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HAAM注目!今月の空飛ぶクルマ最新ニュースまとめ【2023年8-9月】

離発着場の建設や機体開発が進み、社会での実装がいよいよ目前に迫った「空飛ぶクルマ」。

HYOGO 空飛ぶクルマ研究室【HAAM】(以下、HAAM)では毎月、次世代の乗り物「空飛ぶクルマ」の最新情報をピックアップし、国内と海外に分けてお届けしています。

9月は、多くの企業・自治体の共創による取り組みが多く見られた1ヶ月でした。

また、大企業が空飛ぶクルマの商用利用に向けた適正価格の調査に乗り出したり、日本最大の設備を利用した騒音の削減化に向けた取り組みが動き出したりと、いよいよ私たちの身近なところまで空飛ぶクルマの実装が近づいていることが分かります。


【国内の空飛ぶクルマニュース】

01.斎藤兵庫知事、空飛ぶクルマ「大阪湾・瀬戸内・但馬の3地域を主軸に社会実装」【2023/08/31】

兵庫県の斎藤元彦知事は8月31日、「次世代空モビリティひょうご会議」で空飛ぶクルマについて、大阪湾・阪神間エリア、瀬戸内・播磨エリア、但馬エリアの「3つの地区を主軸にして、社会実装をめざしていきたい」と発言しました。

次世代空モビリティひょうご会議は、新たなサービスの展開や地域課題の解決につながることが期待される空飛ぶクルマの実装における課題や可能性を協議するもの。大阪湾・阪神間エリアでは、兵庫県が尼崎市に整備する空飛ぶクルマの発着場を拠点として、大阪府・大阪市とも連携しながら観光や関連産業の拠点を形成します。

瀬戸内・播磨エリアでは淡路島と姫路を、小豆島や瀬戸内の島々とつなぐ長距離回遊ルートの形成をめざすとのこと。2025年の大阪・関西万博に向けて、観光やビジネス、公共サービスなど幅広く空飛ぶクルマを活用するための整備が進んでいます。

02.SkyDrive、JAXAと「空飛ぶクルマ」の騒音低減に向けた共同研究に関する契約を締結【2023/09/06】

日本の空飛ぶクルマ開発を牽引する企業が、空飛ぶクルマの実装に向けた大きな課題のひとつ「騒音の軽減」に向けて取り組みを開始しました。

SkyDriveは、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)と騒音低減に向けた共同研究に関する契約を締結しました。JAXAは日本最大の航空機用風洞試験設備を保有し、これまでにも回転翼の音源探査の技術開発を進めています。

これらの設備を活用することで、SkyDriveは空飛ぶクルマの「機外騒音推定技術」の向上に関する研究を推進するとのこと。SkyDriveの機体はエンジンを電動化しており、すでに低騒音化を実現しているとしていますが、この機体が人間の生活環境の中で離着陸をし、実用化されるためには、更なる騒音低減が必要になります。

日本最大の設備を活用したこの取り組みが、今後空飛ぶクルマの開発をどう変えるのか?楽しみですね。

03.トルビズオンとエアシェア、空飛ぶクルマの未来を共創するための連携を開始【2023/09/07】

ドローン空路整備事業を手掛ける福岡の企業・株式会社トルビズオンは、航空機シェアリングサービスを展開する株式会社エアシェアとともに、エアモビリティ空路開拓とポート整備の構築に関する検討を開始することを発表しました。

トルビズオンが保有する、ドローン運航者と地域空路の調整をする企業のマッチングプラットホーム「S:Road」と、エアシェアが展開する航空分野での経験と有人機とパイロットを提供するシェアリングサービス「AIR SHARE」の経験と技術を組み合わせることで、エアモビリティの空路開拓やポート整備の新たなスタンダードを確立することを目指します。

具体的な取り組みとしては、空路やポートに関する事業モデルの共同研究・開発、情報共有、ノウハウの交換などを進め、エアモビリティの安全かつ効率的な運用を検討するとのこと。

エアモビリティに精通した2社の共創によって、インフラに乏しい地域へのアクセスや日常の移動手段としての新たな選択肢として空飛ぶクルマの実装が進んでいます。

04.HIS、空飛ぶクルマの「適正価格」を分析。万博後の商用化に向けて【2023/09/09】

旅行大手代理店「エイチ・アイ・エス(HIS)」が、空飛ぶクルマの運航ルートの提案や市場における適正価格の調査と分析に乗り出しました。

この取り組みは大阪府、大阪市、兵庫県が連携して公募した補助事業に採択され、丸紅、みずほ銀行、東京海上日動火災保険と共に実施されるもの。関西での公募事業の一環として、大阪・関西万博後に、関西エリアで空飛ぶクルマの整備が推進・構築されることを見据えています。

HISは旅行者のニーズを踏まえて検証のすり合わせを行い、チケット販売に係る料金や販促アイデアを検討するとのこと。商用利用が開始された後はHISの海外ネットワークを通じ、訪日外国人に向けても商品を造成し、販売することを目指しています。

観光客にも注目されれば、日本の最新技術を世界にアピールする絶好の機会にもなります。乗車一回あたりのチケット料金。皆さんはいくらなら乗りたいと思いますか?

