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令和3年(2021年)は企業情報開示変革の夜明け前

駅に併設されているショッピングセンターをみれば、手土産を購入しようとする人が多く、まさに師走だなと思いながら家に戻ってきました。

仕事納めも既に終わり、これを一年の振り返りとして書いています。筆者は会社員として経理、とりわけ開示業務の担当が長かったのですが、今年は開示に関する大きなトピックが多かった1年でした。

ざっと考えても以下のようなものでしょうか。

  • 「IFRS実務基準書 経営者による報告」公開草案の公表及びコメント募集(2021年5月)

  • コーポレート・ガバナンスコード改定(2021年6月)「中核人材の多様性の確保」、「サステナビリティを巡る課題」に関する規定の新設

  • 経産省「非財務情報の開示指針研究会」の発足(2021年6月)及び中間報告(2021年11月)

  • 岸田首相による四半期開示の見直しの言及及び政策への反映

  • IFRS財団(IASB)が国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の設立表明(2021年11月)

どれも重量級の話ですが、特にESG情報をはじめとした非財務情報の開示ルールの急速な整備は、「法定開示は最低限に。IRで説明したいところだけしっかり説明を」という私が従来教えられてきたスタンスが通用しなくなった、というところが個人的には大きいでしょうか。

もっとも、近年、特にコーポレート・ガバナンスコード制定以後の日本における一連の取り組みの延長線上の出来事という意味では、来るべきして来たというものでもあるなと感じます。

そして来年も、開示周りでは大きなトピックがあります。

  • 東証の市場区分変更(2022年4月)

  • ISSBよりサステナビリティ開示に係る草案公表予定(2022年6月)

これら一連のことから感じることは、来年は、かつて日本を襲った会計ビックバンに続く、開示リストラクチャー元年というような年になるのかもしれないということ。

そして、私自身を鑑みれば、今は非上場会社に勤めているため少し遠いところからこの大きな変化を眺める形になります。

それが良いことなのか悪いことなのかはわからないけれども、来年も時勢にしっかりついていきたいなあというのが、2021年の仕事を終えての感想でしょうか。

「師走」という言葉は、日時がはつる月「しはつる月」、それがなまって「しはす月」となったという貝原益軒の説を紹介した金田一春彦の本(「ことばの歳時記」新潮文庫)を読みながら、今年も残すところあと1日です。


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