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最後に。

仕事のミスも重なり予定してたGWのデートが流れそうになっていた。

きっと別れるからデートなんてしなくていい。
最後くらい顔を見て話したいとLINEで懇願し、楽しみだった京都デートの日が
2人の最後の日に決まった。


昼過ぎに家まで車で迎えに来てくれたけど、
顔がやつれていた。

色んなことが重なって食欲がなく
ジョギングや筋トレ好きだったのに
腕までちょっと細くなっていた。

大丈夫じゃなさそうだねって、つい言ってしまった。
返事は、「うん」だけ。

彼自身の中では答えがその時決まっていたから、私に申し訳なくて顔が見れないと言われた。
確かに会ってから一度も目を合わせてくれない。

運転する横顔を見つめて、いつもなら繋いでくれる手を探した。
彼からは繋いでくれなかった。

「最後なんだし」
これ今日の魔法の言葉だなと思った。

「最後なんだし、手繋ぎたい」
「最後に、チューしたい」
「最後に、たくさんハグさせて」
目を合わせてはくれなかったけど、
最後のお願い聞いてくれた。


「最後に、お願い。エッチしたい。まだ帰りたくない。」

直球でお願いしたら、コンビニの駐車場に急に車を停めた。

「それは、できない。決心が鈍るから。
自分勝手でごめん。
相談もなしに決めちゃってごめん。
彼氏彼女ではなくなるのに、体だけ求めると変な関係になってしまいそうだし、気持ちがついて行かないんだ。ほんとにごめん。」

今日初めてしっかり目を見て話してくれた。


甘え倒して、誘惑し倒したこの最後の日。
一瞬で彼は赤の他人へと戻っていく。

数日前の電話では、
別れても友達としてって形でもいいかな、ってちょっと心揺らいでいたのに
その時の迷いは微塵も感じなかった。
私への未練なんて全くないみたい。
ただ、申し訳ないって感情だけが読み取れた。


彼には1人で抱えるしかない現実があって
私が手助けできない現実で
もう彼に必要とされない現実


ドライブの時間は約2時間くらい。

コンビニの駐車場からは私も諦めがついてきた。
「帰ろっか。」

私からデート終了の幕を引こうと思った。

家に着くまでに泣いちゃうかと思ったけど、
不思議と涙はなく彼の決意も受け止めることができた。

おかしいな。
彼を大好きだったはずなのに。


家に着き「元気でね」の言葉で
ほんとにお別れ。
彼を見送ることもしなかった。


涙は家に帰ってからも出なかった。

理由は分かってる。
彼を待つのが、彼の気持ちが、彼が何してるかが分からないのが、本当に辛かったから。
解放されたという思いが予想以上に大きくて
帰って15分後にはテレビで笑点観て笑ってた。


別れてからLINEを2度送った。


体調や家事や育児ちゃんとこなしてるのかが
心配だった。

LINEの返事は素っ気なく、
今まで気遣って元嫁のことを私にあまり言わなかったのに
会話の節々に普通に登場させていた。

それも元嫁ではなく、「嫁がさぁ〜」って。

嫁、か。

私の立場がはっきりした瞬間だった。


もう私に未練なんてないじゃん。

悟って一旦会話が終わった後、
トーク履歴を全て消した。

ブロックではなくトーク履歴だけ消したのは、
自分への甘さかもしれない。
その時はそれが精一杯だった。

でも、それは彼を吹っ切るのに正解だった。

別れてから2週間後、
彼のLINEの名前がふと目に入る。

名前をカタカナに変えていた。

アプリをやり始める時、
彼は下の名前を変えると言っていた。

やってんじゃんアプリ。笑

私と別れるためにたくさん最後に嘘ついたんだろうなと理解した。

その名前を確認してすぐ、私もまたアプリを始めた。

次の彼氏はどんな人かな。。





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