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化学・材料産業の製品の製造でのUV照射のニーズについて

化学・材料産業の製品(繊維/樹脂/医薬品原薬/農薬原体等)の分野に於いて、UV照射工程を必要とする製造プロセスと製品があります。

ではUV照射が必要な製品には、どんなものがあるか?紹介します。
用途や製品は多岐にわたります。そして、その製造プロセスも様々です。
UV照射は環境汚染の観点で良い点もありますが、デメリットもあることは事実です。
今回の活用シーンや製造プロセスでの長・短所の紹介をもとに、安全で環境にやさしく、効率的な製造プロセスでの製品化検討に役立ててもらえればと思っています。


1.UV照射が必要な製品

1)硬化型コーティング

UV硬化型コーティングで処理されたテキスタイルは、硬化のためにUV照射が必要です。
また、自動車、エレクトロニクス、包装等の様々な業界で使用されるコーティングは、UV照射によって硬化され、UV光は光化学反応を引き起こし、急速な硬化と保護コーティングの形成を実現しています。
UV保護生地:UVブロック剤で処理された生地は、多くの場合、活性化のためにUV照射が必要です。

2)合成樹脂

  • UV硬化性樹脂:3Dプリンティング、歯科材料、コーティングに使用される特定の樹脂は、硬化のためにUV照射を必要とします。UV光は重合を促進し、樹脂を液体又は半液体の状態から固体の耐久性のある材料に変化させます。

  • UV硬化型接着剤:エレクトロニクス、医療機器、光学等の業界で様々な基板を接着するために使用されます。これら接着剤はUV照射により架橋反応が開始され、強力で耐久性のある結合が得られます。

  • UV硬化型インク:デジタル印刷、スクリーン印刷、その他の用途で広く使用されているインクは、UV光によりインクの重合を促進し、速乾性と印刷面への優れた密着性をもたらします。

  • UV処理された繊維:繊維産業では、強度の向上、染色性の向上、収縮の低減等、繊維の特性を強化するためにUV照射が使用されます。UV安定化や表面改質等のプロセスで使用できます。

3)光触媒

  • UV活性化光触媒:空気浄化システムやセルフクリーニングコーティングに使用される材料に、UV光を照射することによって活性化される光触媒があります。これらの光触媒は有機汚染物質の分解に役立ち、製品の洗浄効率を高めます。

4)医薬品成分

  • 光化学反応:一部の医薬品成分は、合成又は精製のためにUV光の下で光化学反応を起こします。

  • UV滅菌医療機器:カテーテル、手術器具、インプラント等の医療機器は、UV照射により滅菌方が実現します。UV光は微生物を効果的に殺し、デバイスの安全性と無菌性を確保します。

5)農薬成分

  • 光分解:UV照射は、環境安全のために特定の農薬成分を分解したり、製剤を活性化するために使用できます。

6)食品産業

  • UV-C光は、透過性包装で覆われた製品、又は果物、野菜、ベーカリー製品の表面の表面除染に使用されます。

2.UV照射による製品化のメリットとデメリット

このように化学産業や医薬品や農薬の分野で、UVを照射する製造プロセスを持つ製品が数多く存在しています。

1)利点

  • 急速硬化:UV硬化は一般的に速く、生産効率の向上につながります。

  • 正確な制御:UV硬化により、硬化パラメータを正確に制御できるため、より高品質の製品が得られます。

  • 安全性:UV照射により病原菌の製品を除染することができ、安全な製品を提供します。

  • 環境に優しい:UV滅菌により、化学物質、水、エネルギーコストの使用が削減されます。

  • 限定された暴露:UV照射は表面除染技術であり、UV-C光に直接暴露された細菌のみを破壊できることを意味します。

2)短所

  • 装置コスト:UV照射装置の設置と維持には費用がかかる場合があります。

  • 限られた透過性:UV光の透過深さは限られているため、特定の用途での使用が制限される場合があります。

  • 安全性への懸念:紫外線は適切に取り扱わないと人間の健康に害を及ぼす可能性があるため、適切な安全対策が必要です。

  • 消費者の受け入れ:放射能との関連性が認識されているため、消費者による受け入れが遅れる可能性があります。

3.UV照射による加工

UV照射によるプロセスは、化学合成において反応を迅速かつ選択的に行うのに最適で、様々なランプを選択したり、フィルター技術を使用したりすることで、スペクトル範囲を狭め、化学反応を選択的に実行できます。

  • 光硬化:UV光は、UV硬化性材料の重合反応を開始します。

  • 光クリーニング:UV光を使用して、表面上の汚染物質や不要な残留物を分解します。

  • 光接着:UV照射により、材料間の接着特性を強化できます。

4.製造上の注意点

製造工程における注意事項は、UV硬化プロセスがUV硬化材料の最終的な特性を決定することに注意することがとてに大切です。光源の発光挙動は架橋された微細構造に大きな影響を及ぼし、硬化材料の最終特性の決定要因として重要な役割を果たしますので、製造上の注意点を以下にまとめます。

