敢えて答えを出さない(急がない)勇気

この記事は検索エンジンプロダクトを一緒に開発してた同窓会 Advent Calendar 2023の16日目の記事です。(バックデートです、ごめんなさい…)

パラレル でプロダクトマネージャーをしている hytind です。

プロダクトマネージャー ≒ 意思決定が仕事 という中で、職務放棄では?と思いつつ、「敢えて答えを出さない(急がない)」ということも実は大事かもな〜と思ったというメモです。

ネガティブ・ケイパビリティ という概念

「ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力」という本に紹介されている、ネガティブ・ケイパビリティ という概念があります。

曰く、ネガティブケイパビリティとは、

ネガティブ・ケイパビリティは拙速な理解ではなく、謎を謎として興味を抱いたまま、宙ぶらりんの、どうしようもない状態を耐えぬく力

ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない時代に耐える力 P.77

ということで、ついつい答えを急いでしまうのをぐっと堪えて、モヤモヤをモヤモヤのまま受け止める力、とでも言えば良いのでしょうか。

プロダクトマネージャーにとって大事かも?

これがなぜプロダクトマネージャーにとって大事かもな〜と思ったかで言うと、

1/ 正しい問題設定ができる

  • 問題解決を急ぐあまり、問題を自分の知識の範囲で捉えてしまうことがよくあります。要は、間違った単純化です

  • ネガティブ・ケイパビリティを発揮することで、あるがままを受け入れる、つまり、複雑な問題を複雑なまま捉えることで、正しい問題設定ができるようになるのでは?と思いました

  • また、分からないことを分からないまま受け入れることで、今解くべき問題にフォーカスできる という効果もあるような気がします

    • よく言う「変数と定数を切り分ける」に近しいですが、分からないことは分からないとして置いておくことで、今答えを出すべきところ(今答えを出せるところ)に集中できる〜みたいなイメージです

2/ 共感のための基礎になる

  • プロダクトマネージャーは役割上、エンジニアやデザイナーはもちろん、セールスやカスタマーサクセスなど、様々な職種の方々と関わることが多くあります

  • ネガティブ・ケイパビリティを発揮することで、自分が知らないドメインについても変に決めつけて解釈せず、ありのままを受け止めることができるようになるのでは?と思いました

    • ありのままを受け止めて共感する、ということができると、相手との距離がぐっと縮まる(相互理解できる)のではないでしょうか

  • 同様に、ユーザーインタビューなどでも「よく分からないユーザーの行動を、変な決めつけをせずに素直に受け取ることができる」というのはプロダクトマネージャーとして大事なスキルだと思います

3/ 時間の力を使うことができる

  • 問題を時間が解決してくれる、ないしは時間が解決してくれるのを待つしか無い、ということは意外と多いのではないでしょうか

  • 人間関係とかだととくにイメージしやすいですが、プロダクトの課題も、事業環境の変化やユーザー行動の変化によって、以前は課題だったものが今は課題ではなくなることがよくあります

    • また、少し毛色は違いますが「この課題を解決してほしい」というオーダーがあって、「なるほどどうしようかな〜」と思いながら取り組んでいるうちに「(優先度や事情が変わって)やっぱりやらなくて良い」と無駄足になったことが一度や二度くらいあるのではないでしょうか

  • ネガティブ・ケイパビリティを発揮することで、「時間が解決するのを待つ」という選択肢が自信を持って取れるようになるのでは?と思いました

などなど。以上が、ネガティブ・ケイパビリティ という概念の紹介と、それがプロダクトマネージャーにとってなぜ役立つのか?という自分なりの解釈でした。

ちなみに「ネガティブ・ケイパビリティ」ってどう鍛えるのか?という点については、残念ながらこの本には詳しく紹介されていません。ただ、音楽や絵画など「答えがないもの」に触れてありのままを味わったり、畑仕事のような「答えが分かるまでに時間が掛かるもの」に取り組んだり、というのは1つのトレーニングとして効果があるのかもしれません。

とはいえ…

とはいえ、一方で、本を読みながら2つほど難しいなぁ…と思ったポイントもあって、1つは「答えを出さない状態は意外と脳のメモリを食う」ということで、モヤモヤしたまま放置すると、ふとした瞬間にそのことを考えてしまって無意識のマインドシェアを取られてしまいます。これについては、分からないなら分からないなりに「分からない」という結論を出して、一旦決着を付けてしまうのが大事なのかなーと思っています。

もう1つは、時間は有限なので(スタートアップは時間との勝負ではあるので)、その問題がネガティブ・ケイパビリティを許容できるものなのか否か、つまり「今答えを出すべきなのか、そうじゃないのか」という見極めがかなり重要だよなぁ…というところです。ただ、これについては自分としても別に答えがあるわけではありません(誰か話しましょう)

余談的に)近しいところで、無知の技法 という本があるのですが、こちらも「知らないことにどう向き合うか」というマインドセットを学べる本でおすすめです。

最後まで読んで頂きありがとうございました!よいクリスマスを!

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