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PANDORA「Be The One [feat. Beverly] -Let’s start experiment!! MIX-」:PANDORAという存在は音の実験室に潜伏している

始まりがあれば終わりがあるのは当然ですが、そこには何かしらの必然性が欲しい。どのような事情があったとしても、ストーリーがあってこそ終わりの瞬間が輝きます。歌でたとえるならイントロが流れて1番が終わった瞬間にカット・アウトしてしまったような感じといいましょうか。PANDORA(小室哲哉/浅倉大介)のアルバム『Blueprint』が2月にリリースされてから、余韻も何もない、もどかしさだけが残っていました。

そんな中、突如としてPANDORAの音が届けられました。2017年9月に先行して一部が配信され、2018年1月にフルサイズがリリースされた「Be The One」のリミックスです。ボーカルとして参加したBeverlyがリリースする予定のオリジナル・アルバムに、ボーナス・トラックとして収録されるようです。

手がけたのは大ちゃんですが、小室さんとも話をしたそうな。序盤は音の素材を試すかのような薄い構成です。音を複雑に重ね合わせるというよりは、ミニマルな感じで音の原型をさらしています。しばらくすると音が加わって厚みを増し、その後さらにダイナミックになってEDMらしいサウンドが展開されます。『Blueprint』ではイギリスのエンジニアDave Fordがリミックスした「Be The One」を聴くことができますが、この新しいリミックスでは別の表情を見せてくれます。

『Blueprint』に付属していた映像には、PANDORAの2人が音を作ったりフレーズを練ったりする様子が収められていました。断片に過ぎなかった音やフレーズが少しずつ形になっていく。それは曲として成立するプロセスのほんの一部、映画なら数カットですが、PANDORAの創作スタイルを目の当たりにし、僕は音の実験室という印象を強く受けました。実験室での試行錯誤が似合う2人です。

リミックスに付けられた名前は “Let’s start experiment!!”。“start” という言葉が入っているのが嬉しいですよね(ドラマの決め台詞にちなんでいるとはいえ)。あんなことやこんなことを期待してしまいますが、もちろんすべてが叶うとは思いません。それでも、僕らの目に触れないところで2人の「実験」は進んでいるような気がします。そしてその結果は、断片的に予告なく公開されるのかもしれない…そんなことを思います。

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