星になった男

かつて、星の魔力に魅入られた男がいた。


星の虜となって以来、男は来る日も来る日も星を生み続けた。

生み出された星は、また多くの人々を星の虜にした。

星の虜となった人々もまた、多くの星を生んだ。

そうして世界が星々であふれかえっても、男は満足しなかった。

食事を取る間も惜しみ、寝る間も惜しみ、命を削って星に造り替え続けた。


星の魔力に魅入られた男はもういない。

風の噂では男が失踪した日、星を咥えた一匹の猫又が、その男の部屋から出て行ったらしい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?