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David Guetta/Martin Garrix/Brooks – Like I Do

David GuettaMartin GarrixBrooksが連名で新曲「Like I Do」を発表しました。「Like I Do」では、ソングライティング、プロデュース、演奏やプログラミングが3人を含む複数人で行なわれ、さらにBrooksはミックスとマスタリングという曲の仕上げも手掛けています。3人のDJ/プロデューサーが放つエレクトロニック・ミュージックは、人々を踊らせるために生まれた音楽です。ああ、踊りたい。

聴き手の興奮を一気に高めるフレーズは、EDMらしいパターンです。シンセサイザーの音に厚みがあって、一度抑えてから上昇させて音を解放する。EDMに王道も邪道もないのですが、個人的にはEDMに対するイメージを過不足なく反映している曲だと思います。声は完全に素材として扱われていて、現実感をなくすような雰囲気を醸します。リリック・ビデオでは赤いシルエットが曲線を描きます。これらのアプローチは、テクノロジーを使った芸術作品とでも言いたくなる要素です。

Martin Garrixの名前はよく目にしていましたが、彼が関わる曲を聴いたのは「Like I Do」が初めてです。想像以上に若くて驚きました。Brooksも同年代なので、「ベテランのDavid Guettaと若手ながらトップDJのMartin Garrix、新星のBrooksが組んだ意欲作」ということになるでしょうか。David Guettaと他の2人は親子ほども年齢が離れているものの、こうしたコラボレーションに触れると「年齢差なんか関係ないよな」と思わせてくれます。

特にヨーロッパでは「無名の若手をプッシュしてステージに上げるのがベテランの役割」という意識が定着しているのかなと思います。だからこそ、若手が売れた後でベテランと共演しても、ベテランが若手に便乗しているという空気が漂わない。音楽ファンは個と個が化学反応を起こすコラボレーションを楽しんでいるのでしょう。そして、ベテランは若手を引き上げつつ自分の表現も追究する。こういった循環が業界に活力を与えるポイントのひとつと考えられます。

David Guettaはフランス、Martin GarrixとBrooksはオランダの出身です。ヨーロッパからは、エレクトロニック・ミュージックの世界で活躍するDJ/プロデューサーが次々と生まれます。ブームとしてのEDMは落ち着きましたが、それでも次世代が台頭してくるところに、ヨーロッパにおける層の厚さを感じます。オランダにはDJやプロデューサーになるための教育プログラムがあるようで、エンターテインメント産業の育成や輸出は、基礎部分を強くして広げるという底上げも重要ということでしょうか。風向きひとつで変わる業界ではありますが、それでも射程を長くして戦略的に若手を育成するのが産業を活性化する近道なのかもしれません。


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