若者のすべて

本日「弦巻楽団演技講座『ロミオとジュリエット』|2023年度3学期「舞台に立つ」を観劇してきました。

僕は弦巻さんのシェイクスピアしか知らないのですが、
だけど弦巻さんのシェイクスピアが好きなので、たぶん他のシェイクスピアはなかなか見ないんだと思う。

時代背景の14歳って、現代の14歳よりちゃんと大人だったのかもしれないんだけれど、この作品のロミオとジュリエットが、僕の14歳像と重なって、
ヒステリックに恋する若者として見えていました。
僕はおじさんの視点で、若者の恋愛って本当に自分勝手で周りが見えていないなって。
そうだよね、熱しやすく冷めやすいから、あんな短時間で猛烈に命がけで恋するよね。若者の特権みたいなものだなと思って。

そういう若者の力がいつだって世の中を動かすエネルギーになってきたのではないかとも思う。

家人と見たのだけれど、リトルマーメイドにしてもラプンツェルにしても、恋の着火はすごいスピードだったよねとか話して。
それも若さゆえのエネルギーというか恋は若さというか。
おじさんも恋をしたら、すごいエネルギー出るんでしょうね。

許されない恋っていうのが成立する時代背景だからこそ。
命をかけて恋するんだな。

自分の子どもたちに、何を反対するのかって話も家人として、
今の日本ってだいたい何を選んでも生きていけるから、まーたいていのことは反対しないだろうねって話になって。

許されないことが断固としてあったわけだから、
命を絶ってまでってロミオもジュリエットもなったし、
自分たちの家なのか、プライドなのか、そんなものを守るから、他者の命も殺めてしまう。不自由がゆえに命をかけることになる。

東野圭吾の小説にもあったんだけれど、
10代の若者って、命よりも大切なものが断固としてあって、
だからこそエネルギーもあるし脆いし。
たぶん彼らが不自由だからこそかもしれない。

「いつのまにかちゃっかりした大人になって」と
ミスターチルドレンは歌った。
ちゃっかりした大人になった僕は、ロミオとジュリエットを少し冷めた感じで見ていて、でも自分のかつてもっていたんだな。

死にたくなるくらいの恥ずかしさとか、
消えたくなるくらいのつらさとか、

それを感じなくなったことを強さと呼ぶのなら、
引き換えになくしたものもある。

ロミオとジュリエット、若者の不自由さと強い気持ち
僕はなくしたかもしれないが、すぐそばにあることは忘れずにいたい。


「舞台に立つ」はこれまで何度か観劇してまして、
お仕事などをしながら、演劇作品を作り上げる人たちは本当にすごいなって思います。
素敵な作品をありがとうございました。


僭越ながら、わたくしめから見た助演女優賞
乳母を演じられた藤田恵未さん、好きな演技でした。

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