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現代の魔法使いは誰か。

弊社では「TPA」という制度(マーケティングだけでなくビジネスで必要な領域を幅広く学ぶ)があり、その機会をいただきました。今回のテーマは「社会学」「社会心理学」です。

課題図書は以下の3冊です。

脱魔術化

私たちは大地震のニュースを聞いたとき、あるいは伝染病が蔓延して多くの犠者が出たとき、それが神の仕業であるとは思わない。

私たちは、地震がプレートの跳ね返りであり、伝染病が菌によるものであり、伝染病の拡大は衛生状態が悪いからだ、ということを知っている。

あるいは私たちは、国家の統治を担う者は正当な選抜や選挙を経て選ばれるべきであって「神がその権利を与えたから」といったことは理由にならない、と考えている。宗教的な世界観や身分的特権など、前近代で流通していた諸々の信念を、もはや近代の人間は共有してはいないのである。

マックス・ヴェーバーはこれを「脱魔術化」と呼んだ。

つまりは合理化である。それは、科学的・技術的な知識が蓄積されて、実際に自然界や経済など人間の行動に関わることまでもが合理的に予測可能・操作可能になることではない。そうではなく、必要とあらば、どんなことでも合理的に解明することができ、それをもとに操作することもできるという信念を人々が持つにいたることを指す。と呼んだ。

※「本当にわかる社会学」より抜粋

上記は、得たいのしれない現象を「魔術」として捉えていたであろう時代から、科学やテクノロジーの進化により多くのものが説明可能な「脱魔術化」の時代がやってきて、さらにそこから派生した「再魔術化」という考え方です。

社会全体に対し語られている「脱魔術化」「再魔術化」の話は消費の視点でも言えるのではないかと考えました。

現代では商品を「質」で選ぶのではなく、どのような「気持ちになれるのか」どのような「自分を実現できるのか」といった合理的とはいえない「感情」を軸に消費が行われています。
「質」が魔法のように感じられた時代から「質」が一定以上になることで魅力を感じられなくなり、脱魔術化の時代にはいります。それを経て合理的な解明の難しい「感情」による消費の時代が訪れた今があり「再魔術化の時代」だと思いました。


再魔術化

第二次世界大戦後の復興期に、テレビ、冷蔵庫、洗濯機などが世の中に登場しました。その時はおそらく魔法のような商品が出てきたと感じたのではないかと思っています。電気を使ったそれらの商品はこれまでの生活をガラッと変えるアイテムで「三種の神器」と呼ばれたこともそれを象徴していると思います。

この時代はまだ商品の「質」そのものに魅力を感じている時代で、「魔術」に魅了されてる時代だとします。


ここから一気に時を進めますがーー
そんな時代から科学やテクノロジーが進歩しあらゆる商品の質が向上し生活を豊かにしました。そしてその豊かな生活をもたらしている商品の機能的な価値はコモディティ化を始めます。
それによって「どこの商品を買っても同じでしょ」だったり「違いがほとんどないからどっちでもいいや」という感じで商品の「質」に対して魅力は感じられなくなりました。
ここが「脱魔術化」の時代。


そして、現在ではあらゆる商品やサービスがコモディティ化し「質」で選ぶよりその商品を買って「どのような体験をしたいか」「どのような感情になりたいか」「どのような自分を実現したいか」という軸で選ぶ時代になっています。(モノ消費からコト消費になったと言われています)

説明可能な合理的な理由ではなく感情や想いによって商品・サービスを選ぶまさに現代は「再魔術化」の時代と言えるのではないかと思います。

そういう「コト消費」を提供できるブランドや商品を世に送り出している企業は現代の魔法使いです。

そういう魔法使いになるための考え方や武器が、ブランディングだったり、ファンマーケティング、熱狂顧客マーケティング、インフルエンサーマーケティングなどだと考えています。

これまで僕の中での現代の魔法使いは「仮面ライダーウィザード」(ナレーションでも現代の魔法使いって言っている)でした。ウィザードのコピー能力のように簡単に魔法使いを量産することはできないのが現実ですが、そんな魔法使いにならないといけない時代にすでにあるとあらためて考える機会になりました。

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