05.法政大学・あいおいニッセイ同和損保・ MS&ADインターリスク総研が 「空飛ぶクルマ」普及に向けた共同研究契約を締結【2023/09/11】

法政大学大学院アーバンエアモビリティ研究所(HUAM)とあいおいニッセイ同和損害保険株式会社(あいおいニッセイ同和損保)、MS&ADインターリスク総研株式会社(MS&ADインターリスク総研)は、2023年9月1日に空飛ぶクルマなどUAM(Urban Air Mobility)の社会実装に向けた共同研究契約を締結しました。

3者は空飛ぶクルマに関する総合的なリスクの洗い出しやリスク評価、対策立案や安全・安心なモビリティサービス事業の構築を通じて、次世代航空分野における人材育成に向けた共同研究を行います。

デジタル・データを活用したリスクマネジメントへの知見を持ったMS&ADインターリスク総研とUAMに関する専門的な知見を持ち、次世代航空人材の育成にも取り組むHUAMをあいおいニッセイ同和損保が全体を統括する形で行われるこの事業。

3者の特色や強みを掛け合わせて航空物流事業やエアタクシー事業といった新たなサービス開発を行い、カーボンニュートラルや交通渋滞の緩和といった社会課題の解決に貢献することを目指しています。

06.「空飛ぶクルマ」などの安全対策に2億円。来年度予算の概算要求【2023/09/13】

民間企業だけでなく、国も空飛ぶクルマの開発に注目しています。

国土交通省は、来年度の2024年度予算の概算要求の内容を発表しました。航空局関係においては、空飛ぶクルマ・ドローンなど「航空イノベーションの推進」に関する予算が計上されています。

要求額は「空飛ぶクルマ・ドローンの安全対策」において2億円。2023年度の1.3億円から7,000万円のアップとなりました。

具体的には「空飛ぶクルマの社会実装に向けた環境整備」「ドローンの高密度運航等に向けた環境整備」「空港に侵入するドローンへの対処能力の強化」に対する予算が計上されているとのこと。国としても、エアモビリティやドローンの実用化に力を入れていく方針であることが分かります。

概算要求は果たして通るのか?今後の行方に注目です。

【海外の空飛ぶクルマニュース】

07.Jetson、SWAEと共同でロボット「Jetson Astro」を開発。空飛ぶクルマJetsonの相棒が誕生【2023/09/05】

空飛ぶクルマの機体開発を行うアメリカの企業「Jetson」は、ロサンゼルスで開催されたカーショー「PREBBLE」で、3Dプリントや製造技術に知見を持った研究開発スタジオ「SWAE」とともに開発した4本足の犬型ロボット「Jetson Astro」を披露しました。

AstroはSWAEによってデザインされ、米テレビアニメシリーズ「Jetsons」に登場するペット「Astro」をモチーフとしたもの。Jetsonが開発する空飛ぶクルマ「Jetson ONE」の自動飛行前点検を行い、離陸時に傍観者が安全な距離を保てるようにすることを目的としています。

完全に遠隔操作することも、自律的に動き回り、あらかじめ設定されたタスクを実行するように設定することも可能とのこと。今後2社は、Astroが空飛ぶクルマの離着陸時の安全性をどのように向上させるのか?検査は正常に行えるのか?など、いくつかの使用例を検討していくという。

空飛ぶクルマの相棒となる検査ロボットが実装されれば、空飛ぶクルマの運用コストはさらに削減されるかもしれません。

08.これぞ「空飛ぶクルマ」!オーストリアCycloTech「Bumblebee2.0」の屋外飛行を開始【2023/09/21】

オーストリアでローターの開発を手がけるCycloTech technology社が、最新バージョンのデモ機「Bumblebee2.0」の屋外飛行実験を開始しました。

船で使われる「シュナイダープロペラ」を応用した「CR42 CycloRotor」が4つ搭載されたこの機体。羽がなく、他社の機体と比べるとより「空飛ぶクルマ」らしい見た目となっています。また、強化された飛行制御システムを搭載しており、無人で飛行可能です。

屋外飛行は数々の検証やテストを重ねて実現したもの。同社はこの取り組みについて「航空推進システムの型式証明を目指す開発の新たな大きな節目」だと述べています。

技術だけではなく、見た目もより洗練された「空飛ぶクルマ」の今後に注目です!

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新しい情報が入り次第、今後も空飛ぶクルマの最新ニュースをお届けしていきます。

HYOGO 空飛ぶクルマ研究室【HAAM】noteでは、イベント情報や空飛ぶクルマの最新ニュースなど、空飛ぶクルマに関するさまざまな情報を発信中です。公式サイトでも最新の情報を発信しておりますので、ぜひ覗いてみてください👀

▼「空飛ぶクルマってそもそもどんなもの?」という方は、まずはこちらの記事をご覧ください!

HYOGO 空飛ぶクルマ研究室【HAAM】
SDGs思考で未来の空を構想するシンクタンクをコンセプトに、空飛ぶクルマの実用化が期待される2030年代に社会の中核を担うZ世代以降の若者【大学生・高校生】と共に観光・地域創生分野における具体的なビジネスモデルを考えるラボラトリー。大学生向けの空飛ぶゼミや高校生のSDGsへの関心を集める企画などを実施。


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