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氷河期世代が人事責任者くらいじゃね?

今の就活生にしたら、そんな昔の話なんてどうでもいいことだろう。
「あの頃はさ〜」から始まるおじさんの話はわずらわしいものだ。

ただ氷河期世代は今40歳〜50歳前半だ。会社の中でもそれなりの地位についているだろう。最終面接や採用決定権者が氷河期世代の人間である可能性は高い。

ちなみに私は氷河期世代だし、去年まで採用の責任者を担っていた。個々の求職者の合否は最終面接官が判断していたが、人事戦略や採用管理を練る立場にいた。
また私の上司の人事・総務の統括部長も氷河期世代のはずだ。最終面接は役員が行うことが多いが、2〜3人は氷河期世代にあたる人が含まれているはずだ。最低1社の実例はある。

もちろん相手が氷河期世代だからといって、就活生がスタンスを変える必要はない。ただ氷河期世代は非常に厳しい就職活動を強いられてきていたのは事実だ。
時代が変化をアップデートできない人はいないと思うが、無意識的に他の世代よりもキャリアに対して厳しい見方をしている可能性はあるかも。

就活に活かせるとは思えんが、氷河期世代がどんなものだったか知っておくのもよいだろう。
「あの頃はさ〜」と昔語りを始めさせてもらう。

氷河期世代の時代背景

戦後から世代に名前をつけてきた。世論のトレンドの変化をそうやってラベリングしてきたのだ。
1947年〜1949年生まれの人を団塊世代という。そのほかにも新人類とか、しらけ世代とか、バブル世代とか、団塊ジュニア世代とか、ゆとり、さとり、Z世代といろいろある。2013年以降に生まれた世代をα世代というそうだ。

他の世代の話はほっとこう。氷河期世代のことだ。
氷河期世代は1971年〜1982年生まれの人をいうらしい。情報源によっては前後プラスマイナス1歳くらいの誤差はあるが大体こんなもんだろう。
2024年現在時点では40歳代から50歳前半の人たちということになる。

1986年〜1991年がバブル景気だった。日本中が浮かれまくっていた時代だったらしい。「らしい」というのは、氷河期世代はこのころ小中学生で、バブルの恩恵はほとんど受けていない。
お年玉は絶好調だったかもしれない。

1991年にバブルが崩壊すると、日本の景気は一気に冷え込んだ。
ここからの10年を「失われた10年」と呼ばれ、氷河期世代は「ロストジェネレーション」とも呼ばれる。
氷河期世代はバブルの恩恵は受けていないが、そのツケ払わされたということだ。まぁ卑屈になってもしかたないが。

銀行とか不動産とかの会社がバタバタ潰れた。また浮かれた時代に日本の終身雇用制度が崩壊していたらしい。よくは知らんが、会社の人事体制が不安定だったのだろう。
日本は雇用してしまうとなかなかクビにできない。ただでさえリストラして経費の削減をしているのに、新卒を雇って育てる余力はなかった。
ので多くの企業で採用をやめた、もしくは採用基準のハードルをめちゃくちゃはね上げた。

足りない労働力は派遣やバイトを使うようになった。
悪い言い方をすれば非正規雇用ならいつでもクビにできると気づいたのだろう。

氷河期世代の就活

1999年〜2000年にITバブルと呼ばれる時期があって、理系の一部に光がさしたことがあるが、すぐに崩壊した。

だから学部とか学歴とか関係なく押し並べて就活は厳しかった。
何しろ100社エントリーしても1社も内定がもらえないという人は結構いた。

とはいえ就職氷河期世代がみんな就職できなかったわけじゃない。
一番最悪な時期でも就職率は60%くらいだったはずだ。つまり、半数以上の就活生は仕事を見つけていた。

ただ希望の業界や職種に就けなかったということだ。片っ端からエントリーして、やっと出た内定の会社に就職したという人も多いだろう。

最近になって氷河期世代限定の求人を見かけるようににった。あのころ就けなかった希望の職種にチャレンジできる企画みたいなやつだ。なぜか地方自治体の求人募集が多い気がする。
恩義せがましいとまでは思わないが、何となく首を傾げたくなる。

非正規雇用を選んだ人たちもいる。当時、派遣という働き方が一般的になってきており、なんやかんや法整備をやっていて注目もされていた。改善改悪は知らない。

こういった人たちが40代にさしかかってもまだ非正規雇用であることが社会問題に取り上げられたりする。氷河期世代だから正社員で働けない、というのは言い訳だろう。だが正社員で働くために他の世代よりもエネルギーが必要だったことは確かだ。

社会問題といえば、氷河期世代は就活することを恐れるから、会社にしがみつこうとした。このせいでブラック企業が増えたと言われている。
氷河期世代は経済上の不安から結婚をしない選択する人が増えた。だから少子化に拍車をかけたらしい。
知らねーよ。

今の就活生へ

冒頭にも言ったが最終面接官が氷河期世代の人の可能性は高い。だからといってどうしようもない。
ただ中には「就活舐めているよね!」というおっさんもいるかもしれない。
「内定5つもらってるんで、よく考えてから選択したいです」みたいな悪意のない会話をしただけで、変なスイッチの入る氷河期世代のおっさんがいないとも限らない。
だからと言って気をつけようもないが。

最後にもう一つ。
氷河期世代の就活で救いだったのは周りがみんな同じだったことだ。就活生本人だけでなく、家族や世論も内定が出ないことはあたりまえという認識があった。
就職できないのは時代のせいだと、誰しもが認める言い訳ができた。もっと斜め上を行けば、バブルのつけを払わされているという被害者ヅラも正当化された。

だから今みたいに売り手市場と呼ばれる中で、周りは5社6社と内定を貰えるのに、自分だけ内定がでないという孤独の方が辛いだろう。

そんな人に「就職氷河期よりまし」とか意味のわからん励ましをしてくるおっさんもいるかもしれない。
そーゆーのは基本、無視してよい。







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