1)最適な露光

適切な硬化又は反応には、適切な強度とUV露光時間を確保することが重要です。

2)材料の互換性

すべての材料がUV硬化に適しているわけではないため、互換性テストが必要です。

3)安全対策

作業者を紫外線から守るために、適切な安全対策を講じる必要があります。

4)品質管理

製品の品質を維持するには、UV機器の定期的な監視と校正が必要です。

5.該当分野の主要製品プレーヤー

主要プレーヤーを以下に示しますが、必ずしもこれが全てではなく、特殊技術を用いた特殊用途へ展開している企業も多く存在します。そのような企業を含め、ひとつ共通点があるとするならば、『安全性』『光源の発光挙動』『最適な製造プロセス』『製造から用途までを把握した設計能力』を持つ企業が、該分野を牽引しているということです。

  • テキスタイル:DuPont、HuntsmanCorporation、BASF等の企業は、UV処理されたテキスタイルソリューションを提供しています。

  • 樹脂:BASF、DSM、及びAllnexは、UV硬化性樹脂技術の主要企業の1つです。

  • 医薬品成分:ファイザーやノバルティス等の医薬品合成に携わる企業は、UVプロセスを利用する場合があります。

  • 農薬成分:バイエル、シンジェンタ、BASF等の大手農薬会社は、農薬の配合にUVプロセスを採用している場合があります。

  • 他には、UV感度評価用LED照射装置を開発したLED大手メーカーである日亜化学工業や、ロレアルリサーチ等は、日焼け止め製品におけるUVフィルターの使用について幅広い研究を実施しています。

6.ランプの種類と特徴

製造プロセスを設計するにあたり、非常に重要な項目としてランプの選択があります。光源ランプの特性UVランプは種類によって特性が異なり、例えば、UV-Cランプは、最も一般的には254 nm (ナノメートル)の波長を使用し、細菌のDNAに損傷を与えたり、改変したりして、細菌の繁殖や拡散の能力を制限します。
使用される光源のランプの種類UVランプには、蛍光灯、水銀灯、短波長、ガス放電ランプが多く使用されます。UVランプは、次の3つのサブタイプのいずれかとしてUV光を放射します。UV-C、100nm~280nm。UV-B、280nm~315nm。UV-A、315nm~400nm。

UV-LED光源は高純度の照射を実現し、熱放射や深紫外光の影響がなく、長寿命で消費電力が削減されます。

7.注目のUV-LED技術

UV-LED(紫外LED)は、近年急速に注目を集めている紫外線光源の一種です。以下に、UV-LEDについて詳しく説明します。

1)原理と特徴

  • 発光原理:UV-LEDは、半導体デバイスとして動作し、電流が流れることでUV光を放出し、ガリウムナイトライト(GaN)やアルミニウムガリウムナイトライト(AlGaN)等の化合物半導体が使用されています。

  • 波長制御:UV-LEDは特定の波長で光を放射しやすいため、特定の波長のUV光を生成することができり、特定の応用に最適な波長の光を選択できます。

  • エネルギー効率:UV-LEDは従来の水銀灯よりもエネルギー効率が高く、消費電力が低いため、省エネルギーかつ環境にやさしい光源です。

  • 寿命と耐久性:UV-LEDは長寿命であり、通常は数千時間から数万時間の使用が可能で、振動や衝撃に対して比較的耐性があります。

2)応用分野

  • UV硬化:UV硬化製品(接着剤、コーティング、インクなど)の製造プロセスで広く使用されています。UV-LEDは光の波長を制御できるため、特定の材料に最適な波長の光を提供し、より効率的な硬化を実現します。

  • 殺菌・除菌:UV-LEDは、水や空気中の微生物を除菌するための殺菌装置にも使用されています。特定の波長のUV光が微生物のDNAやRNAを破壊し、細菌やウイルスの増殖を抑制します。

  • 医療機器:UV-LEDは医療機器や医療施設での除菌や滅菌に使用されています。手術室や病室の除菌、医療機器の滅菌において、UV-LEDは非常に有用です。

  • 食品加工:食品工業では、UV-LEDを使用して食品や飲料の除菌や品質管理を行うことがあります。特定の波長のUV光は、微生物の活動を抑制し、製品の保存期間を延ばすのに役立ちます。

3)今後の展望

  • 技術革新:UV-LED技術は現在も進化を続けており、波長の制御や効率の向上など、さらなる技術革新が期待されています。

  • 市場拡大:UV-LEDの利点や応用範囲の広さから、将来的にはさらなる市場拡大が見込まれます。特に、省エネルギー性や環境への配慮が求められる産業分野での利用が増加すると予想されています。

 
先述しましたが、製造プロセスの『どこで』『どのように』『どんな』UV照射がされているか?検討しているか?を理解することによって、化学及び材料業界における効率的な生産方法と革新的な製品開発につながります。
UV-LEDのように常に新しいテクノロジーの情報を入手し、これらについて、安全・製造・商品など様々な角度から検討することで、該市場が拡大していくことを期待します。

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