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シン・アビスパの全貌【第2節 アビスパ福岡vsセレッソ大阪 レビュー】

試合内容


前節片鱗を見せていた、2023年版のアビスパ福岡。今節のセレッソ大阪戦は、その全貌が露わとなった試合だった。
毎熊晟矢、そして昨シーズンまでアビスパでプレーしていたジョルディ・クルークスが構成する右サイドに強みを持つセレッソ大阪に対し、FWルキアンが前半からその背後のスペースを何度も突き、クルークスがボールを持ってもひたすらに左足を防ぐことで機能不全に追い込む。相手の良さを消す姿は、長谷部監督体制になって以降継続しているものだ。
反対にこちらの右サイドコンビ、湯澤聖人と紺野和也が1年目とは思えない連携から何度もサイドをえぐり、チャンスを生み出す。前半38分にみせた、紺野と湯澤、そして左WBの小田が仕上げという攻撃は狙いの1つだろう。
さらに攻撃の強化を図る今季は、3バックの両サイドが攻撃に参加。もともと守備面の強度を優先した人選のためリスクはあるが、練習から繰り返し取り組むことで厚みを持たせることも後ろを使い作り直すことも可能となっている。
実際に、決勝ゴールは左CBの宮大樹が高い位置で絡むことでピッチの横幅を使うことができた。
シュート数(サイトにもよるが)、走行距離、スプリント回数のいずれもセレッソを上回り、走行距離は前節から10km以上も増加。全員攻撃・全員守備を進化させた「シン・アビスパ」の全貌を見せ、今季初勝利を飾った。


採点(及第点5.5)、寸評

GK  1 永石拓海 6.5
安定したポジショニングからセーブを何度もみせ、今季初勝利に大きく貢献。失点の場面はノーチャンス。

DF  2 湯澤聖人 7.0 
紺野との連携から何度も好機を生み出す。なかでも、前半38分の突破からのクロスは秀逸だった。

DF 33 ドウグラス・グローリ 6.5 (79分OUT)
守備での強度に加え、遅攻時の攻撃参加という新たな役割もこなす。失点時は上門へのパスにチャレンジするも触れず。

DF  3 奈良竜樹 7.0
全員攻撃、全員守備のため昨季までと比べリスクはあるが、安定した対応で後ろを締め続けた。

DF  5 宮 大樹 6.5
CBながら11km以上を走り、3バックでレオ・セアラや上門をほぼ自由にせず。また、開幕戦よりもキックが冴えていた。

DF 16 小田逸稀 7.0 (67分OUT)
ジャンプの滞空時間が長く、空中戦で圧倒的な存在感。ファイタースタイルも愛されるはずだ。ただし、後半は疲れからか行く場面と行かない場面での判断に課題も。

MF 40 中村 駿 6.5 (86分OUT)
中盤のスペースを埋め、前の攻撃参加を促す。今季のスタイルが成功するためのカギを握る1人。

MF  6 前 寛之 7.5 
守備に加え、何度も攻撃参加。素早い切り替えから、先制点も奪取した。

MF  8 紺野和也 8.0 (79分OUT) MOM
得点には絡まなかったものの、「博多のメッシ」には存在感しかなかった。何度も突破しつつ時には時間を作り、かつ球離れも良かった。あとは最後の精度。

FW 11 山岸祐也 6.5 (77分OUT)
開幕戦と違い、ある程度らしさを発揮。先制点のルキアンへのパスは完璧な長さだった。現在のシステムではこの位置がベストだろう。

FW 17 ルキアン 7.5 (86分OUT)
前半から毎熊の裏のスペースを何度も突き、間接的にセレッソの右の攻撃を防ぐ。先制点のラストパスも好判断。

途中出場

DF 29 前嶋洋太 7.0 (67分IN)
疲労の感じられた小田に代わり左SBでプレー。ピンポイントクロスで決勝点をアシストした。

DF 20 三國ケネディエブス 6.0 (79分IN)
強度でも見劣りせず、パワープレー要因にも。主力3人からポジションを奪うつもりで戦ってほしい。

MF  7 金森健志 7.5 (77分IN)
「プリンス」はヘディングで決勝点を決め、身長が高くなくてもポジショニングで点が取れることを示した。

MF 99 井手口陽介 採点なし (86分IN)

FW 27 佐藤凌我 採点なし (86分IN)

監督  長谷部茂利 7.5
セレッソの右サイドの裏を突き脅威を消すと、同点で投入した前嶋・金森で決勝点を奪う。事前準備から采配まで当たった試合だった。

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