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あなたがいなくなってから

死にたいと思ったことはありますか?

そんなこと、これまで誰かに尋ねたことはなかった。答えを聞くのはもちろん怖い。
でももし、死にたいほどつらいと感じているなら、少しでも力になりたい。


最近、友人を自死で失った。中学生の頃からの友人で、付き合いはもう20年近く。
大学を卒業して私が東京に出てきてからは、数年に1回しか会えなかったけど、SNSでは連絡を取り合い、誕生日や結婚のときにはお祝いを送って、変わらず付き合いを続けていた。

彼女は感情に波があるため服薬を続けていて、感情の波に飲み込まれてしまいそうな日々も多くあったようだ。私はSNSでたまにそれを見て連絡をしていた。そう、亡くなる2日前にも。

彼女の親族からの連絡でそれを知ったときは、まったく信じられなかった。彼女もいるはずのグループLINEに、「ねえ、あの子と連絡とってる人いる?」と書き込んだ。ことの次第を他のメンバーに伝えて、たくさんのやりとりを数日続けても、ついに彼女は一度も返信をくれないどころか、既読もつけてくれなくて、現実味を帯びていくばかりだった。

私になにかできたんだろうか。でも、あの日、もっと真剣に話を聞いていたら違ったかもしれない。叶えたい夢や目標があったはずなのに、もっと生きていてほしかった。そう思わざるを得ない。

死んだほうがマシだと思うくらい生きているのがつらいなら、無理に生きていてくれとは言えないけど、でもやっぱり生きていてほしかった。
もっとそばにいて、そのつらさを解決するための手助けができたらよかった。どこまで踏み込んでいいかわからずに、そのままにしてしまっていた。

私たちは中高大のあいだ、一瞬で過ぎ去ってしまったような、でも濃密な、二度と戻れない時間を共有してきた。
普通にしててもなぜか生きづらくて、みんなでそんな気持ちを共有してた。
高校時代は学校でも誰かの家でもはしゃいで、大学生になったらお泊りをして語り合った。失恋したときは慰め合って、たまに旅行に行って、社会人になったらお互いの夢を応援し合った。

もうそんな日々は叶わない。私たちは、あなた抜きで、これからを生きていかないといけない。


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「過去1年の間に、自殺をしたいと考えたことがあるか」という質問には5%前後の人が「はい」と回答するという。また、これまでの人生でという質問になると、20〜30%の人が自殺をしたいと考えたことがあるそうだ。
(出典:「死にたい」と言われたら 末木新

「死にたい」に現場で向き合う---自殺予防の最前線を読んだ。様々な自殺予防に関わる現場で、自殺や自殺予防の現場について書かれている。
自殺者は一時期に比べたら減ってきているが、依然として多いのが実態だ。

この本の中に、自殺予防ゲートキーパーとして活動している薬局の話があった。
本によると、薬の過剰摂取によって自殺を図った人は、自殺を図った人全体のなかで40%を超え、その薬の74%が精神科処方薬であり、薬局で手渡したものなのだ。
命を救うために渡した薬が、命を奪う道具として使用されていた…。

この薬局では、事務職を含めた全社員が自殺危機初期介入スキルワークショップを受講し、自殺予防に取り組み、実際に自殺を考えている人を薬局で見つけてきたという。

これを読んで私は、もしかしたら薬剤師として自殺予防に貢献できることがあるんじゃないかと思うようになった。
まだ具体的ではないけど、大事な友人のことは助けられなかったけど、もしもできることがあるならやりたい。
今はまだ事実を受け止めるので精一杯だが、人生を通してやり遂げたいことがひとつ増えた。


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