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仄暗い記憶から

なんで夜中にこんなことを思い出してしまったんだろう。生理前だっけかな。


ここまで鮮明に虐待されていたときの様子がフラッシュバックしたのはなかなかない。オレンジ色の蛍光灯の下で、リビングで母親が横たわって寝ているんだけど、私や妹とおばあちゃんはずっと暗闇の中正座させられている。暗いのは、わたしたちに人権がないかのように扱われているから、就寝のために消されたのだ。


その後、お母さんが寝返りを打つたびに「ママごめんなさい」とかおばあちゃんは「私が本当に悪かった」といって肩を揺する。うまく行けば許してもらえるかもしれないが、そんなことはめったにない。髪の毛を引っ張られて、家の外に出される。その時の母親の表情は、世界にいるどんな生き物よりも怖い。


立たされて外で眺める景色も、暗闇も慣れている。だけど、私が何より一番怖かったのは恐ろしく流れない時間だった。あと8時間、酷いときには15時間こうしていなきゃ許して貰えなかったから、静寂と共に流れない時間が一番怖かった。



フラッシュバックしたと同時に怒りに駆られた。なぜこんな子供と老人がこんな目に合わなきゃいけなかったのか腹立たしかった。そのときの母親の顔まで鮮明に思い出されて、絶対に人生で許さない決意が固まりつつある。たまに他の母親と比較して自分の母親もいいところがあったよなと思うこともある。それは古い絵画の表面上が霞んできただけで、絵の具はしっかりと塗布されているようなものだと思う。未だに人生のあらゆる場面で母親に足を引っ張られる夢を何度も何度も見る。それが答えのような気がする。




今日はマゾに手紙を書いていた。まあ次に食事に行くときに渡そうと思っていたものだったのだが、私が数時間かけて書き終わった途端に「以前仰っていたお食事に来週時間が取れそうなので行きませんか」と連絡がきた。私は食事の約束はしたものの、てっきり8月ぐらいになると思っていた。こいつ一体どんな気力で仕事を一気に片付けたんだって呆れてしまった。


私はこいつに今までの経緯を教えていない。私生活のことはあまり話さないし、なんとなくかわしてきた。「どうなんだろうね」と言って曖昧な回答をしてきた。お前の私生活を聞くのが好きなのと言って、いつもはマゾの普段の生活の話を聞く側だ。


でも私が一度だけ「私の母親はとても怖い人で、自分もそうなってしまうのではないかと恐ろしかった」と書いたことがある。それを見てすぐに「らぶさんは素敵な方です」と感想文を送ってきた。前回のプレイで、安心させてくれようとしたんだね、と話すと「いいえ、素直な気持ちを伝えたかったんです」とそのままの声色で言われてしまった。


まあどのみち、いつか話すつもりだったし、書ける内に書いておこうとしたためた手紙だったのだが、すぐに渡すことになりそうだ。あまり重い話をするのはどうかと思うけど、自己開示をして、こいつにありがとうと伝えたかったのだ。


恐ろしい母親と重なる自分を自己受容させてくれたこと、おさーんとまた話すきっかけを作ってくれたこと、誰とSMをするのかについての大切さを教えてくれたことを書いた。


S側として弱いところを晒すのは、夢を壊してしまうようでやめようか何度か悩んだけど、思い過ごしのような気がする。プレイ以外の時間はなるべく私はそのままの姿で向き合いたいし、沢山感謝を伝えたい。きっと大丈夫だと思う。

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