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面白かったけど…… 『メタルギアソリッド4』

先日ガンダムチャンネルにて、『機動武闘伝Gガンダム』の49話が配信されていたので少しだけ見たのですが、やっぱりドモンがレインに告白するシーンは泣いてしまう。1年間すれ違い続けて、やっと想いが通い合った最初の共同作業が”石破ラブラブ天驚拳”というめちゃくちゃなエピソードなのに、どうしても泣く。「よかったねぇ……長かったねぇ……」と感慨にふけってしまう。たぶん東方不敗マスターアジアとの決戦で話が終わった方が、物語の締めくくりとしてはよかったのかもしれませんが、あの最終話があるからこそ、二人が本当に報われたんだと思うんですよね。

あ、『Gガンダム』の感想を書く記事じゃなかった。失礼しました。


今まで『メタルギアソリッド』シリーズは2→3→5(GZとTPP両方)プレイしていて、いい加減そろそろ4やっときたいなと思いまして。フリープレイになってだいぶ経っていたのですが、数日前から遊んでみました。
遊んだ感想としては、面白いと言えば面白いし作りこみがすさまじいんだけど、同時に「スネークを動かした感覚が薄い」構造なのがモヤっとしましたねぇ。

1. 個人的に良かった点

PS4proを持っていて、それなりに美麗なグラフィックを観てきましたが、それでもきれいだなと思うレベルでグラが作りこまれていたと思います。PS3で13年前の作品なのに。特にムービーは本当にクオリティが高い。映画を観ている感覚になれました。めちゃくちゃ頑張ったんだろうなぁ。

今作は1から続くソリッド・スネーク(=オールド・スネーク)の戦いに終止符が打たれ、ある二人の亀裂から続いた世界的な争いやシステムの支配が終焉を迎え、やっと伝説の戦士が一人の男になれたのですが。そのカタルシスがすごくよかった。ああ、やっと苦しい戦いの日々と贖罪が終わって、スネークがデイビッドとして生きられるんだな……お疲れ様……。そんな気持ちになれましたね。最後のムービーはYouTubeでだいぶ前に観ていたのですが、あらためて観てもやっぱり泣く。いろんな人々を巻き込み、すれ違い続けて生まれた災禍が終わり、もう蛇はいなくていいんだ、と。そして、生きていていいんだと。「赦し」に似た感じがして、お別れの空気も感じてしまって。あのムービーは本当に涙腺崩壊させるものがありますね。

いろいろな「遊び」もありまして。BB部隊という4人の女性兵士の敵がいるのですが、3分間逃げ切ると真っ白な空間に移り、あることをすると踊ってくれる謎イベントが起こります。また、物語の間に入るブリーフィングでは、メタルギアMKⅱを操作して機内を動き回ったり、見たい画面を変更できます。武器として使う”雑誌(プレイボーイ)”を主観視点で観たら、スネークの気力が回復する。スネークが喫煙しようとしたらたしなめられ、気力ゲージが1本消える、なんて小ネタも。こういうところが『メタルギアソリッド』の大好きなところですね。

世界観も良かった。二脚兵器の”月光”や、背景に合わせて色が変わるスキーキングスーツ、小型メタルギアで光学迷彩もハッキングもできるかわいいやつ”メタルギアMKⅱ”。眼帯に似た形をした小型カメラの”ソリッド・アイ”。近未来的な戦場やアイテムは、後の『V』をプレイしている自分でもワクワクしました。特に、カモフラージュ率が自動で変わるスニーキングスーツには「おおっ!」と驚きましたね。

あと、もう今では聞けない声が聴けたのも嬉しかったですねぇ。青野武さんや大塚周夫さん、藤原啓治さん。本当にみなさん良い演技で、本作品を彩っていたと思います。また、夏木マリさんの演技力の高さがすごすぎた。老齢のある女性を演じていますが、本当に似合っていて。こんな声が出せるのか!と思いました。あと、塚本晋也さんの名前が出てきた時も驚きましたねぇ。かなりいい声していたと思います。

そして、下世話ではありますが、女性キャラがやたらエ〇い。特にお尻。BB部隊は倒した後にもう一度戦う場面があり、その際に抱き着いてくるのですが、スネークがまんざらでもない感じになります。気持ちは分かるぞ。


2. モヤっとした点

体感的には、ムービー7:アクション3の割合で、ムービー観てる方が長かったのがなぁ……ちょっとなぁ……。説明しないといけないものが山のようにあるし、そもそもゲームタイトル上仕方ないんですが、魅力的な戦場やアイテムがあるのに、動かす時間が少なかったのがもったいない。
また、ムービーは面白いし好きなんですけど、どうもハリウッド映画意識してない?っていう。キャラクターのアクションや、極限まで追い詰められてからの大逆転、みたいな構図とか。「ご都合主義」的であるという意見も、分からなくもないんですよね。特にメリルとジョニーのアクションとノリは完全にハリウッド。好きなんですけどね。

BB部隊、本当にエ〇い以外の感想が無い。世界中で起こっている戦争による被害者という位置付けであり、非常に脅威的な攻撃をしかけてくる強敵ではあるんですが、唐突に生えてきた感じが否めなくて。何せスネークが世界を救うミッションに身を投じるというスケールの大きい話なので、そういった戦争の被害者が登場することは世界観の補強になるんですが、同時に「そう言われましても……」と思ってしまいまして。めちゃくちゃ話にかかわっているわけでもないので、「ああ、あの何かエ〇い敵か」くらいの感想しか持てなかった。

めちゃくちゃ抽象的にしか言えませんが、小島監督の作家性と言いますか、「アク」が濃い作品だったなぁ、と。どちらかと言えば『TPP』の方が濃いんですけど、ムービーとか世界観とか、3のようなさわやかな感じとは一風変わった感じがします。当然、シリーズ最終章としての位置付けである以上、詰め込めるだけ詰め込むのは分かるんですが。どうも「アク」を感じて仕方なくて。この辺は歳を重ねたが故の問題なんでしょうが、昔は「小島監督ってすげえ……」と思って楽しんでプレイしていましたが、今になると「ああ、いつものやつね……」となってしまい、理解力が落ちてるのも相まってか、内容を咀嚼できなかったところもありました。まぁ、特に関係が深い『1』をプレイしていない自分の落ち度なんですが。


3. まとめ

『メタルギアソリッド』シリーズの最終章として、そしてスネークという伝説の兵士の最後として、とても作りこまれている作品だったと思います。今作ではある理由で老齢の男性のような姿になり、すでに身体もボロボロ。それでも、世界をここまでの有り様にしてしまった責任を果たすべく、過酷な戦場に身を投じる姿。そして、そんなスネークを信頼し、ともに戦う仲間。こういった重い前フリがあったからこそ、エンディングにカタルシスを感じる。物語そのものの構造は素晴らしいと思います。

反面、スネークを動かして世界に入り込む時間が少なかったのが残念。難しい概念を扱うため、ムービーによる説明が入るのは仕方ないのですが。それが長いためにアクションが短くなっているのが何とも……。アクションそのものは工夫されているために飽きない作りになっていますが、もう少しひたらせてほしかったのが本音です。

なので、面白いしファンとしては良かったと思える作品であることに間違いないのですが、この作品を単体で見ると満足感はあまり得られないかな、と。悪くないんですよ。ただ、手放しで喜べるかと言われると……。

とりあえず、二週目は今のところしないかな。うん。


お読みいただきありがとうございました。暑い夏、家でゲームもいいかもしれませんよ。