【随想】車検−マイカーを買い替えるきっかけ

 高額な出費を伴う買い物をする際、その商品やサービスの価格や品質に目を向けるのは当然だが、わたしの場合、職業柄なのか、その商品やサービスの最近のトレンドであるとか、これらがどのような企業(資本関係も含む)により、どのような流通・取引を通じて、わたしたちのもとに届けられるのかを聞かずにはいられない。
 わが家のマイカーも子どもたちの送り迎えなどをするために購入し、そろそろ10年になろうとしている。わたしは全く自動車を運転しないので、ほとんど意識していなかったのだが、妻によればそろそろ買い替えなのだそうだ(すこし遅いくらいだそうである)。わたしは乗る一方なので、いまのままでも十分にわたしたち家族の用途を満足させてくれていると思っていた。もっぱら近場の買い物などに利用するだけで、頻繁に遠出をするわけではない。だから、定期点検で必要な修理を行えば、十分に快適だ。
 もちろん、10年も経てばさらに燃費のいい新型車が出ているし、近年の脱炭素化の流れと共にハイブリッド車や電気自動車という選択肢もある。
 しかし、本当の理由は、車検なのだそうだ。数年ごとに実施することが義務付けられる車検のコストを踏まえると、長期保有は(経済的に)見合わないということになる。
 (最近では新自由主義ということで評判は悪いが)90年代以降の規制緩和の洗礼を受けたはずの日本では、車検制度に対する見直しが行われ、さまざまな独立系の整備業者が現れ、競争のおかげもあって価格も相応に安くなったと思っていたが、いつの間にやらメーカー系列のディーラー車検が主体となり、元に戻ってしまったらしい。
 近年では、自動車の保有コストが高くなっていると聞いてはいたが、「このことか!」と、その一端を垣間見た感じがしたのである(2022年3月5日記)。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?