大地と繭とケサランパサラン。エッセイ。
明日は立春だ。七十二候では東風解凍。はるかぜこおりをとく。素敵な言葉だな。暦の一番始まり。
そして今日は節分だ。払う。大切な節目。せつぶんぶん。
そこら辺の枯れ枝で、生け花してみた。
冬の枯れ葉の色が好き。
集めて眺める。
ひとつずつ違う色なんだなあ。
みんな大地を覆うもの。
落ち葉、枯れ枝、下生えの草。
枯れ葉が生き物たちを守りながら、
軽やかに風と、豊かに光を、
通すところが好き。
みんながみんなの命を守る。
繋ぎ合う。
美しい循環。
綺麗な色の組み合わせはどうやって決めたの?
静かな景色と鼓動が馴染む。
川面も静止画のよう。
心の芯に触れるのは、呼吸が合わさるから。
木と空と土と。
ここに同じ命が。
繋がる。
鳥の声が空の彼方に吸い込まれた。
乾いた空気に遠くまで広がる。どこまで?
同じ青に、どこまでも。
繊細な造作がよく分かるのは冬の特別かも。
氷。霜。
伸びる枝。
密やかな脈動。
桑の木には繭が眠ってる。
舞い降りた雪のひとひらみたい。
そんな高いところにいたらきっと、風がみんな撫でていきたくなるから、やさしい風の通り道になりそう。
お日さまの光もたっぷり浴びて、夜空の色んな星たちともお話しできる。
一番いいところまで登ったんだね。
次に生まれるのが楽しみだね。
新しい羽で、初めての羽ばたきが大きく自由でありますように。
気持ちが覆いを越えていく。
見上げていると、体がすうっと伸びる。
胸いっぱいに空を吸い込むと、澄んだ青に満たされてゆく。
歩こう。
大地は柔らかく受け止めてくれる。
足の裏で感じる全部の地球。
ひとつひとつ、進む。この体を使って。
そしたらひとつひとつ、楽しいって気付くの。
帰ったらお湯を沸かして飲もう。
上着を脱いで、着替えて、コンロに火をつけて、音を待つ。
間が好き。
だんだんと大きくなって、ぐらぐら湯立つ音は賑やかで喜びと遊びみたい。ちょっと急かされる。
カチャンと火を止めて、注がれるお湯。緩やかな弧を描いてするりするりと飛び込んでいく。
立ち上る湯気は白くて綺麗。この辺が一番耳が楽しい。
指先をマグカップで温める。吹くと顔にくるもわもわ。
一瞬くちびるが熱ってなって怯む。ちょっとお水を足そうかな。
美味しい温度になった。美味しい。喉が潤って、お腹に落ちて、内側から満ちる。
全部がほどけてゆるむ。
一口ごとに透明が細胞に染み渡っていく。
じんわりあたたかい。
冬が好きだなあ。暦では明日から春だけど。
寒さに身を清め、小さな喜びに心あたたまる。
愛おしくて微笑んで。よき訪れを待つ幸せ。
湯たんぽにもお湯を入れて。満ち満ちる。
ぬくぬく。……ぬくぬくヘブンだ。
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