【随想】ウーバーイーツの法律学#1−ウーバーイーツは自転車じゃなくてはいけないのか?(1/4)

 最近では、都心だけでなく、わたしの住む郊外にまで、大きな黒い直方体のリュックが疾走するようになった。「ウーバーイーツ」である。「ウーバー」の本来のビジネスは、シェアライド、つまりヒトに移動手段を提供する者とその移動手段を利用したいヒトとを、マッチングさせることだったはずだが、タクシーやバスなどの公共交通機関が過剰に発展・充実しているわが国においては、コロナ禍も手伝って、もっぱらレストランなどの料理の提供者とそれらの料理を需要する顧客とを結びつけ、料理を配送するビジネスとして定着した。
 いまやひとつの風景として馴染んでいる感のある彼らだが、やはり違和感を禁じ得ない。そうした感覚の理由は、「なぜ、自転車なのか?」ということである。宅配といえば、小型車かバイクだろう。
 かつて出前をいえば、岡持で運んだものである。蕎麦屋の入り口脇は、荷台に岡持をつけたバイクの定位置である。早朝、新聞や牛乳の配達のバイクや自転車の音でわたしたちはそれらが届いたことを知る。
 しかし、「ウーバーイーツ」は自転車じゃなくてはいけないのである。
 このほど大阪府警は、排気量125cc超のバイクや自動車で料理を配達したということで、二人の「ウーバーイーツ」配達員を貨物自動車運送事業法違反容疑で書類送検したという。二人は数回にわたり大阪府内で250ccのバイクや軽自動車、自動車を使って有償で料理を運び、運送事業を営んだ疑いがあるという。捜査関係者によると二人はこうした事業を禁止する法規制があることを知らなかったという(2022年8月5日記)。

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