『ダイアローグ』#277

英語、dialogue、芝居に限らず一般的にもいう対話、会話。ダイアローグ。
もともと、モノローグという言葉は知っていたのだが、対する言葉としてダイアローグがあることは知らなかった、いや、どう言葉にしたらよいのかわからないけれど、ダイアローグはそれとして「対話」を意味する単語としてあるのは知っていて、モノローグに対しての対義語はトーキングだと思っていた。
一、単一であることと、対置される、反対の意味とされることは、複数であると思っている、というか、複数であることは二でも三でも百でもあって、特定の数を指すものではなくて、単数と複数が対置されるわけで、だからモノローグに対してはトーキングが対義語としてベストなのかなと思っている。
言葉の成り立ちを見ても、mono-logue、と、dia-logue、monoが「1」とか「単数」を意味するのに対し、diaは「横切る」ことを意味するのだ、「複数」とか「双方」でもなく。logueが「談話」を意味するので、数の制限が無いところに対し、「1」と限定するか「横切って」と位置関係を指定するか、そこで単語の関係性があらわれる。
ダイアローグの意味を、つい数年前まで取り違えていたのを覚えていて、知ったときにかなり恥ずかしい思いをした。ダイアローグのことを、わたしは「記述」だと思っていた。センテンス、sentence、とも近い意味合いだと混同していた。英語で書かれたダイアローグ、みたいな。それはそれとして。
ラジオで聞いた、ある団体の取り組みに意識を引かれた。ダイアローグ・イン・ザ・ダーク。暗闇のなかの対話。それはいったい何かと、答えとしてホームページから文章を引用する。
“参加者は完全に光を遮断した空間の中へ、グループを組んで入り、暗闇のエキスパートである視覚障がい者のアテンドにより、中を探検し、様々なシーンを体験します。
その過程で視覚以外の様々な感覚の可能性と心地よさに気づき、
コミュニケーションの大切さ、人のあたたかさなどを思い出します”。暗闇にはエキスパートがいる。その視座の置き方にも感服したわけだが、抽象的なコミュニケーションを目的とするのではなくて、あくまでダイアローグ、対話に焦点を当てていることに妙味を感じている。そこにはトーキングであるのとも違う、フラットで屈託のないトークではない、慎重さと敬意をもったダイアローグがあるんだ、と。うまく言葉にならないけれど、誰かに何かを、言葉にして伝えることがモノローグとダイアローグの根幹にあってその対象の数が違うだけなんだなと。
はて、モノローグは暗闇であるのとないのとで、違いは出るだろうか。

#ダイアローグ #180921

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