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FENCE OF DEFENSE DIGITAGLAMMY SHOW Featuring Daisuke Asakura [PART2]

FENCE OF DEFENSEのアルバム『digitaglam』の中で、僕が一番好きな曲が「Lies&Reason」です。〈FENCE OF DEFENSE DIGITAGLAMMY SHOW Featuring Daisuke Asakura〉でも演奏されました。アルバムのコンセプトは「デジタルとグラム・ロックの融合」とのことですが、グラム・ロックの語源とされる “glamorous” を最も色濃く体現した曲ではないかと思います。メロディ、歌詞、サウンドのいずれもが艶っぽく光り、どこか頽廃的。西村麻聡のボーカルも色気に満ちていて、この曲の艶やかさを存分に表現しています。

「恋の独裁者」という曲は、トリッキーな曲が並ぶ『digitaglam』の中でも特異性が目立ちます(ボーカルをボイスチェンジャーのように歪ませる、山本リンダ「どうにもとまらない」の歌詞を借用するなど)。しかし、奇抜にならずに格好良い曲になっているのは、山田亘の叩く音がボトムを支えているからですね。ライブ音源で「恋の独裁者」を聴くと、一定のリズムを刻む中でも桁違いのグルーヴを生み出しているのが分かり、そのテクニカルかつホットな演奏に心が支配されます。

2000年代半ば、西村麻聡は「Pop meets Jazz」という企画でジャズのアレンジやボーカルに取り組み、FENCE OF DEFENSEやTM NETWORKを含むカバー曲の録音やライブを行ないました。その経験をもとにしたのでしょうか、2014年のアルバム『digiTaglam 2 RING WORLD』には、新たなアレンジで録音した「時の河 2014」が収録されました(原曲がリリースされたのは1992年)。

〈FENCE OF DEFENSE DIGITAGLAMMY SHOW Featuring Daisuke Asakura〉で披露された「時の河 2014」は、ジャズのフレーバーを漂わせます。北島健二のギターもまたロック全開の演奏とは異なる表情を見せ、味わい深い響きを聴かせてくれます。「FENCE OF DEFENSEといえばロック」というイメージを粉砕しながら、ロックとは異なる角度からFENCE OF DEFENSEの世界を観客に見せます。

改めて彼らの演奏を聴くと、その技術に裏打ちされたサウンドに心を奪われます。音楽を聴いて感動するポイントはさまざまですが、彼らの場合は、やはり三人が中心となったテクニカルな音づくりです。技術は安定感だけではなく、一瞬で表情を変え、インパクトを与える音をも生み出す。FENCE OF DEFENSEを聴けば聴くほど、そのことを確信します。


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