ただ、素朴に考えてみると、Apple社が運営する「App Store」にいかなるアプリを掲載するか、すなわち、どのコンテンツ提供事業者と取引するかは、商業ビルの管理者がいかなる企業をテナントとして迎え入れるかにつき自由な選択が許容されているのと同様、「App Store」の掲載・不掲載の選別は本来Apple社に委ねられるべきもののはずである。
　しかし、一方でスマートフォン・アプリの配信におけるプラットフォーム事業者の果たす決定的な役割は否定できず、しかも、非常に大きな成功を収めたiPhoneやiPadを擁する「App Store」の影響力、殊にコンテンツ供給事業者に対するそれは無視できない。現に「App Store」の取扱いアプリ数は他のプラットフォームを圧倒しているのである（2010年4月記）。