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多様性思考を身につけるワークショップを実施してきました!-ブラジル学校学校が届けるSDGs講座-Workshop01


ブラジル学校エスコーラネクターを運営するNPO希望の光の山家ヤスエです。
先日、ブラジル学校エスコーラネクターの活動紹介を通じて、多様性思考をを身につけるワークを実施してきましたので、こちらでもレポートしたいと思います。


1.ブラジル学校エスコーラネクターとは?

ブラジル学校エスコーラネクター設立当初の集合写真

ブラジル学校エスコーラネクター(所在地:愛知県豊田市)は、1994年からブラジルルーツの子どもたちの拠り所となってきました。

NPO希望の光が目指す社会

そして、2020年から多様なニーズを取りこぼさず、誰も取り残されない多文化共生社会を目指して全国にある在日ブラジル学校やブラジルルーツの子どもたちの現状について発信をしてきました。

CICTOKYOでブラジル学校についてピッチ

在日ブラジル学校は30年以上、群馬から滋賀まで、日本各地でブラジルルーツの子どもたちの教育リソースとして存在してきました。

ですが、日本社会との接点をあまり持たなかったことから、担ってきた役割やその存在自体あまり知られていませんでした。

各地域の多様性をより豊かにしているのも外国ルーツの子どもたちです。

そしてブラジルルーツの子どもたちを支えて、育ててきたブラジル学校について発信することで、在日ブラジル学校と各地域がつながり、互いに豊かにできる多文化共生の第一歩につながればという想いも込めて、積極的に行政や大学などで講義をさせて頂いてきました。

2.外国ルーツの子どもたちの現状と課題とは?

SDGs講座では、まず私たちの背景となる外国ルーツの子どもたちが置かれている現状を紹介し、なぜ在日ブラジル学校が設立されたのかなど、今まで考えてもみなかった視点や、情報を踏まえて社会構造について考えて頂いております。

外国ルーツの子どもたちが置かれた現状

3.社会的立場を可視化する体験型のワークショップ

そして、私のお気に入りの部分が次に続く体験・体感のワークになります。

日本語非母語話者体験型ワーク

アイスブレイクも兼ねて、ポルトガル語で指示される簡単なワークに取り組んでもらいます。
聞きなれない言語で勢いよく話され、手元の単語表を頼りに内容を理解しようと焦っているところに、矢継ぎ早に飛んでくる指示や質問、そして発言を求められたり、、、

今まで「日本語が分からない」ということがどれだけ怖いことが分からなかったけど、ポルトガル語で指示されるワークが始まるととても不安になりました。「日本語が分からない」という不安な気持ちを知ることができました。

ワーク参加者の声


実際に、日本で暮らす外国ルーツの子どもたちが日本語が分からないまま、学校で授業を受けたり、生活している状況をご体感頂けます。

そこから、冒頭で説明した外国ルーツの子どもたちが直面している課題を振り返り、言語を理解できたり、日本語母語話者であることで得ている特権について考えていきます。

4.そもそも、「特権」とはなにか?

私たちが言う特権とは、特定の国籍、言語、家庭環境、経済状況などに属することでその個人が労なくして得ることができる優位性だと思っています。

こうして説明されてもピンとこない「特権」を、社会構造による格差を体感して頂ける「Privilege Walk」を実施しました。

この動画の内容を簡単に説明すると、
・$100を賭けてレースをする
・走る前に司会者の10個の質問に当てはまる場合は2歩進み、当てはまらない場合はそこに留まる
ルールはこの2つだけです。

そして、質問の内容は、次のように続きます。

・両親はまだ結婚しているか?
・両親をお金で助ける必要があったか?
・携帯が止まる心配をしたことが無かったか?
・アスリート奨学金なしに大学進学させてもらえたか?
・自分が日本人(私の場合)であることで、差別的な言葉を言われたことがあるか?

