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今はただ、ありがとうと言いたい。

オリンピックが閉幕しました。
開催に関しては賛否両論巻き起こりましたが、アスリートの皆さんが様々な感動を与えてくれたのも事実です。
オリンピック開幕期間中、丁度仕事が忙しい時期と重なってしまったのですが、アスリートの皆さんの活躍は、疲れ切った私の明日への活力になっていました。
この場を借りてお礼を言いたいと思います。
ありがとうございました。

さて下記の記事にもある通り、サッカー観戦大好きな私は、もちろんオリンピックのサッカーも楽しみにしていました。

オリンピックのサッカーは、23歳以下(今回のオリンピックは1年延期されたことにより24歳以下)+オーバーエイジ(24歳以上、以下「OA」1チーム最大3名まで)で戦う、という規定があります。
年齢制限のあるチームの戦いは、W杯とはまた違った雰囲気の楽しさがありますし、しかも今回は地元の東京開催でもあるので、更にわくわくしていました。

今回の記事は、約2週間にわたるサッカー日本五輪代表の戦いを通して感じたことを書いていきたいと思います。

ロンドン大会を超えろ

6月の親善試合から、OAの吉田麻也選手、遠藤航選手、酒井宏樹選手の3名が加わり、チームの雰囲気がガラッと変わったのを感じました。
それまでどこか感じていた頼りなさというものがなくなり、チーム全体がぴりっと締まり、芯が通ったような印象を受けました。
そして、短期間でフィットすることが求められるOAの適応力の高さにも驚きました。
(3人ともすっと溶け込んで、チーム始動当初から参加していたのかと思うくらい。)

(様々な条件で日本側が有利だった可能性は否めませんが)アルゼンチン相手の勝利、そして開幕直前のスペインとの引き分け等、本戦が近づくたびに強さを感じさせる試合を見せてくれたチームには、期待しか感じませんでした。

日本の五輪最高順位は、1968年のメキシコ大会での銅メダルが最高です。
その次の高成績は、2012年開催のロンドン大会のベスト4。
2012年———ロンドン大会出場資格がある23歳は私と同じ1989年生まれ。
親近感湧きまくりだった私は、自分と重ねながらテレビに食らいついて試合を観ていたのを覚えています。
準決勝でメキシコに負け、3位決定戦は因縁の日韓戦。
試合終了のホイッスルが鳴った瞬間に崩れる日本選手たちの姿は、今でも覚えています。
近々の大会で好成績を残したということで、ロンドン大会が話題に取り上げられることが何度かありますが、(もちろん悔しい結果ではありますが)当時の同世代の選手たちの活躍を聞くたびに、懐かしくまた誇らしい気持ちにもなっていました。
ただ、今回のチームはロンドン大会を超えるかもしれない。
6、7月の安定したチームを見ていると、53年ぶりのメダルも期待せざるを得ませんでした。

運命の決勝トーナメント

予選リーグでメキシコ戦、南アフリカ戦と徐々に調子を上げ、圧巻のフランス戦で予選リーグをトップ通過した日本の準々決勝の相手は、B組2位のニュージーランド。
下馬評では楽勝だろう、と言われていましたが、番狂わせが多く発生した今大会でベスト8まで上がってくるのですから、侮ってはいけないな、と思ってました。
そして展開的には果たしてその通りになり、PK戦。
ただこの時、なぜか私は2004年のアジア杯 日本vsヨルダン戦のことをぼんやりと思い出していました。

※アジア杯2004 日本vsヨルダン戦
延長戦でも決着がつかずPK戦へともつれこみますが、先攻の日本は2本連続で外し、絶体絶命の状態から、当時代表正GKだった川口能活選手が、ヨルダンのPKを4人目以降3連続で止めて勝利した伝説の試合。

当時神がかりセーブを見せた川口さんが、GKコーチとして日本代表に帯同していることにも運命を感じましたが、川口さんに後押しされたGK谷くんが好セーブで勝利をもたらしたことには、更に運命を感じざるを得ませんでした。

余談ですが、谷くんをはじめ、大迫くん(広島)や鈴木くん(浦和)、そして今回は選ばれませんでしたが、沖くん(鹿島)や梅田くん(岡山)、そして我がFC東京 波多野くんと、近年のGK事情は若い世代の台頭が著しくなっています。
十年後のA代表 正GKの座が誰の手に渡っているのか、今から楽しみでしょうがありません。

そして報道で知っている方も多いと思いますが、120分までもつれた準決勝のスペイン戦。
あと一歩のところまでスペインを追い詰めたのですが、115分に失点し敗退。
死力を尽くした戦いが終了した後の各選手の表情を見ていましたが、久保くんをはじめ、なんとも言えないやるせない表情の選手たちに、胸が詰まる思いでした。

スペイン戦が始まる時までは、本当に金メダルも狙えるんじゃないか、と本気で思っていました。
もちろん実力差があることは重々承知していましたが、一発勝負のこういう大会では何が起こるかわかりません。
そして、こういう大会で勝つには「運を持ってる」ことも大事だと思いますが、今回の日本にはその運を手繰り寄せる力強さみたいなのも感じていました。
だからこそ、敗戦のホイッスルが鳴った時に「え…負けちゃったの…?うそでしょ?」と、どこか信じられない気持ちになり、そして次の瞬間に「負けたのか…」と喪失感が襲ってきました。
ただし悔しい気持ちはもちろんありますが、お互いあれだけ色んなものを削りあって、ぼろぼろになりながら勝利だけを信じて戦い抜いた結果なので、どこか清々しさも同時に感じていました。

