快楽としてのお風呂は推奨してる。
兼ねてより、掃除、散髪、風呂に、とても無益さを感じている。
どうせやったってまた汚れるんだし、生きてりゃ生えてくるんだし、それを単発でやったとこで時間の無駄じゃないすか。
そんな風に思ってる。
いえですけれど、それを快楽、或いは悦楽としてみると、とても有意義になってくる。
掃除、散髪など、やった後の爽快感は、たまらなく清々しい。
腸内に溜まった宿便を剥がしてしまったかのような、とてもすっきりした気分になるのだ。
であるから、風呂も歯磨きとか爪め切りとかのルーティーンではなく、ただ湯船に浸かった瞬間、おわぁ〜〜っちょわぁ〜〜
ていう吐息が漏れるその瞬間にぜんぶを賭けるのだ。
気持ちE〜〜でR！
EでRなのだから、IngしてRollしちゃうのが、クセになっちゃうことは否めない。
そんなワケで、少ないお給金から捻出するのは、その瞬間だけなのです。
せめて月一、そんな時間がやってくるコトを願い、僕はあらゆるコトをスルーするのです。

いつも行く隣り町の温泉じゃあ、それじゃあいつもと変わらないから、コロナ以前に行ってたとこへ久し振りに、
まづは腹拵え、此処もこの町では兼ねてからのお気に入りのお蕎麦屋さん。
とはいえ、いつも注文する"鴨南せいろ蕎麦"に尽きる。
この店でいつか明るい時間に鍋をつつき、日本酒飲りながら、〆で蕎麦という贅沢なコースをやってみたいと夢見つつ、まだ叶わぬこの思い。

「伊自良（いじら）温泉」
約5年ぶりか、こないだ映画"ゴジラ"観たので、"いじら"てのは、きっと呼ばれたに違いなひ。
なんてことはない、ただの地元民が訪れるだけのそれだけでしかない温泉だ。
入湯料350円、ゆるゆるのお爺ちゃん達が、ゆるゆるに皺だらけの身体をふやけさせている社交場。
その片隅で僕も少しばかり仲間入りさせてもらっちゃう。
ぶふぁ〜〜っていう吐息の快味、それだけが仕合わせなんです。

僕は、石鹸やシャンプーなどは使わない。
変な香料の入った如何わしいものは要らないのだ。
元々風呂嫌い、毎日入るという煩わしさが嫌いで若い頃は一週間くらいなら入らなくてもへっちゃらだった。
いや周囲は嫌でしょうがね、臭いからさ、でも風呂なしに住んでたし、どうしてもっちゃあ台所の流しで髪くらいは流す。
約10年くらい前アメリカ行った時、あまりにも貧乏旅で車上泊してやり過ごして、その時からべつに身体を洗うコトてば必要ないんじゃない？て考えた。
若い頃にやってたコトを思い出し、それで一ヶ月くらいそのチョーシでやってみて、面の皮が厚くなったような気がして寧ろ清々しかった。
水で洗浄すれば大概の汚れは落ちていく、余計に添加された洗剤は要らない。
不潔不衛生なんて言葉に踊らされ、いい匂いがふりかけられた企業の策略にハマってたんだろうな、きっと。
それからそういった類いのものは使わない。

温泉場先にある聖徳寺で、50年ぶりに秘仏・聖徳太子立像がご開帳だってさ。
そのタイミング、そりゃあ拝みにいきますがな。
帰り道は山を越えていく。

こしょうずの湧水
湧水というのは山のあらゆる箇所を通り濾過されていく。
途中には、土や砂利、枯葉から小枝、大小何重にも関所を抜け、どんどん清らかな水になっていく。
自然の複雑系なのに簡素、そこに微生物から菌類まであらゆる存在が総動員されて湧き出てくる。
人工物なんて太刀打ちできやしないって。
温泉てのも、だいたい火山のマグマが熱源でしょ？
スゴいって、これくらいを慈しんでいこうよ。
噴火すれば厄災、それを日々の癒しに変えていく人間てば。
自然が暴れればお仕舞い、戦々恐々としながらも僕らはその恩恵を頂戴するのだ。

"Happiness Is a Warm Gun"

"幸せは温かい銃"、素敵なタイトル。
もちろん勘繰るが、直接的にも、性的、クスリ的にも、歌詞は聴く者で姿を変えるが一方向ではない。
山の頂から下る（登る）ようにコースは様々、そして下り（登り）切った時にどこへ着くのかもそれぞれだ。
ジョンらしい大好きな曲です。
で僕はそれを頂戴し"幸せは温かい風呂"とする。