枯渇するグランヴァンと明るい気持ち

先日、久々の試飲会でワイン輸入元から聞いた話によると、大手L社など大手インポーターのブルゴーニュワインが過去に例をみないぐらい在庫が枯渇しているらしい。

確かに探してみると聞き馴染んだような主要なブルゴーニュのワインは殆ど在庫が無い。ブルゴーニュに限らず、その範囲はグランヴァン全体に及ぶ。

原因は様々。世界中の不作による減収と値上がり備えた、余力のある業者やレストランの買い込み。お金の出どころを失った富裕層の買い占めなど。

長い目でみた「ある意味」正しいワインの買い方である。

当店も世の時流に従い追従、並走したいものですが、吹けば飛ぶような弱小酒屋では、とても体力が無く。その流れには乗れません。有名銘柄を追いかけるというマーケットは購買力もモノを言う。逆立ちしてもミュジニーやアムルーズなんか出てきません。

となれば、というか、酒屋の本分とは本来「真の価値をもつ優れた商品をしっかりと育てる事」であると思い出し、今まで以上に隠れたグランヴァンを発掘し紹介する。そんな自分が「仕事してるなー」と自分をやる気にさせ、少しでも明るい気持ちになる。

明るい気持ちになる為、今おすすめのグランヴァンご紹介しましょう。

設立の浅いワイナリーではありますが日本以外では火のついたワイナリーです。元考古学者ムチャーダさんという方が、泣く子も黙るウルトラトップシャンパーニュメーカーのダヴィッド・レクラパールと共同でスペインに設立しました。

人を信用しない腹黒店主は、共同とは言えダヴィッドは主にシャンパーニュにいるわけですし、そもそもスペインでワイン造りなんて門外漢で、名前貸し程度のクオリティではないのかと疑っていましたが、これがなんともビックリのクオリティ。完全なグランヴァンの風格でございました。

キモはアルバリサ土壌。このワイナリーのある偉大なワインであるシェリーの銘産地サンルーカル・デ・バラメダはシャンパーニュのコートデブランにもみられる土壌。

近年はシャンパーニュでもスティルワインであるコトー・シャンプノワで、いいクオリティのもの出てますよね、お高いけど。

ユニヴェールは琺瑯タンクという冷たいフラットな発酵容器のせいか、冷たく澄んだ透明感。ブラインドなら優れたワイナリーのソミュール・ブランて答えるかな。川魚を使った冷たい前菜から、ワインが開いてきたら大き目な海老とか合わせていきたい。海より川。

リュミエールはより樹齢の高い樹のブドウをボルドーの古樽で熟成。もちろんこの場合の樽は樽のニュアンスが欲しいのでなく、ゆるやかな酸化を目的としています。このキュヴェはWAで「ガヌヴァのキュヴェみたい」みないな話で話題にもなりましたね。スケール、バランス、余韻。完璧です。グランヴァン。これで10,000円弱。いいフィノシェリー(品種一緒ですから)のような独特の抜けていく余韻の繊細さをみるに、もう少し置いといても品質向上するかなとも思います。もちろん今飲んでもOK。

以上、隠れた?グランヴァンのご紹介でした。


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