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FENCE OF DEFENSE「時の河」:歴史を貫く大河が濃密な音の流れに重なる

1992年にシングルとしてFENCE OF DEFENSEがリリースした「時の河」は、バンドを代表する曲のひとつです。アルバム『RIDE』に収録されています。アニメ『横山光輝 三国志』の主題歌に起用された曲であり、曲名も中国史に欠かせない黄河や長江(三国時代であれば長江でしょうか)をイメージしたものと思われます。

広がりのある音というべきか、雄大な河の流れを思わせるバンド・サウンドです。FODの基本スタイルはロックであり、ロックにもさまざまな形がありますが、「時の河」ではポップさと重厚さを併せ持った演奏を披露しています。音の塊をぶつけるアグレッシブさよりは、濃密な音で包み込むダイナミックな強さを感じる曲です。そうしたサウンドによってボーカルの存在感は強調され、時間、歴史、人々の営みを重ねた言葉が聴き手のなかを流れていきます。

2014年には、新しいスタイルで生まれ変わった「時の河 ver. 2014」が発表されました。パーカッションの軽やかな音やサックスの渋い響きを織り交ぜたアレンジは、ロック・スタイルから距離を取り、ジャズのフレーバーを漂わせます。魅惑的な音が生み出す世界に、吸い寄せられるように足を踏み入れ、虜になりました。


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