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DEPAPEPE「水に揺らめくフィッシュテイル」:音が描く鮮やかな色の絵画

DEPAPEPEはアコースティック・ギターだけで、あるいはアコースティック・ギターを軸にしたバンドの音で多彩な音楽表現を見せてくれます。その魅力は、ふたりが弾くギターの音が重なったり、個々の音が際立ったりと、形を変えながら音を紡ぐところです。加えて、彼らの音楽には、聴き手がイマジネーションを羽ばたかせる余白が多いのではないでしょうか。流れるように響くアコースティック・ギターの音は、あるときは風、あるときは水、またあるときは人々の喧噪に姿を変えます。曲ごとに一枚の絵を描くこともあれば、一曲のなかで何枚もの絵を描くこともあります。

アルバム『Seek』が2020年にリリースされたとき、最初に気に入った曲は「GUILTY」ですが、他にも素晴らしくて興味深い曲がいくつもあります。そのうちの一曲が「水に揺らめくフィッシュテイル」です。何気なくアルバムを通して聴いていると、アコースティック・ギターが奏でるメロディから、水や光といったイメージが断片的に浮かびました。やがて想像のピースは組み合わさり、太陽の光を反射する水面が頭のなかで像を結びます。曲名をまったく意識することなく、聞こえた音だけでふと頭に浮かんだイメージです。もちろん偶然ですが、たとえ偶然でも、この曲の本質に少し触れることができたのかもしれません。


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