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『いつかギラギラする日』(1992)

いつかギラギラする日 #一骨画

『いつかギラギラする日』(1992)

監督: 深作欣二 / 脚本: 丸山昇一 / 製作: 奥山和由
出演: 萩原健一、千葉真一、石橋蓮司、多岐川裕美、木村一八、荻野目慶子、原田芳雄、樹木希林、八名信夫

うん、この作品もウン十年ぶりに観ました。

まったく覚えていない。

その当時のイメージといえば、ヤンチャな一八と、もう勘弁してくれよという荻野目慶子。
でもこの当時の奥山さん(制作)はイケイケ、たけし映画から「GONIN(1995)」くらいまでは間違いない。
それに監督は深作欣二、仁義なきですよ、間違いなんて起ころうハズもない。

さてウン十年ぶりに見返して、率直に云うと、間違いなくいいぢゃないですか!

特に前半、ショーケン+ソニー千葉+石橋蓮司=ギャング団のくだり、協力者の多岐川裕美、それで完成形です。

それだけじゃ退屈だって、その当時イケイケの一八に荻野目ちゃんなのだろうが、分かります、いやっていう程分かるんです。
しかしながら、どうしても鼻についてしまうんです。
彼らは無茶ぶりを要求されているんだろうし、それがないと話は展開していかないんですが、この二人付け焼き刃すぎるんですよね。
そりゃ若い二人(当時)に何を求めるんだ、と云われたらそれまでですが、今になっても見ていられないくらい目先の仕事しかしていないような気がする。
30年経ってもそう感じるのだから、これはいけない。

あともうひとつ苦言を呈すると、音楽がいけない。
ロックバンドとして登場するあのバンドは駄目、時代がそうさせるのかナンセンス。(それで随分この映画の質を下げてると思う)
よっぽどエンドロールで流れるショーケン「ラストダンスは私に」に救われたか。
どうしても脚本上バンドを出さねばならぬのなら、この時期もっとイキのいいのたくさんいましたぜ、ダンナ。

それを抜きとして、脚本自体は奮ってる。

ソニー千葉(出ていたコトすら記憶になかった)とショーケンの並び、それだけで飯が何杯か喰える。
石橋蓮司の奥さんが樹木希林、台詞なんて必要ない、そこにいるだけで状況を把握できる。
追っかけヤクザの組長 八名信夫(by.悪役商会)のコミカルさ、密売銃の靴屋に安岡力也、雇われヒットマンに原田芳雄は、シャブ喰って無敵に暴れまくる(ショーケンと共演て他にあるのか?)

僕としてはそんな脇の配役に胸踊った。

今にして思えば、です。

90年代、たぶんこれがショーケン最後のハデな打ち上げ花火だったんじゃなかろうか。

そう思えなくもないです。

それから、たけし映画「その男、凶暴につき(1989)」「3-4×10月(1990)」「ソナチネ(1993)」
つづく「GONIN(1995)」という奥山さんのバイオレンス映画もいったん鎮火するのだ。