【随想】ウーバーイーツの法律学#3−自動車の種類によって異なる規制(3/4)

 貨物自動車運送事業法は、貨物運送を行う自動車が「自動車」であるか「軽自動車」であるかによって取扱いに差を設けている。たとえば、貨物運送事業を自動車で行う場合、国土交通大臣による「許可」を受けなければならず、また、同事業を軽自動車で行う場合、「届出」が必要となるというふうに。
 ご存知かもしれないが、「届出」とは、行政庁に対し一定の事項を通知する行為である。したがって、事業の開始にあたり事業法がもとめる事業内容を国土交通大臣に知らせさえすればビジネスを始めることができる(もちろん、受理されることが前提であるが)。他方、「許可」となると事業法にもとづき自らの事業内容を申請し、国土交通大臣から「許可」という一定の「処分」を受けなければならない。つまり、行政庁の判断をまってビジネスが可能となる。したがって、一般には事業者にとって許可の方がハードルが高い。
 ところで、法律にいう「自動車」と「軽自動車」の区別っていったい何にもとづいているのだろうか?貨物自動車運送事業法には、「一般貨物自動車運送事業」を定義づけるなかでここでの「自動車」を「三輪以上の軽自動車および二輪の自動車を除く」とし、「貨物軽自動車運送事業」を定義づけるなかで「(軽)自動車」を「三輪以上の軽自動車および二輪の自動車に限る」としており、さらに「自動車」それ自体については一般に道路運送車両法にいう「自動車」を指すとしている。
 道路運送車両法において「自動車」は、「原動機により陸上を移動させることを目的として製作した用具で…(省略)…次項に規定する原動機付き自転車以外のものをいう」。原動機付き自転車の意義については、同法施行規則にエンジン(内燃機関)を原動機とする二輪車にあっては0.125リットル以下……、エンジン以外のものを原動機とする二輪車にあっては1キロワット以下とされている。
 したがって、「貨物軽自動車運送事業」に用いられる「自動車」に道路運送車両法上該当しない排気量が125cc以下ないし出力が1キロワット以下の「原動機付自転車」であれば、届出をせずとも「他人の需要に応じ、有償で」貨物を運送する事業を行いうるのである。
 はてさて、こうした差異を設ける意義や根拠はなんなのだろうか?(2022年10月5日記)。

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