【随想】ウーバーイーツの法律学#2−出前とウーバーイーツ(2/4)

 レストランなどの飲食店の顧客からすれば、出前も「ウーバーイーツ」も料理の配送サービスという点では違いはない。しかし、ビジネスをする立場からすれば大変な違いがあるのだ。
 出前は、特定の飲食店に注文した料理をその飲食店の無償のサービスとして(多くの場合、その店の人が)届けてくれるもの。配送料として追加料金を要求するものはほとんどない(余談だが、いわゆる宅配ピザも出前の一種だが、最近では宅配サービスを受けず店頭まで料理を取りに行った場合は割引が受けられるらしい)。
 これに対して、「ウーバーイーツ」等のビジネスは、レストランなどの飲食店と顧客を結びつけ、料理の配送を配達員に差配するいわゆる宅配代行サービスである。顧客が飲食店に食事の注文をするのは、「ウーバーイーツ」が提供するサービスを通じて行い、それにつづく料理配送の差配までは「ウーバーイーツ」が行うが、料理の配送は(「ウーバーイーツ」の従業員ではない)配達員がまた一つのビジネスとして行うのが基本である。
 つまり、配達員は、独立した事業者として料理配送という貨物運送サービスに従事しているということになる。
 実は、この貨物運送サービス、自動車や軽自動車を使用して行う場合は、「貨物自動車運送事業」ということになり、事業経営にあたっては貨物自動車運送事業法にもとづき国土交通大臣の許認可を要することとされている。
 この法律によれば、「貨物自動車運送事業」には「一般貨物自動車運送事業」や「貨物軽自動車運送事業」等とに分けられ、事業の開始にあたり前者にあっては許可、後者にあっては届出が必要である。
 独立した事業者である「ウーバーイーツ」の配達員は、この事業法にもとづく規制に配意しなければならない(2022年9月5日記)。

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