このスペイン戦のインタビューで久保くんが、今のチームが好きだということ、吉田選手・遠藤選手・酒井選手にメダルをプレゼントしたい、と答えていましたが、その言葉にぐっと来ました。

3位決定戦 vsメキシコ戦

当日に突如キックオフ時間が20時から18時へと変更になり、慌てて定時に仕事を切り上げ前半30分ごろより観戦開始。
既に2-0となっており、一体何が起こっているのか分かりませんでした。
簡単に失点してこなかった今大会でしたが、前半だけで2失点…。
一体何が起こっていたのでしょうか。
(あまりにも悔しくて、録画していたのですが前半30分間を見返していません。)

後半、三笘くんが入って試合の流れに変化が生まれますが、結局は1-3での敗戦。
試合終了直後、選手たちがピッチに泣き崩れた姿を見て、私も涙が出てきました。
特に久保くんは、あんなに感情を露わにすることのできる人だったんですね。
FC東京にいた時も、海外へ移籍した後も、インタビューの時は淡々と答えていて、むしろ100点に近い模範解答の内容を淀みなくすらすらと話す姿からは、内に秘めた想いがあんなに強かったとは思わなかったです。
久保くんの人間らしい一面を感じて、涙が止まりませんでした。

この久保くんの号泣には、色々な人が様々な想いを抱いて突き動かされたと思います。
今のチームが好きで勝ちたかったこと、OAの先輩たちにメダルをプレゼントしたかったこと、それが叶わなくなってしまったこと、それ以外にも色々な想いがあったと思いますが、本当に悔しかったんだろうな…。

私もロンドン大会を超えるチームだと思ったからこそ、そして何年も応援してきたからこそ、この結果に本当に悔しくて悲しくて…
(プラスでHSPの共感力の高さも影響したとは思います。)
こんなに思い入れがあって、気持ちが揺り動かされたのは本当に久しぶりでした。

今振り返れば、久保くんの悔し涙と、中田英寿さんが引退をしたW杯のピッチで横たわったあの姿が重なりました。
弱冠20歳ですが、久保くんはプレーの上手さだけでなく、その一挙手一投足が人々の心を惹きつけるカリスマ性を兼ね備えた選手だったんですね。

そして私はもっとサッカーが好きになる

私はサッカーを見るのは好きだけれど、評論家ではないので、今の日本に何が足りなくて、メダルを取るのに何が必要だったのかということを、明確に語ることはできません。
ただその答えを、私が敬愛するオシムさん(元日本代表監督)は下記の記事で語っていました。

そして、今回ボランチとして全試合出場した田中碧くんも下記の記事で語っていますが、私はオシムさんも田中碧くんも同じことを言っているような気がします。

サッカーは11人で戦うスポーツであり、1人1人が強いだけではだめなのだ、と。
嚙み砕いて言うとそんな風に受け取りました。
言われてみれば確かに、特に決勝トーナメントでは、個人技に頼るシーンというのは多かった気がします。
今後の日本には、チームとしての連動性(→確かにこの部分は、オシムさんが監督をしていた時、とても重要視していたように思います)、11人で戦うための戦術・戦略のブラッシュアップが必要ということなのでしょう。

最後は悔しい想いをした今大会でしたが、良かったと思うこともいくつかあります。

一つは、持てる力を全て出し切って戦った相手を称え合う姿を見れたこと。
特に、3位決定戦のメキシコチームの振る舞いには感動しました。
大号泣する久保くんにメキシコの選手や監督が声をかける姿、そして目を真っ赤にした谷くんに声をかけるメキシコのGKオチョア選手。
確かに悔しくて悲しい気持ちでいっぱいでしたが、メキシコ選手の相手を労う姿勢には感動しました。

もう一つは、日本五輪代表チームが一戦一戦を通して成長する姿を見られたこと。
特に林大地選手の成長度合いには目を見張るものがありました。
(そもそも彼、最初はバックアップメンバーでしたからね…。)
小柄ではありますが、身体の強さ、気持ちの強さ、そして守備が必要となればCBのような動きでタッチラインを割るまで相手にボールを触れさせない守備…
チームのために献身的にプレーする姿には感動さえ覚えました。
オリンピック終了後、サガン鳥栖でプレーする姿を楽しみにしていましたが、ベルギーのチームへの移籍が決まったそうです。
海外での活躍を応援しています!

今大会の戦いから、サッカーの持つ力・感動性・そして短期間に成長する選手の姿を見ることができ、ますますサッカーが好きになりました。
Jリーグも大好きですが、こういう国際大会を通して国単位での試合を観ると、また違った楽しさがあっていいですね。
そして明らかになった日本の課題について、今後数年…場合によっては十数年かけて対応していく必要があると思いますが、その過程で日本のサッカーはどのように変貌を遂げるのか、今から楽しみです。

選手の皆様、そして監督はじめ、チームの運営に携わった皆様、本当にお疲れ様でした。
そして私に改めて、サッカーの楽しさ、素晴らしさを教えてくださって、ありがとうございました。

今はゆっくりと疲れをとって、また次の目標に向けて頑張ってください。

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