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FENCE OF DEFENSE「STANDING ALONE」:濃厚なバンドの音に包まれ、歌は追憶を刻む

FENCE OF DEFENSEが1992年に発表した「STANDING ALONE」は、アニメ「横山光輝三国志」のエンディング・テーマとして使われた曲です。アルバム『FENCE OF DEFENSE VII RIDE』に収録されていますが、ストリーミングで聴くには20周年記念ベスト盤『GREAT FREAKERS BEST』にアクセスします。

過ぎ去った日々に縋っているのか、それとも決別しようとしているのか。ボーカルから伝わる感情が「STANDING ALONE」の大きな魅力です。力強く響く歌でありながら、後悔や弱さが滲む歌詞と相俟って、複雑な色合いが広がります。特に♪時間だけ流れてく ふたりを残して♪と歌うところが好きです。積み重ねた記憶が置き去りにされる切なさを感じます。

繊細な感情が交錯する歌を引き立てるのが、FENCE OF DEFENSEらしい肉厚なバンド・サウンドです。こうしたミディアム・テンポの曲だと、音の重みや厚みがよりダイレクトに感じられます。歌に惹かれ、音に魅せられ、両者への印象はやがて一体化して、曲全体の虜になります。

ともに “Time goes by” という言葉が出てくるからでしょうか、個人的には「時の河」とのリンクを感じます。「STANDING ALONE」を聴くたびに浮かぶイメージは、大きな河のほとりにひとり佇む人の姿です。悠久の時間を流れる大河と人間の営みという小さな存在は、同じ時間が流れていても長さは大きく異なります。永遠に近い長さと瞬きのような短さ。そのコントラストを感じながら、曲の世界に身を委ねます。


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