などなど。全て、自分では変えることの出来ない、自分が育ってきた環境についての質問ばかりです。

私たちの講座では、この「自分では変えることの出来ない」格差を体感できるようにアレンジをして、参加している皆様に「外国ルーツの子どもたち」や「外国人労働者」の役になってもらいます。すると、不思議なことに、よりリアルに、そしてすっと「特権」や「格差」を自分ごと化できてしまうのです。

「Privilege Walk」のワークでは、日本で育った自分の人生で絶対に体感することができない経験でした。
ブラジル人の少女の立場になってみて、だんだん開いていく差に心が悲しくなりました。

ワーク参加者の声

日本にいながら多様な立場に立って思考をめぐらせ、自分の中により多くの角度での視点を取り入れることができます。

「自分には当たり前のことでも、ほかの人たちはこんなにも苦労をするのか」という発見こそ、自分の言動を「これでいいのか」と新しい変化を生み、その積み重ねにより生きづらさや抑圧のない社会を目指すことができ、「誰も取り残されない多文化共生社会」の実現に近づけます。

ワークの最後に、「特権」という視点をより分解して、それぞれのマジョリティ性やマイノリティ性に向き合って頂きます。

Sylvia Duckworth Wheel of Power/Privilege

こうして参加者は、想像もしていなかった感情や考えに出会うことで、多くの視点を取り入れられます。

そして、より強いエンパシー(共感)を育て、よりクリエイティブに、よりイノベーティブな発想をもてるようになります。


5.「特権」と人種的アイデンティティ発達理論について

そして、ここから、それぞれのマジョリティ性やマイノリティ性をこれからどうするのか、どう活かせるのかを考えていくのが大事だと思っています。

アメリカの心理学者・ヘルムズの「白人の人種的アイデンティティ発達理論」に基づくと、こうした特権や差別に出会った時、マジョリティ側は6段階の心理で推移していくという考え方があります。

まず、「①“特権”に無自覚な段階」から、“特権”に気づくという「②罪悪感を抱く段階」、そして「③周囲のプレッシャーに負けてマイノリティーを避ける段階」にシフトし、後に「④マイノリティーのことを知ろうと、一歩を踏み出す段階」へ進むことができます。さらに前進すると「⑤自身を見つめ直し、現状を知ることに没頭する」、そして「⑥抑圧のない社会を実現するため、自主的に行動する段階」に進むことができます。でも、そのためには、同志(アライ)が必要だとも言われています。

こうしてアメリカなどでは圧倒的特権をもつ白人(マジョリティ)が、自身の特権に向き合うことで、マイノリティーに対してどう変わっていくかを示しています。

日本でも、「⑥抑圧のない社会を実現するため、自主的に行動する段階」まで多くの人が進むことができれば、外国ルーツの子どもたちの教育環境を改善する動きが加速すると考えています。

でも現在の日本では、まだまだ、同じような生活様式や価値観、考えの人たちと触れ合っていることが多いです。

だからこそ、新しいことを経験や感情、触れたことの無いものに触れることで、自分の中の多様性を豊かにしていくことが必要だと感じています。

多様性というワードの中には、外国ルーツの子どもたちの課題や現状のように、楽しいことばかりではないことも含まれています。

それでも、時には目を向けたくない辛いこと、苦しいこと、向き合いたくないものと直面し、相手の立場に立って理解をすることがとても大切です。

こうした「エンパシー(共感)」を高められることで、自分も周りの人やコミュニティにも、身近なSDGs的実践となるでしょう。

6.多様性思考を身につけるワークショップを届ける活動について

【NPO希望の光について】
多様性思考を身につけるワークショップは、NPO希望の光によって実施されております。中学生からでも参加できるワークショップを通して、多様性に寛容な社会づくり、そして差別や格差がない「誰も取り残されない多文化共生社会」の実現を目指しています。外国ルーツの子どもとして実際に日本で育った講師から当事者の声を聞き、身近なところから、一人一人にできるSDGsの実践につながるヒントを大学や行政、企業などにお届けしております。

【こんな方々におすすめいたします】
・外国ルーツの子どもたちに関わる方
・多文化共生社会の実現のヒントを得たい方
・新しいことに挑戦してみたい方
・人権教育・多様性教育に関心のある先生方
・企業内のDE&I担当の方

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このクラウドファンディングを通じて、日本で暮らすすべての外国ルーツの子どもたちが直面する課題、そして学びにアクセスできる環境づくりをしなければならないという現状が、少しでも多くの皆様に知って頂けると幸いです。

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【ブラジル学校エスコーラネクター】
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