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【劇場】を映画館でみて

この記事は感想よりも、それに付随して考えたことがメインなのであしからず。ネタバレになるようなことは書いてないつもり。

7月某日、久しぶりに映画館へ行った。コロナ禍で公開されたこの映画はアマゾンプライムビデオと同時公開という珍しい手法をとっていた。

正直に行って、映画館で観てよかったし、逆に家で観ていたら入り込めなかっただろう。

冒頭主役二人に違和感を覚えたが、終盤になるにつれ違和感は消えた。演劇界に溢れきったどこかのだれかであり、その辺のアパートの蓋を開けてみればすぐそこにいるような気さえする。きっと演劇界に限らずエンターテインメントの世界に生きる人には、どこかしらすごく身近な感情であり人物なのだろう。

恋愛映画を観に行ったというより演劇の話を観に行った、私にとってはそういう映画だった。私は演劇系のサークルに所属していた。小劇場に行ったり、裏方や役者の知り合いがいたり、仕込み現場に入ったり。そういう意味で【劇場】の世界は、比較的身近な世界であった。だからその世界と遠いタイプの人があの映画をみてどう思うのか、私にはわからない。

アマゾンプライム利用者は無料であり、映画館では1000円以上かかる(私は1800円だった)上に都内では3館のみの上映。おそらくわざわざ映画館でみる人は”映画好き”と言われる人が大半なのではないだろうか。

少々邪だが、私がこの作品に興味を持ったきっかけは井口理である。好きな対象にお金をかけるのはあまり迷わないたちだが、アマプラは無料となると流石に迷った。出演シーンは少しだし。しかし先にプライムで観た友人の感想が、映画館でみたほうが面白いと思う、あと演劇に関わるひとはぐっとくるらしいとのこと。運良く最寄の映画館が公開対象だったこともあり、足を運ぶことに決めた。

私は映画がそれほど好きではない。加えて映画館も不得意である。今回は間隔が空いていたのでさほど気にならなかったが、身動きがとれないことがしんどくて途中から肩こりに気が散る。TVドラマが大好きな身としては、展開が急すぎたりあっけなく感じてしまうことも多い。しかし今回映画館の価値というものを改めて考えるきっかけになった。

この作品を家でみていたら、没入感を得られたのだろうか。以前公開当初からみたかった【怒り】を家で観た。思っていたよりあっけなく、面白かったが物足りない。それと同じような気持ちになるの気がした。家で観るとどうしても気が散る。しかし映画館は他の要素を一切排除している(ほかにノイズがないからこそ観客の動作がより気になるということもあるが)今まで映画館は大画面と良質な音を享受できることが強みだと思っていた。


映画は映画館でみるために作られ、TVドラマは毎週一話ずつみることを前提に作られている。例え家で没入できなかったとしても、映画館で入り込めれば問題ないのだ。見えてくるものが変わってくる。映画は映画館でみてこそ真価が発揮される。


いつまで、もつだろうか。その言葉が、ずっと心に影を落とし続けている


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