠かせないインフラのひとつ「バーティポート」。

街中でも空飛ぶクルマが離発着できるよう整備された空港のようなもので、機体の開発が進むとともに世界中の企業が整備に向けて動いています。

エアモビリティ向けのインフラ事業を展開するイギリスの企業・Urban-Air Portと韓国でエアモビリティ開発などを行うハンファシステム、韓国空港公社の3社は、韓国でのバーティポート開発において提携することを発表しました。

今後は韓国空港公社が所有する14の地方空港で、Urban-Air Portが持つバーティポート技術とハンファシステムのUAM(Urban Air Mobility)技術を生かし、エアモビリティのインフラの設計や建設、管理、運用を行っていくとのこと。

これまでアメリカやヨーロッパが中心となり進んできた空飛ぶクルマ開発の動きは、アジアでも広まりを見せています。イギリスと韓国の企業が手を組んだプロジェクトが今後どのような動きをするのか、注目です!

03.中国自動車大手「広汽集団」、空中と地上の両用機体を開発【2023/06/26】

韓国のお隣、中国では陸上でも空中でも走行できる空飛ぶクルマの開発が進んでいます。

中国の大手自動車メーカー「広汽集団」は6月26日、独自に開発した空飛ぶクルマの試作機「GOVE(ゴーヴ)」を公開しました。

機体は複数の電動プロペラを持つ「飛行ユニット」、乗客を収容する「キャビンユニット」、地上走行用の「シャシーユニット」の3つで構成されており、飛行時には飛行ユニットとキャビンユニット、地上走行時にはキャビンユニットとシャシーユニットを接合して移動するとのこと。

発表会では、デモンストレーション飛行も行われました。これまで空飛ぶクルマはバーティボートでの離発着がスタンダードでしたが、分離式の機体であれば、目的地の最寄りまで飛行した後、道路を走行して直接目的地までたどり着くことも可能です!

いずれはすべての車に空を飛行する機能がつき、空飛ぶクルマ化する......という未来もやってくるのかもしれません。

04.ニデックが空飛ぶクルマ向けモーターに参入、エンブラエルと合弁【2023/06/18】

世界トップのモーターメーカーのニデック(旧日本電産)が、空飛ぶクルマビジネスに参入します。

同社は2023年6月18日、米国子会社のニデックモータがブラジルの航空機メーカーEmbraer(エンブラエル)と、航空産業向けの電動推進システムを開発・製造・販売する合弁会社「Nidec Aerospace」設立に向けた契約を締結したと発表しました。

ニデックはeVTOL機の機体を宙に浮かせて推進するための駆動モーターに関する技術やノウハウを提供し、航空ソリューションプロバイダーとして50 年以上の歴史を持つエンブラエルはモーターの状態を管理し、周辺機器との連携を担う制御技術を提供するとのこと。

合弁会社は将来、eVTOL機だけではなく、さまざまな電動航空機に電動推進システムを提供する予定としています。歴史のある二社の取り組みにより、今後どのような機体やシステムが生まれるのか楽しみですね!

【国内の空飛ぶクルマニュース】

05.日本気象株式会社、空飛ぶクルマ安全運航のための風況調査を実施【2023/07/07】

2023年7月7日、日本気象株式会社は愛媛県今治市沖の来島海峡で、空飛ぶクルマや物流ドローンの想定航路における風況を調査するための実証試験を実施すると発表しました。

今治市と離島を結ぶ海域では、空飛ぶクルマや物流ドローンの導入が推進されています。しかし、今治市沖の来島海峡は潮流が速いことでも知られており、周辺地形の変化も大きいことから走行が難しいと想定されているそうです。

観測期間は9月初旬までを予定しているとのこと。今回の調査によって、安全性と利便性を兼ね備えた空飛ぶクルマ社会の実現にまた一歩近づくことでしょう。

06.空飛ぶクルマ社会をよりリアルに体感。ARシステム「空飛ぶクルマAR」を開発【2023/07/12】

妄想ではなく、「空を飛んで移動する」社会をリアルに体感できる新システムが誕生。

VRやAR、MRの開発やメディア発信などを通じて豊かな体験を世界中に届けることを目指す株式会社Moguraは、愛知県の自動車部品メーカー・株式会社デンソーの依頼に基づき、電動化製品ユニットの特徴を伝えるARシステム「空飛ぶクルマAR」を開発したと発表しました。

「空飛ぶクルマAR」では、デンソーの開発する製品を搭載した空飛ぶクルマの飛行イメージを、現実空間に重ね合わせて視聴できるとのこと。

ただ見るだけではなく、安全性や静音性、移動時間の短縮、CO₂削減効果なども確認することができ、文章や動画では伝わりにくい電動化製品のメリットを伝えます。

07.日本航空“万博後すぐに「空飛ぶクルマ」事業化目指す”と発言【2023/07/12】

7月12日、日本航空の赤坂祐二社長はNHKのインタビューに応じ、日本でのeVTOL初運行が予定されている2025年の大阪・関西万博のすぐ後に空飛ぶクルマの事業化を目指す考えを明らかにしました。

コロナ禍で落ち込んだ航空需要は今、観光分野で順調に回復しています。この夏は海外旅行へ行く!という方も多いのではないでしょうか。

しかし赤坂社長によると、ビジネス需要は未だコロナ前の水準に回復する気配がないとのこと。国内ではコロナ前の7割、海外では5割にとどまっているそうです。

そこで日本航空は観光分野に一層力を入れた上で「地方に飛行機で行っていただくような需要を作ればビジネスの落ち込みを十分補える」と述べ、インバウンド需要の地方への誘致を進める考えを示しました。

「自由自在に移動できれば地方における移動の制約が排除されて、観光やビジネスの可能性が広がる」と、万博後すぐに社会実装をして商用化を進め、全国に空飛ぶクルマを広げていく方針を明らかにしています。

日本で長い歴史を持つ日本航空が本格的に空飛ぶクルマ事業に踏み込むことで、私たちの生活がどのような進化を遂げるのか楽しみですね!

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新しい情報が入り次第、今後も空飛ぶクルマの最新ニュースをお届けしていきます。

HYOGO 空飛ぶクルマ研究室【HAAM】noteでは、イベント情報や空飛ぶクルマの最新ニュースなど、空飛ぶクルマに関するさまざまな情報を発信中です。公式サイトでも最新の情報を発信しておりますので、ぜひ覗いてみてください👀

▼「空飛ぶクルマってそもそもどんなもの?」という方は、まずはこちらの記事をご覧ください!

HYOGO 空飛ぶクルマ研究室【HAAM】
SDGs思考で未来の空を構想するシンクタンクをコンセプトに、空飛ぶクルマの実用化が期待される2030年代に社会の中核を担うZ世代以降の若者【大学生・高校生】と共に観光・地域創生分野における具体的なビジネスモデルを考えるラボラトリー。大学生向けの空飛ぶゼミや高校生のSDGsへの関心を集める企画などを実施。


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