子どもと関わる経験と脳活動の関連

「子どもを大切にしよう」という感情は、子どもと関わることで醸成されるという話です。論文のシェアと考えたことを書きました。

大阪医科大学看護部笹木綾子氏らが行った実験
https://www.crn.or.jp/LABO/BABY/LEARNED/10/SASAKI_GAKKAISHI.pdf

・青年期(15~29歳、親性準備期)に子どもと触れ合う経験(接触体験)をする
→局所脳活動の変化から、接触体験は親性(おやせい、親になる準備ができているか、育児に積極的かといった性質)を促進させるための経験や学習に効果的であると示唆された

【調査された内容】育児経験のない男女が子どもと触れ合う経験をした場合、親性は高まるのか
【方法】青年期の育児経験のない男女が子どもと触れ合う経験をした後、アンケートとfMRI(functional magnetic resonance imaging:磁気共鳴機能画像法)により調査
触れ合い経験を体験していない群と比較
【結果】
・触れ合い体験をした群:両側中前頭回、両側島、両側前部/後部帯状回の領域(感情・注意・ 認知と関連する領域)が体験後有意に賦活
→体験で学習効果を得た領域と推察
・触れ合い体験をしていない群:体験の前後で差は認められなかった

→局所脳活動の変化からも、青年期(15~29歳、親性準備期)における子どもとの触れ合い体験が、親性を促進させるための経験や学習の効果的な機会となることが示された

子どもに関心がない、なんだか苦手であるという人は実際にいます。それは過去に経験したことが原因であったり、個人の価値観からそのような考えに至っていたりと様々ですが、環境上の理由から子どもと関わる経験がほとんどないからという人もいると考えています。子どもと関わる経験がなければ親性は促進されにくく、子どもに興味関心を抱くことは難しいと言えます。今まで関心がなかった人が子どもに関わる経験をすることで関心を抱くことになる場合もあるので、現在の価値観だけに縛られて欲しくないと思いました。


参考
親性の定義等
https://www.crn.or.jp/LABO/BABY/LEARNED/10/SASAKI_GAKKAISHI.pdf
(青年期男女における親性発達と神経基盤の関係)


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